医療経営管理学部
Department of Health Informatics 医療情報管理学科
診療情報のスペシャリストである診療情報管理士への社会的ニーズは年々高まっていて、本学の学生にも認定試験を目指す学生はたくさん存在します。しかしながら診療情報管理士認定試験に向けての学習中に、自分に合った学習方法を確立できないままに受験し不合格となる学生も見受けられます。本ゼミでは、過去問題が存在せず、試験対策が立てにくい認定試験に対して、合格に向けて何が必要かを探求し、それに基づく最適な学習方法を研究していきます。認定試験を受験する予定の学生が、確実に合格を手に入れることを主眼において実践的で効果的な研究、指導を行います。
坂井ゼミでは、本学の診療情報管理士認定試験受験者に実態調査を行い、統計分析や共起分析を使って合格率を向上させる最適な学習方法を検討しています。アンケートを行うにあたっては、回答者に負担を与えない質問数の設定や誤解を生まない言葉遣いなどに配慮し、アンケート調査の目的を明確に定めることに注力しました。この研究を通して、問題解決に向けて見通しを立てる力が身についたと思います。
遠隔医療に代表される新しい医療技術は、登場から社会への浸透までの過程で時代の要請を反映して様々な視点から研究されています。本ゼミでは、こうした研究の全体的傾向に加えて、政策、法律、社会制度などとの関連について研究を行います。研究と政策を併せて分析することで、研究を後押しする要因や社会への還元の手法への理解につながります。また、多くの研究や関連政策に触れることで、広い視野での分析力が高まり、社会活動への本質的理解が深まります。これからの技術革新を目の当たりにする学生に、技術導入や普及の方策を考えるための戦略立案能力が備わることも研究の目的です。
遠隔医療の報酬に関する制度変更が、遠隔医療分野の研究傾向に及ぼす影響を明らかにする研究を行い、医療費の抑制を目的に遠隔医療が発達してきたアメリカに焦点を当て、州ごとの規制やパンデミックによる影響、セキュリティ上の問題といった多様な視点から理解を深めています。情報を整理できず研究が進まない時期もありましたが、メンバーと頭を抱えながら試行錯誤したことにより、最終的に大きな成果を得られました。
医療機関や福祉施設は厚生労働省が指導するルールに基づいて運営されています。これらの機関が提供するサービスの高度化や質の向上を目指す時、経営改善は避けては通れない重要な課題です。本ゼミでは、指導教員が中小企業診断士として実際に医療機関の経営戦略策定や福祉施設の運営指導に向き合った経験を基に経営改善の研究を行います。この研究を通じて、現状とあるべき姿のギャップを把握する「理解力」、ギャップが生まれる原因を究明できる「分析力」、ギャップ解消のために取り組むべき課題を設定できる「発想力」を身につけることができます。この3つは社会人になっても役立つ能力です。
診療所の電子カルテ導入率が低い背景について、会計学や簿記の知識をもとに財務諸表への影響額などを調査し、導入の意思決定につながる研究を行っています。医療費の抑制を目的に遠隔医療が発達してきたアメリカを対象として、州ごとの規制やパンデミックによる影響、セキュリティ上の問題といった多様な視点から理解を深めています。導入できない要因を探っていく中で、広い視野で物事をとらえる大切さを学びました。
現在、AI(artificial intelligence/人工知能)という言葉を様々な場面で目にするようになってきました。私たちはこれから、AIに代表される情報技術を効果的に人間生活に活用する必要があります。本ゼミでは、IT・ICT(Information and Communication Technology)を使った技術的な研究はもちろん、医療・福祉・スポーツ現場のみならず、日常生活の中での情報技術の活用方法の提言やシミュレーションなどの研究も行います。最近では、教育現場でのAI・データサイエンスの活用に関する研究を行っています。
今、特に医療提供体制は注目されています。医師や看護師などが安全に、効率的に業務を行うための支援策は何が考えられるか?患者さんに対し医療の質を高めながら待ち時間や入院期間を短くするにはどのようにすれば良いか?経営を考えることとは収入や費用とともに「業務の仕組み」を知り、情報を分析し、改善方策を検討、結果を評価する方法について研究をしています。病院経営管理の専門職、経営感覚を持った総合職として社会での活躍につながる分野です。
近年、インターネットが様々な機器と組み合わさることで、今までにないサービスが生まれてきました。その半面でコンピューターセキュリティの重要性も高まっていると言えます。またAI技術の発展も顕著であり、人間の能力を超える解析能力が生まれつつあります。本ゼミでは、このAI技術を用いたセキュリティ技術の検討を行っています。AIは非常に難しいイメージがあると思いますが、近年では大学生でも比較的容易に使用できる環境が生まれています。このような最新の技術と学生とのディスカッションで生まれる新しいアイディアを組み合わせて研究を行っています。
メタボリック症候群は、糖尿病や高血圧症など様々な生活習慣病をもたらすと言われています。メタボ健診とは、生活習慣病の早期発見・予防を目的とする内臓脂肪型肥満に着目した健診で、2008年度から全国一斉に行われています。本ゼミでは、メタボ“あり”の人は“なし”の人に比べて生活習慣のどこが異なるのかを質問項目ごとに比較すると共に、離島と高齢化・過疎化が最も進んだ町の間でも比較検討しました。今後は、新潟県の全30市町村のデータの比較をすることも検討しています。また、将来的には、年度ごとの経年変化を比較検討していくことを考えています。
Toru Takiguchi
教授「地域集積性」とは、情報分析に地理情報を重ねる特殊な統計手法です。例えば、心臓疾患による死亡と大気汚染との関連性の研究は通常の研究では不可能です。これを米国では、人工衛星の特殊センサーにより微細な塵を定量化し、市区町村ごとの心臓疾患死亡者率を統合して地理学的な重なりから因果関係を証明しています。また、日本でも地域の産業形態を示す第1~3次産業比率は関東においてそれぞれ地域的な集合度に特徴があります。本ゼミでは、その産業特性と疾患や病院の分布などとの関連を分析する学問である地域集積性に関する研究を行っています。
医療で扱う情報は様々な種類がありますが、CTスキャン画像データ、X線画像データなどのデータを処理して、3次元モデルを作成したり、関節運動データとの関連性を調べたりしようと考えています。私の専門はもともと、生体力学(バイオメカニクス)という分野です。この分野は、生体(人体など)に力学を応用しながら、様々な知見を解明していく分野です。この分野で、先に述べた、各種画像データ、関節運動データなどの情報処理技術を使った研究を行っていきたいと考えています。
今日、病院情報システム/電子カルテを導入する医療機関は増加の一途をたどっています。機械を用いることで人間の負担を減らし、空いた時間を有益に使うことができるようになるからですが、人間が行う、高度で複雑な医療業務の全てを自動的になぞるのは、機械にとってはまだ苦手であり、機械の得意不得意を人間が理解して、上手く使うことがとても大事です。また、電子システムに蓄えられた医療情報は共有された経験として生かされることができますが、医療の質の向上に役立てるには適切に取り出して解析することが必須になります。機械をいかに上手く使っていくか、さらに蓄えられた情報をどのように活用していくかを主要なテーマとしています。