女性アスリート特有の問題点として、「low energy availability(利用可能エネルギー不足)」「無月経」「骨粗鬆症」があり、これらは「女性アスリートの三主徴」と呼ばれています。「女性アスリートの三主徴」は継続的な激しい運動トレーニングが誘因となり、それぞれの発症が相互に関連する重要な問題です。女性アスリート特有の心身の課題については、スポーツ庁の主要な事業の一つとして取り組まれており、調査研究や啓発活動の成果は社会に周知されてきました。具体的な実践レベルで、各競技団体ならびに各自治体が工夫して取り組んでいますが、基本的な医科学支援体制は十分とは言い切れません。とりわけ、新潟県などの地域においては相談者・相談窓口が限定され、恒久的かつ体系的な医科学的支援を受けることが難しい現状です。日本各地で活動する女性アスリートを支援するには、各地域における医科学支援拠点の構築が急務です。本学では2016年度にアスリートサポート研究センターを設立し、スポーツドクター、理学療法士、管理栄養士、アスレティックトレーナー、スポーツカウンセラーなどが協働・連携するマルチサポート体制を構築して女性アスリートを支援しています。このようなサポートシステムは全国的にも珍しく、医療福祉系の総合大学である本学だからこそできる多職種連携チームによる支援体制といえるでしょう。これまでは、本学の女性アスリートを対象に、学内における女性アスリートの医科学支援体制を構築してきました。今後はこの体制をさらに発展させ、新潟県の女性アスリート・指導者も専門的・包括的な医科学的支援を受けられる「産官学連携による女性アスリートの医科学支援拠点」を形成します。これにより、新潟県の女性アスリート・指導者は居住地域などで競技力向上を図りながら、安全かつ安心して活動できる環境を整えます。そして、専門的・包括的な医科学支援、自身の健康問題に対する理解の促進、予防及び早期発見に向けた適切な教育を受けられる地域社会の実現を目指します。
全国でも数少ない「保健」「医療」「福祉」「スポーツ」の総合大学という強みを活かし、スポーツ科学、健康科学、リハビリテーション科学、社会学などの分野における課題解決に向けた先端的な研究を行っており、スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野における文部科学省科学研究費採択件数では、全国第3位となっています。