言語聴覚学科ゼミ紹介

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※学生の在籍学年は2022年度在籍時のものです。

大石ゼミ
脳損傷後に起こる失語症に関する研究

大石 如香教授写真

大石 如香
Yuka Oishi
教授

声や話し方、自分の想いを相手に伝えること、それは自分のアイデンティティそのものです。このアイデンティティが揺らいでしまう、失われてしまう、それが言語障害を抱える患者様の心境ではないでしょうか。本ゼミでは、病気や事故で脳に障害が起きてしまった患者様に対してどのような支援ができるか、また患者様にとってリハビリテーションとはどんな存在かを実際の臨床現場の経験を交えて考えています。研究活動を通して、言語聴覚療法を必要とする方々への理解を深めるとともに、「共感する力」を養い、患者様やそのご家族の気持ちに寄り添って支援できる力を身につけられるようにサポートしています。

金安 こころ

言語聴覚学科4年
金安 こころ
新潟県
燕中等教育学校出身

私は、失語症(言葉をうまく使うことができなくなる障害)が自動車運転にどのような影響を与えるのかを研究しました。今後は、患者様を適切に評価し、患者様を取り巻く人々に対して、どのような配慮が必要なのかを分かりやすく伝えていくことのできる言語聴覚士になりたいです。

<ゼミの研究内容例>

  • 失語症におけるカテゴリー特異性呼称障害に関する研究
  • 失語症における未分化ジャルゴンに関する研究
  • 小児の失読失書に関する研究

佐藤 克郎ゼミ
耳鼻咽喉科領域の基礎と臨床に関する研究

佐藤 克郎教授写真

佐藤 克郎
Katsuro Sato
教授

私は耳鼻咽喉科の臨床医を務めており、本ゼミでは医学的な方法論を学びつつ研究活動を進めます。耳鼻咽喉科は肩から上の脳と眼以外の領域を診療するため、様々な疾患が研究対象となります。例えば、機能性発声障害という「喉頭疾患」、突発性難聴という「内耳疾患」、耳管狭窄症と耳管開放症という「中耳疾患」、喉頭全摘術という「頭頸部がんの手術」、睡眠時無呼吸症候群という「呼吸器疾患」などを研究して、広い領域に渡る卒業研究論文を作成します。医学研究の進め方には一定の共通原則があるので、ゼミで身につけた方法論を将来の臨床と研究に活かしてほしいと考えています。

渡邉 桃佳

言語聴覚学科4年
渡邉 桃佳
新潟県
新発田南高校出身

私は、機能性発声障害(肉眼的に確認できる病変がないにもかかわらず起こる声の障害のこと)の病態や治療について研究しました。原因には心理的な問題も多くみられ、精神面へのアプローチの重要さを学びました。将来は、一人ひとりの患者様に寄り添える言語聴覚士として、身心ともに最善のリハビリテーションを提供したいです。

<ゼミの研究内容例>

  • 突発性難聴とストレスに関する研究
  • 喉頭全摘術後のリハビリテーションに関する研究
  • 睡眠時無呼吸症候群の日常生活への影響に関する研究

佐藤 卓也ゼミ
脳卒中後の自動車運転再開に関する研究

佐藤 卓也教授写真

佐藤 卓也
Takuya Sato
准教授

自動車運転は、日常生活において欠かすことのできない重要なスキルです。私は、自動車の運転に関係する脳の働きを研究して、リハビリなどの支援を行っています。患者様が仕事や家庭に戻るためにも運転再開は重要なものの一つです。社会復帰に貢献できるやりがいのある分野と思っています。この研究には運転免許センターや自動車教習所との連携が重要で、関係機関といつも連携をとっています。また、医療機関とも連携して研究を行っています。ゼミ生には私の専門にとらわれることなく自分が興味ある分野の研究を後押しして、それぞれの興味を伸ばすことをしています。

竹田 礼

言語聴覚学科4年
竹田 礼
山形県
米沢商業高校出身

私は、小児の自閉スペクトラム症について研究を行いました。自閉スペクトラム症には健常児とは違った特性があり、個人によって特性は様々です。この研究で学んだことを活かし、成人・小児関係なくすべての患者様の性格や特性を理解し、個々に寄り添った支援を行っていきたいです。

<ゼミの研究内容例>

  • パニック障害の発現機序と女性特有の特徴に関する研究
  • 吃音児への介入時期と親の対応に関する研究
  • 場面緘黙と選択性緘黙に関する研究

今井ゼミ
噛んで飲み込む機能の障害に関する研究

今井 信行教授写真

今井 信行
Nobuyuki Imai
教授

“口”は、食べるという行為の際に最初に使用する器官です。食べ物をよく嚙み砕いて飲み込みやすくしてから、のどと食道へ円滑に送り込む機能を持っています。しかし加齢や病気でこの機能が低下すると、食事困難になるだけでなく、生きていく楽しみを失いかねない状況に直面します。栄養状態の悪化が全身の筋力低下を引き起こして状態を悪化させたり、飲み込んだはずの食べ物が食道ではなく気管や肺に入ってしまうと、誤嚥性肺炎を引き起こすことがあるからです。本ゼミではそのような障害を持つ方を支援するために、言語聴覚士として専門的な知識を学び、最新のリハビリテーションを探求しています。

<ゼミの研究内容例>

  • 消化器系がんと噛んで飲み込む機能の障害に関する研究
  • パーキンソン病の飲み込みの障害に関する研究
  • 介護施設での飲み込みの障害への取り組みに関する研究

石本ゼミ
障害を持つ子と親への心理支援に関する研究

石本 豪講師写真

石本 豪
Gou Ishimoto
准教授

障害を抱える子どもたちはもちろんのこと、その家族は様々な苦悩を抱えやすいため、心理的支援の重要性が指摘されています。しかしながら、そのような家族への心理的支援が注目されるようになったのは比較的最近であり、臨床で支援の根拠とすべき理論は定まっていません。そこで本ゼミでは、学内の言語発達支援センターに来所される子どもたちやその家族を対象とした心理カウンセリングを実践し、心理的支援の知識と技術の修得を目的に活動しています。このような実践的なゼミ活動を通して、子どもやその家族の心と行動が変容していくプロセスに携われることは大きな魅力です。

<ゼミの研究内容例>

  • 自閉スペクトラム症の子どもへの社会的スキル訓練に関する研究
  • 自閉スペクトラム症の子どもを持つ母親のQOL変容に関する研究
  • 吃音を呈する子どもと家族に対する心理カウンセリングに関する研究

桒原ゼミ
人工内耳装用児者への支援に関する研究

桒原桂講師写真

桒原 桂
Katsura Kuwahara
准教授

新生児聴覚スクリーニング検査によって0歳で難聴が発見される時代になりました。国も難聴を早期に発見し生涯を通じて支援を行うことが重要であると考え、難聴と認知症の関係が話題になっています。また補聴器においては、十分言葉が聞きとれない重度の難聴児者には、人工内耳を手術で蝸牛(内耳にある音を感じ取る器官)に埋め込む治療があります。最近は、高齢の人工内耳装用者について興味を持つゼミ生が増えてきました。こうしたゼミ生たちに刺激を受けて、人工内耳の機器の調整と聞こえのリハビリの臨床を続けながら、成人人工内耳装用者の聞こえの満足度に関しての研究も始めています。

<ゼミの研究内容例>

  • 難聴者のオリンピック、デフリンピックに関する研究
  • 高齢期人工内耳装用者に関する研究
  • 聴覚障害学生への支援に関する研究

今村ゼミ
認知機能障害に関する研究

今村 徹教授写真

今村 徹
Toru Imamura
教授

ヒトの脳は運動や感覚だけではなく、「記憶」「注意」「言語」「思考」「判断」などの機能を担っています。これらは認知機能(または高次機能)と呼ばれます。本ゼミでは、この認知機能とその障害の研究に取り組んでいます。患者様とご家族に了承をいただいた上で、ゼミ生は実際に病院の物忘れ外来で活動し、多くの患者様のデータを集計して、分析するデータ研究や、一人の患者様について詳しく検討する症例研究を行います。実験室での機械や動物を相手にした研究ではなく、医療の現場(臨床)のど真ん中で研究を進めるのが本ゼミの特色であり魅力でもあります。

<ゼミの研究内容例>

  • 進行が極めて緩徐な認知症患者様に関する研究
  • 脳損傷患者様の図形模写課題におけるエラーに関する研究
  • アルツハイマー病患者様の虚記憶に関する研究

吉岡ゼミ
言語発達障害児の語彙力に関する研究

吉岡 豊准教授教授写真

吉岡 豊
Yutaka Yoshioka
准教授

私は言語発達支援センターで子どもたちの訓練をしており、その中で興味深く感じたことを研究テーマにしています。すなわち、言語症状のメカニズムや改善過程などを客観的に記述・考察することが研究テーマとなっています。訓練に来ている子どもたちの言語症状の改善を実感できることは大きな喜びで、その実感を踏まえたうえで研究できることが本ゼミの最大の魅力だと思います。ゼミ生たちの多くも小児をテーマとした卒業研究を行っているのが特徴です。また、県内の過疎地域へ出向いて「言葉の相談会」の担当をしていますが、この活動は地域が抱える問題点を考える貴重な機会となっています。

<ゼミの研究内容例>

  • 自閉症児と知的障害児が獲得した語彙の違いに関する研究
  • 機能性構音障害児における年齢と誤構音の関係に関する研究
  • 重度機能性構音障害児の構音改善過程に関する研究

内山ゼミ
認知機能障害のメカニズムに関する研究

内山 信講師写真

内山 信行
Makoto Uchiyama
准教授

脳が損傷を受けると、「話すこと」「聴くこと」「読むこと」「書くこと」「記憶すること」「注意を向けること」「見た物を認識すること」などの認知機能に障害が生じます。例えば、話すことの障害について、言いたいことが思いつかないのか、思いついたことが言えないのか、言い間違えるのか、その症状は様々であり、それぞれ違うメカニズムで生じていると考えられます。本ゼミでは、患者様の症状がそれぞれの認知機能のどのような過程の障害によって生じているのか、また、それが脳のどの場所(部位)の障害によって生じるのかを、関連病院での臨床活動を通して研究しています。

<ゼミの研究内容例>

  • レビー小体型認知症患者の認知機能変動に関する研究
  • 認知症患者の遂行機能障害に関する研究
  • 認知機能障害と教育歴との関連に関する研究