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医療技術学部

Department of Radiological Technology

  • 学生の在籍学年は2023年度在籍時のものです。

前島ゼミ

放射線治療・粒子線治療の技術の研究

前島 偉 Isamu Maeshima 准教授

診療放射線技師の職務のうち、私は放射線治療(粒子線治療)を研究しています。専門の研究所が世界に100施設ほどしかない中で25施設を占める日本での研究活動は、最先端といえます。そして、国内で粒子線治療に携わっているごくわずかな教員の一人が私です。当学科の放射線治療計画装置を使い、大学では全国初の陽子線治療計画を立案できます。現在、全国の粒子線治療施設や企業とも共同研究を計画しています。高齢化が進む日本では、がん治療での放射線治療が増加すると考えられ、それを担う人手の不足も予想されますが、だからこそ本ゼミで学べば社会で必ず活躍できるに違いありません。

全国でも導入例の少ない陽子線の治療計画に取り組める環境で、粒子線治療の線量測定や装置の品質管理に関する研究を行っています。前島ゼミでは調査内容をスライドで発表するため、最新の乳がんへの照射法やがん細胞の特殊な動きなど多岐にわたる情報をゼミメンバーと共有できました。本ゼミで得られた治療法や腫瘍学の知見、機器の精度管理技術を活かし、多くの方が放射線治療を安心して選択できるように貢献していきたいです。

診療放射線学科3年 西方 快騎 新潟県 小千谷高等学校出身

笠井ゼミ

病気の早期発見のためのAI研究

笠井 聡 Satoshi Kasai 医療福祉学研究科保健学専攻放射線情報学分野長/教授

私は医用画像や医療現場データを利用したAI(人工知能)に関する研究を行っています。検診で撮影される胸部単純X線画像やマンモグラムを用いて、異常所見の早期発見・予測の実現を目指しています。また、周産期を迎えた妊婦の胎児の心音を解析し異常を知らせるAIの研究も進めています。本ゼミの強みは、外部の医師や検診施設、企業、工業大学との広範なネットワークです。各分野の方と意見を交わすことで、多角的な観点からAI研究の新たな価値を探究できます。学生はゼミを通して、医療現場におけるAIの活用方法を学べるとともに、専門家との対話によりコミュニケーションスキルが身につくでしょう。

AIを用いた研究ができる点に魅力を感じ、笠井ゼミを選びました。現在、乳がん患者のマンモグラフィ画像を使い、腫瘤や石灰化、構築の乱れ、局所非対称性乳腺などの所見をAIで描出できるか研究しています。乳がんクリニックの医師からもお話をうかがい、診療放射線技師の技量が病気発見に重要であると再認識できました。AIの有用性を証明できれば医療現場での読影補助に活用でき、病変の早期発見にもつながると考えています。

診療放射線学科3年 渡邊 侑里 福島県 橘高等学校

石風呂ゼミ

3次元画像解析に関する研究

石風呂 実 Minoru Ishifuro 教授

私たちは、医療分野で役立つ基礎的な研究を行っています。3次元画像解析を主軸として、形態学的特性や生体生理、運動生理学、病理学的な変化との関係を調査し、医学・スポーツ科学分野で広く応用できる成果を得ることが目的です。このゼミの特長は、人間工学に基づいたホログラフィックコンピュータHoloLensを使用していることです。この最先端のデバイス機器で実際の空間に人体の3次元画像を表示し、人体の構造を学びます。3次元画像処理は、画像診断や治療に必要な情報を提供しています。この画像処理技術を学んで生体や病態をより深く理解し、医療従事者の貢献度を高めることを目指します。

CTを用いて複数の2次元画像を組み合わせ、被写体の3次元形状を解析する研究をしています。未来の医療において期待される技術の1つである3次元画像解析の技術を習得し、運動生理学・スポーツ医学分野で広く応用することが、本ゼミの目的です。研究を通して、「病変部位の正確な把握で治療効果が高まる」、「体内の構造や病変部位を患者様に分かりやすく説明できる」などのメリットにも気づきました。

診療放射線学科3年 矢田 直 新潟県 立巻高等学校

関本ゼミ

放射線計測および防護に関する研究

関本 道治 Michiharu Sekimoto 准教授

放射線は、病気の診断から治療に至る医学医療領域に広く利用されています。しかし、放射線が人体に与える影響や計測・防護に関する専門家が非常に少ないのが現状であります。福島第一原子力発電所の事故以後、放射線による人体への影響や放射線から身を守る手段など、放射線の知識と技術を有する診療放射線技師が必要とされています。本ゼミでは、「放射線のスペシャリスト」となる人材育成を目的に、放射線計測・放射線防護、そして生体機能を評価するのに優れている核医学検査を中心に研究をしています。「放射線」に興味がある積極的な学生の参加を期待しています。

<ゼミの研究内容例>

吉田皓文ゼミ

X線検査の主観的評価の自動化に関する研究

吉田 皓文 Akifumi Yoshida 助教

X線検査は比較的手軽に多くの情報が得られる検査です。このX線写真が「病変をしっかりと映し出せるか」を評価し、質を担保することが重要です。画像を評価するため、経験豊富な有識者が画像を観察し、画像中の部位ごとに見やすさを点数化する方法が取られています。この人間の目を介した評価は、専門知識・十分な経験を持った専門家が必要であり、誰もが行えるわけではありません。本ゼミでは、この評価法を、人工知能技術を応用し、自動で、高精度に行える手法を研究しています。検診施設と連携し、実際の診断画像を用いて、自動計測するアルゴリズムの開発にチャレンジしています。

<ゼミの研究内容例>

笠原ゼミ

放射線治療の品質と精度に関する研究

笠原 敏文 Kasahara Toshifumi 教授

がん治療の三本柱の一つに放射線治療があります。放射線治療は、身体の機能や形態が温存でき、痛みを伴わない治療法であるため、選択される機会が増えると予想されています。放射線治療を行う際には、充分な放射線量を照射しつつ、周辺の正常な組織への影響を最小限に抑えることが重要です。そのために最適な投与線量の把握と治療計画の立案、そして照射の精度を上げる必要があります。現在は、CTシミュレーション装置と放射線治療計画装置の普及に伴い、放射線治療の品質と精度は飛躍的に向上しています。本ゼミでは、さらなる放射線治療の品質と精度の向上を目的に、放射線治療技術の開発と普及を目指しています。

橋本ゼミ

医療機関のBCPに関する研究

橋本 薫 Hashimoto Kaoru 講師

現在の医療機関の業務には、医療情報システムが不可欠です。しかし、従事する医療スタッフは、必ずしもシステムに対する理解が十分とは言えず、トラブル対応が難しい場面に遭遇するかもしれません。それに加え、自然災害などにより電力供給が絶たれる事案が発生すれば、診療の継続が困難になります。その際に、患者さんの診療をいかに早く再開できるかは、日頃から医療スタッフ一人ひとりが医療情報システムの仕組みを理解し、それぞれの状況に応じた対策(BCP=事業継続計画)と訓練の実施が最も有効です。本ゼミでは、医療機関の中でもシステム化の進んでいる放射線部門の視点から、医療機関にあるべきBCPについて検討し、研究しています。