連携総合ゼミ
本学の特徴的な取り組みの一つである「連携教育」の一環として、3年次後期と4年次前期に開講されるゼミです。他学科の学生と混成で一つのチームを形成し、具体的な症例をもとにグループワークを通じて支援策を検討します。これまで学内外で修得した専門知識・技術を活用し、他学科の学生と協働して課題に取り組むことで、将来「チーム医療・ケア」の現場で必要となる関連職種への理解やチームワーク技法について実践的に学ぶことができます。
「連携総合ゼミ」テーマ
高齢者糖尿病合併症患者の支援策
糖尿病に軽度の認知症を合併した高齢女性(患者)に対して、本人の意見を考慮し、夫の不安を減らして在宅生活を送れるよう支援策を考えました。
【患者】妻(75歳)
●糖尿病・認知症の自覚なし
●網膜症、軽度認知症
●メタボリックシンドローム治療中
【要望】入院せずに、自宅での生活を続けたい。
夫(77歳)
●足腰が悪い
●患者が重症化した場合、面倒を見ていけるか不安
【要望】介護の負担や不安を減らしたい。
多職種連携による支援策検討の様子
患者さんの下肢の筋力が低下すると介護量が増えてしまうので、筋力を維持できるように自宅で行える運動プログラムを立案したいと思います。また、患者さんが低血糖を起こさない運動のタイミングについても指導できそうです。
家庭環境をみて、生活しづらいところがないかを確認したいと思います。ご家族は足腰が悪いので、住宅内に手すりの設置なども提案し、日常生活がスムーズに送れるよう支援しましょう。また、作業療法士は身体だけではなく「心」のサポートも行うので、患者さんとそのご家族のメンタルケアも行っていきます。
ご家族の介護に対する不安や負担を軽減することが大切です。訪問看護スタッフと連携し、ご本人とそのご家族の様子を継続的にモニタリングします。状況によりレスパイト(妻の介護に関する一時的な休息)も検討する必要があるかもしれません。
血糖値をコントロールするためには食事も重要です。この患者さんの身体状態であれば料理をつくることが可能であるため、糖尿病と高血圧症の進行を抑えながら適切なエネルギー量が摂れる食事の献立指導をしたいと思います。普段から間食をとるのも好きなため、糖質の吸収をゆるやかにするための間食の摂り方を指導するなど、患者さんが食事を楽しめるよう意識して指導します。
この患者さんの眼の検査結果から、網膜症を併発していることが分かりました。あまりに運動量が多いと網膜剥離など別の疾病を引き起こす可能性があるため、視覚を確保しながら生活してもらうためにもどんな運動をすると良いか考える必要があります。
血糖値を下げつつ運動量を上げ過ぎないよう注意しながら、ウォーキングなどの有酸素運動をしてはどうでしょうか。患者さんの性格を考慮し、運動を無理せず継続してもらうためにも、訪問看護の際に確認して管理していくことが大切だと思います。
運動に加え、糖尿病では血糖値をコントロールするために、しっかりと薬を飲むことが重要です。この患者さんは軽い認知症もあったため、訪問看護で服薬を管理することも支援策に組み込みましょう。これであれば、週に数回しか行えない訪問看護でも十分支援できると思います。
結論テーマに沿った最善の支援策とは!?
- 今回の患者さんは「訪問看護」で「服薬管理」をサポート!
- 合併症に注意しながら、自宅でも可能な「運動プログラム」の立案を行う!
- 糖尿病と高血圧症の進行を抑えながらエネルギーが摂れる「食事の献立指導」を行う!
このような討論を実践できるのは、チーム医療で協働する
多職種が1キャンパスに集まる唯一無二の環境があるから!