新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。皆さんを新たに新潟医療福祉大学に迎えることができ、教職員一同大変嬉しく思います。新型コロナウイルス感染症のため、本日ご臨席をいただくことは叶いませんでしたが、保護者の皆さまにもご子息、ご息女のご入学を心からお祝い申し上げます。
本学では一昨年も昨年も、入学式を開催できず、オンラインで最小限の式典に留めましたが、本年は関係する皆さんの努力で、3年ぶりに朱鷺メッセにおいて開催することができました。しかし、依然として、新型コロナウイルスによるパンデミックに翻弄される日々が続いています。1月に始まったオミクロン株による感染第6波が収まらない内に、新潟県を含めて、早くも新規感染者数は増加に転じています。国民の間には、「もううんざり」という「コロナ疲れ」や、「オミクロン株は軽症なので、この程度なら大丈夫」という「コロナ慣れ」がみられる中で、第7波の到来が危惧される状況にあります。
そこで皆さんには第一に、本学における新型コロナウイルス感染症対策をよく理解していただく必要があります。この入学式にも皆さんが安全に、安心して参加していただけるように、7日前から健康観察記録をつけるようお願いしました。これからも7日間無症状であることが確認できれば、学内に入構できます。県外に移動するなどして7日間を確保できない場合は、入構する48時間前からのPCR検査で陰性を証明するか、あるいは前々日と前日の2回、皆さんで抗原定性検査を行って陰性を証明するか、を強く推奨しています。新潟県が開設している無料検査所は6月末まで延長されましたが、本学独自のPCR検査施設も5月の連休明けには稼働できるよう準備しています。抗原検査キットも、必要な場合には大学が用意しますので、疑わしい場合には、速やかに検査を受けましょう。
大学のホームページやポータルサイトには本学の「行動制限レベル表」が掲示されています。皆さんが学内外でさまざまな活動を安全に行う上で、守っていただきたい内容が示されていますので、このレベル表を必ず確認してください。よくわからないことがあれば、遠慮なく学生課や各学科の担当者に問い合わせてください。現在の行動制限は一律レベル1で「注意して行動する」となっています。皆さん一人一人が、自らが感染しないために、また、周囲に感染させないために、常に細心の注意を払い、感染防御対策を徹底してください。
感染防御対策の基本として、本学ではオミクロン株の特性も踏まえ、(1)会食・カラオケを回避すること、(2)常にマスクを装着し、口・鼻に触れないこと、(3)健康観察と行動の記録を継続すること、の3項目を徹底するようお願いしています。
本学では、学内で感染クラスターを発生させないよう慎重な対応を続けてきたのですが、今年の成人式後に100人を超える大きなクラスターが発生してしまいました。感染対策の基本である「検査と隔離」によって、何とか収まりましたが、このために大学の機能は深刻な影響を受けました。学内入構は原則禁止となり、授業は後期の定期試験を含めて、原則オンラインで行わざるを得なくなりました。こうした事態の再発は何としても防がねばなりません。このため、皆さん一人一人に、本学の学生・院生として分別ある行動を求めます。また万一、PCR検査で陽性と判定されても、皆さんのプライバシーは確実に守りますので、安心してください。
本学は新潟市北区島見町の地で、文字通り「ワンチーム」として活動してきた大学です。2001年に5学科、入学生321名からスタートして、開学22年目を迎えた今年度は13学科で1,233名、大学院で70名の計1,303名を新たに迎えて、学生数は4,895名に達しました。現在、わが国は未曽有の少子化と超高齢化に直面していますが、その中でも健康の維持・増進と健康寿命の延伸という目標を達成しなければなりません。本学はこのために欠くことのできない保健・医療・福祉・スポーツという分野に特化して、地域で暮らす人たちのquality of life(QOL)を支える多職種の優れた専門職を育成することを建学の精神に掲げてきました。サッカーのアルビレックス新潟を応援するサポーターに倣って、「優れたQOLサポーターの育成」というスローガンを掲げているのです。建学の精神を踏まえた基本理念は、第一に「優れたQOLサポーターを育成すること」、第二は「新潟市を始めとする地域社会に貢献すること」、第三は「国際交流を促進し、国際社会に貢献すること」です。このような基本理念を掲げる大学ですから、本学は明確な使命を帯びていることをおわかりいただけるでしょう。
そこで、今日は皆さんに一つお願いがあります。それは、各学科で設定されているDiploma Policy、略してDPを確かめることです。DPとは、学位授与のための修了要件や、卒業までにどのような能力を修得して欲しいかを示したものです。このDPを達成することを目的として各学科のカリキュラムが構築されていますので、年度毎に、DPに対する到達度を評価し、皆さんと指導教員で共有して行くことになります。本学の学生・院生として、皆さんは常にこのDPを念頭におき、授業に取り組んでください。
それでは、本学の建学の精神が目標とする「優れたQOLサポーター」となるためには、本学で何を学ぶ必要があるでしょう。鍵となるのはempathyという言葉です。日本語では「共感」と訳されることが多いですが、他者を気遣う能力という意味です。能力ですから、磨けば身に付けることができます。他者のQOLを支えるとはどういうことか、empathyを高めるためにはどうすればよいのか、本学で学ぶ学生院生の皆さんは、このempathyという言葉の意味を絶えず問いかけながら、一人一人のempathyを磨いてください。
本学は「面倒見の良い大学」であると宣言しています。皆さんの大学生活が豊かで実り多いものとなるよう、われわれ教員・職員は皆さんを全力でサポートします。皆さんの輝かしい未来と大学の発展に向かって、ともに歩んで行きましょう。
2022年4月6日 新潟医療福祉大学学長 西澤正豊