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2020年度 卒業式式辞

2020年度 卒業式式辞

卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。大学院修了生の皆さん、修了おめでとうございます。新潟医療福祉大学学長として、心からお祝いを申し上げます。新型コロナウイルス感染症が蔓延しているため、本日ご臨席をいただくことは叶いませんでしたが、保護者の皆様にも心からお慶びを申し上げます。
 
今回卒業なさるのは、理学療法学科125名、作業療法学科29名、言語聴覚学科34名、義肢装具自立支援学科37名、臨床技術学科100名、視機能科学科47名、健康栄養学科45名、健康スポーツ学科207名、看護学科86名、社会福祉学科130名、医療情報管理学科90名に、今回初めての卒業生となる救急救命学科52名、の計982名、大学院を修了なさるのは修士課程44名、博士後期課程9名の皆さんです。
 
本日ご臨席の、あるいはオンラインで参加いただいている本学教職員の皆様にも、学長として心から御礼を申し上げます。本学は「面倒見のよい大学」であることを標榜していますが、本日無事に卒業式を迎えることができましたのは、文字通り、日頃から熱心にご指導いただき、面倒を見ていただいた賜物と感謝しております。
 
2020年は新型コロナウイルスに翻弄された1年でした。本学も前期はすべての授業をオンラインで行い、定期試験もオンラインで実施しました。後期からは漸く実習・演習を再開することができましたが、大学生活においてとても大切な課外活動も、前期は行うことができず、充実した大学キャンパスライフを送ることも叶わなかったでしょう。それでも皆さんは、これまで誰も経験したことがなかった困難に立ち向かい、本日、晴れの卒業・修了の日を迎えることができたのです。皆さんの努力を、教職員一同、心から称えたいと思います。
 
2021年も、新たな変異型ウイルスによる感染の波は発生することでしょう。皆さんはクライアントに接する仕事につくのですから、皆さんからクライアントに感染させてはなりません。ワクチンによってこの感染症をコントロールできるようになるまで、当面は同居するご家族以外との会食は避け、常にマスクをつけるという最も基本的な感染防御対策を守りましょう。「これくらいは大丈夫だろう」と油断することなく、常に細心の注意を払い、新潟医療福祉大学の卒業生・修了生に相応しい、分別ある行動を続けてください。
 
皆さんの多くは、これから社会に出て、地域のさまざまなクライアントを支える「QOLサポーター」になります。人と直接接する仕事ですから、「言葉」を大切にしなければなりません。国語の力をつけ、語彙を豊かにしなければなりません。語彙がなければ、皆さんが身につけた力をクライアントに伝えることはできないのです。クライアントとの面談の場で、適切でない言い方をしてしまっては、クライアントとの関係がギクシャクしてしまいます。
 
「人間はその語彙を大きく超えて考えたり、感じたりすることはない、といって過言ではない」。これは数学者の藤原正彦氏の言葉です。「知的活動とは語彙の獲得に他ならない」とも言っています。彼は「祖国とは国語」というエッセイ集の中で、「読む、書く、話す、聞くが最重要であることは論を待たないが、それ以上に重大なのは、国語が思考そのものと深く関わっていることである。言語は思考した結果を表現するにとどまらない。言語を用いて思考するという面がある。」と述べています。
 
そしてもう一人、思考の大切さを言葉に残している人がいます。
 
思考に気をつけなさい。それはいつか言葉になるから。
言葉に気をつけなさい。それはいつか行動になるから。
行動に気をつけなさい。それはいつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさい。それはいつか性格になるから。
性格に気をつけなさい。それはいつか運命になるから。
これはノーベル平和賞を受賞したマザー・テレサの言葉です。
  では、どうしたら皆さんの武器としての語彙を増やすことができるでしょうか。それには読むことが最も大切です。ただ、何を読んでもよいということではありません。古典から現代に至るまで、われわれの先祖・先輩が育んできた大切な財産としての書物を読むことです。人生の実体験だけで補うことはできません。こうした読書を通じて初めて、日本人としての情感や感性を理解することができるようになるのです。インターネットや漫画に費やす時間があれば、本を読みましょう。
 
私たち新潟医療福祉大学の教職員は、建学の精神に則り、皆さんがこれから地域で「優れたQOLサポーター」として活躍できるように、皆さんをサポートしてきました。今度はあなたたちが木を植える番です。地域で「優れたQOLサポーター」として働きながら、次の世代の人たちのために木を植えてください。そのために、本学はこれからも皆さんをサポートし続けます。皆さんの活躍を心からお祈りしています。
 
最後に私から皆さんに「はなむけの言葉」を送り、卒業式・修了式の学長式辞とします。
「明日この世がなくなってしまうとしても、僕は今日もリンゴの木を植える」

2021年3月17日 新潟医療福祉大学学長 西澤正豊