リハビリテーション学部
Department of Physical Therapy 理学療法学科
「ランニング障害の予防」をテーマに、足部の負荷や動き、膝の負荷の定量化に取り組みます。三次元動作解析装置を活用したバイメカニクス的手法で身体運動を分析・数値化することで、障害が発生する仕組みの解明、予防法の考案が期待できます。本Labの三次元動作解析には12台のカメラと6枚の床反力計を用いており、所属する学生はこれらを自由に使用できます。卒業研究はもちろん、理学療法士に必須となる客観的な評価・分析力の向上に役立つはずです。Labでの学び、研究設備を存分に活かして高度な動作分析能力を身に付け、臨床現場で患者様の治療に還元してほしいと願います。
本Labでは、スポーツにおける足部障害予防に関する研究を行っています。私は陸上部に所属していた経験からランニング動作に興味があり、高林先生の授業をきっかけにランニング障害にも関心が生まれました。現在は、足部接地パターンを変えてランニングを行った場合の負荷の変化を検証しアキレス腱炎や足底腱膜炎の予防につなげる研究をしています。自分の知識や技術に満足せず、実際の臨床現場でも探究心を持って学び続けます。
脳には外からの刺激に応じて、その働きを変化させる「可塑(かそ)性」(状況に応じた変化のしやすさ)という性質があります。脳の可塑性をもたらす方法として、練習や訓練といった実際に体を動かす運動以外に、磁気や電気で頭蓋骨の外から脳を刺激する「非侵襲的脳刺激」が注目されています。「非侵襲的」とは手術を必要としないということで、用いる刺激に大きな苦痛を伴いません。本Labでは様々な非侵襲的脳刺激手法を用いて、あるいは新しい非侵襲的脳刺激手法を開発して、どのような仕組みで脳が可塑性を発揮するのかを研究しています。また、これら非侵襲的脳刺激を利用した新たなリハビリテーションの開発も行っています。
神経損傷後の病的な痛みは、効果的な治療法がなく、患者様に大きな苦痛を与えます。これを克服するためには、なぜ痛みが生じるのか?と、どうすれば痛みがなくなるのか?を様々な視点から解明する必要があります。本Labではヒトの脳活動を細かく調べることができる脳波計・脳磁図計や、脳全体をまるごと調べることができるMRI装置を使った研究を行うとともに、動物の脳を対象に細胞レベルの活動を計測することによって、この解明に挑戦しています。このような世界トップクラスの研究環境に身を置き、最先端の知識や技術に触れることは、オンリーワンの理学療法士となるために重要であると考えます。
アスリートとしてパフォーマンスの向上を目指すためにも、余暇としてスポーツを楽しむことで心身ともに健康な暮らしを送るうえでも、スポーツによる障害を防ぐことは重要です。本Labでは、運動時のケガや痛みの発生要因やその解決方法、さらにはパフォーマンスを向上させる方法について、脳科学や自律神経科学の観点から研究を行っています。また、女性の月経周期に伴う心身機能の変化に関する研究も行っています。得られた知見をもとに治療に応用した徒手療法の技術を学べることも本Labの特徴であり、基礎研究による知見を臨床と統合し、広く社会に還元できる人材の育成を目指しています。
「走る・歩く」などの運動は、ふだん何気なくできていますが、右手と左手、手と目、手と足などを同時に使うバランスが必要な動作です。これを「協調運動」といいます。以前は普通にできていた運動が怪我や病気などでできなくなった時は、それを元に戻すために、この協調運動の成り立ちの理解が必要です。また、新しいスポーツを始める時、身体的には「したい・できるはず」の運動が、実際には「起こせない・できない」ということもあります。本Labでは、その成り立ちを理解するために、コンピュータ・物理・数学を活用したバイオメカニクスという手段を用いて、身体を分析・研究しています。
日本は世界一の長寿国であり、世界一の高齢化率を誇る高齢化先進国です。世界はこの超高齢社会に日本がどのように対応するかに注目しています。「サルコペニア(骨格筋量低下・筋力低下)」「フレイル(加齢により心身が老い衰えた状態)」「低栄養」は、超高齢社会におけるキーワードです。本Labでは、これら3つが高齢者の日常生活にどのような影響を与えるかについて研究しています。ご自宅で生活されている比較的元気な高齢者から、何らかの病気が原因で治療を行っている入院患者様まで、全国の研究機関や大学、医療機関と連携して行う多種多様な研究を通して、高齢者のQOLの向上を目指します。
スポーツ障害とは、競技動作の繰り返しによる過負荷により運動器に生じる障害です。本Labでは、アキレス腱障害、野球肘、腰部障害をはじめとした「スポーツ障害」に着目して、発生メカニズムを解明することを目標としています。ご遺体を対象にした運動器構造の分析や、スポーツ動作中の筋活動の解析、月経周期での女性アスリートの関節機能の調査など、幅広い視点で検証しています。また、脳活動や自律神経活動の変調、脊髄の運動制御機構に着目し、「運動機能向上」に寄与する研究も行っています。研究とアスリートサポートの両側面から、障害予防・パフォーマンス向上を目指していきます。
本Labでは、運動した時に、脳、心臓、肺、筋肉、血管などでどのような変化が起きるのか、またなぜそのような変化が生じるのかを解明し、安全で効果的な理学療法に繋がる研究をしています。新潟県内外の医療機関の理学療法士とともに、心臓や肺、腎臓など身体内部に病気をお持ちの方に協力していただく研究も行っています。これらにより、深く物事を掘り下げることに加え、広い視野を持つことで、様々な領域で活躍するための土台を身につけることができます。基礎的な研究を進めることに加え、急性期病院との連携による研究も進めており、毎年複数名が大学院に進学することも本Labの特徴です。
私たちが円滑かつ巧みに体を動かして運動やスポーツをするには、脳が適切に感覚情報を処理し、精密に筋をコントロールする必要があります。本Labでは、リハビリテーションにおいても重要となる「運動・感覚・バランス機能」に着目して、脳がどのように機能しているか、どのような刺激を与えるとこれらの機能が向上するかを明らかにすることを目的としています。また、多くの方が悩みを抱えている「痛み」に対する脳内メカニズムについても研究しています。学生同士が自ら疑問を発見し、協力し合って疑問を解決する楽しさを感じるとともに、その能力を習得することを目指して活動しています。
アキレス腱炎や膝蓋腱炎など様々なスポーツ障害が存在しますが、いずれの障害についても、その発生メカニズムが十分に解明されていないのが現状です。本Labでは、ご遺体を対象にして筋肉や靭帯、骨構造を詳細に分析し、そのデータをもとに生体力学的検証を行い、発生メカニズムの解明に向けて取り組んでいます。また、本学に設置されたアスリートサポート研究センターの事業として、女性アスリート特有のスポーツ障害(低エネルギー・無月経・骨粗鬆症)についても調査し、女性アスリートが健全にスポーツに取り組める体制づくりについて多職種と連携・協同して取り組んでいます。
理学療法の対象となる方は、運動がうまく行えなかったり、感覚が分からなかったり、過剰に痛みを感じてしまったりといった様々な問題を抱えています。現在は、そのような方に対して、いかに効果的なリハビリテーションを提供できるかが非常に重要視されています。本Labでは、脳機能の観点から「効果的なリハビリテーションはどのようなものなのか?」、「どのような人に有効なのか?」、「なぜその治療が効果的なのか?」といった疑問を解決するための研究を行っています。Lab生の興味と教員の知識のコラボレーションにより、疑問を解決する楽しさを実感できるように取り組んでいます。
本Labでは、罹患者が多い痛みの基礎的な仕組みの理解と治療・予防法の研究を行っています。具体的には、肩こりや腰痛、運動後の筋肉痛などの身近な痛みから、関節や筋肉など全身に強い痛みが生じる線維筋痛症やギプス固定などの影響で起こる慢性難治性疼痛に至るまで、幅広く痛みの研究を行っています。本Labは、最先端の設備と技術を有し、国内外の大学や研究機関との共同研究を行うなど、世界トップクラスの運動器疼痛研究を推進しています。特に、発痛や鎮痛の仕組みをマクロからミクロレベルで理解することで、根拠に基づくリハビリが実現できる理学療法士の育成を目指しています。
スポーツ選手の華々しい活躍の影で、多くのアスリートがケガによって苦しい時間を過ごしています。ケガの中でも特に、膝関節にある重要な靭帯である膝前十字靭帯が損傷されてしまうと、競技復帰までに長い時間を費やしてしまいます。そのような選手生命を奪いかねないケガは、どのように発生するのでしょうか。本Labでは、そのような疑問を解決するために、三次元動作解析装置を用いて着地などの競技動作の検証や、膝前十字靭帯を損傷しないために必要な筋力量について研究を行っています。この研究は、県内バスケットボール部の強豪校と連携しながら進めています。
本Labでは、理学療法士に必要な基礎知識である「人体の構造と機能」を明らかにすることを目的として研究を行っています。研究では、ふだん触れることの少ない骨や筋などに実際に触れながら観察や計測を行い、時には解剖も行います。こうした活動を通して、人体の構造と機能に関する“新たな発見を目指すこと”がこの研究の最大の魅力です。人体に関することならば、他の動物との比較解剖学や人類進化学などの幅広い分野からテーマを選ぶことができ、その手法も顕微鏡を使うミクロの世界から実際にヒトを解剖したりするマクロの世界まで様々で、学生は自分に合った研究法を選んで研究していきます。
これまでの研究から、運動療法や物理療法などの理学療法を行うことで、脳機能が変化し、運動機能やバランス機能が改善することが分かっています。しかし、そのメカニズムについては未知な部分も多く、意図的に脳機能を変化させるために必要で、効果的な運動や刺激、またその種類や時間など、解明しなければならないことは山積みです。本Labでは、痛みを感じさせることなく脳を刺激する方法である“非侵襲的脳刺激法”を用いて、運動機能やバランス機能を改善させる刺激方法・治療方法の開発を目的とした研究を行っています。
理学療法士が対象とする患者様の多くが、からだに痛みを抱えています。その中には、治療が難しい痛みも含まれます。近年、このような治療が難しい痛みの一部は、脳に原因があるのではないかと考えられています。そこで、痛みが脳でどのように情報処理されているのかをヒトの脳が出す微弱な電気信号を捉える装置を用いて研究しています。この研究を通して、痛みを感じる神経活動の大小を比較し、痛みを感じる際の脳のメカニズムを解明することで、治療が難しい痛みの軽減などに役立てられればと考えています。
本Labでは、「脳卒中後遺症の半身麻痺がリハビリで治るのはなぜか?」「どんなリハビリが脳卒中後遺症に一番効果的なのか?」という疑問をテーマに研究しています。また、脳卒中を人為的に起こさせた小動物にリハビリを行い、そのとき脳の中で何が起こっているのか、その解明にも挑んでいます。本Labでは、それぞれの学生が脳卒中のリハビリの効果について異なる方向から追究しており、お互いに様々な情報を共有し合い意見交換を行いながら、研究を深めています。
本Labでは、運動時の「筋肉の活動」や「脳の活動」などを解析して、ヒトが滑らかな動きを行うための神経機構や運動学習過程の解明に取り組んでいます。理学療法の現場では、対象者の病気や障害などの問題点を見つけて解決しなければなりません。そのため、学生自身の「自ら学ぶ力」や「問題発見・解決能力」を向上させることと、「筋肉および脳の活動」を計測・解析するための手法や考え方を修得することを目指してLab活動を行っています。
脳や脊髄に病気を持つ方への理学療法を行うことを目的に、「電気刺激」と「運動」が脳活動に及ぼす効果を計測・解明する研究を行っています。理学療法では、対象者と向き合ってリハビリテーションを行うことに加えて、最新の文献を読んで自分の知識・技術を高めることが必要です。そのため、研究を通じて自ら成長していくために必要な技術を一つでも多く修得することを目指して、学生たちと共に楽しみながらLab活動に取り組んでいます。
本Labは、人間の運動・動作のメカニズムについて研究しています。理学療法における研究では、最善を尽くしても予想しない結果になることがあります。しかし、そこで諦めず、そうなった理由についてもう一度考え直してみることが、次につながる一歩になります。上手くいかない時こそ、前向きに考える気持ちが大切になってきます。目標に向かって精一杯努力する。その「過程(プロセス)」が最も重要であると考えています。