大学の基本理念
基本理念
開設時の学則で示された建学の精神は「本学は、教育基本法及び学校教育法の精神に基づき、広く保健・医療・福祉に関する専門の学芸を教授研究し、豊かな人間性と高潔な倫理性を涵養し、保健・医療・福祉に関する指導的人材の養成を目指し、もって学術文化の発展に寄与し、人類の福祉の向上に貢献することを目的とする」である(2001年)。
この学則に基づき、大学の基本理念を次の3項目とする。なお2005年に健康スポーツ学科が開設されたので、以下の文章では「保健医療福祉スポーツ」と表記する。
優れたQOLサポーターを育成する大学
- 保健医療福祉スポーツ分野の高度専門職者を育成する。
- 保健医療福祉スポーツ分野の諸専門領域を横断的、融合的に理解する人材を育成する。
- 対象者を全人的に理解し、支援する人材を育成する。
本学では全学科における人材育成の教育理念・目標の核心を、「対象者のQOL向上を考え、QOL向上のため支援を実践する人材育成」と設定し、上記1~3を実践する。教育課程の最初には専門分化でなく、保健医療福祉スポーツの分野を広く統合して考えられる人材育成を基本的目標とし、その上で高度に分化した専門職育成を行う。以上をまとめて、“優れたQOLサポーターの育成”としている。
QOL(Quality of Life)とは
本学の掲げるQOL(Quality of Life)は、人生の質や生活の質を高めることで、一人ひとりの生き方を大切にしようという考え方です。もちろん、QOLは一人ひとりによって異なり、高齢者や障害のある方だけの問題ではありません。本学では、ますます多様化するQOLはもちろん、健康寿命に対する社会的なニーズを踏まえ、社会が求める「一人ひとりのQOLの充足」を支えていく人材の育成に力を注いでいます。
看護・医療・リハビリ・栄養・スポーツ・福祉・医療ITという7つの分野を横断的に理解し、チームワークを育みながら、より効果的なQOL充足の手法を学び、そして実践する人材育成こそ目標とする教育のあり方なのです。「長く生きる」という考えから「いかに良く生きる」へ。新潟医療福祉大学は、時代が求めるQOLサポーターを育成します。
地域社会のニーズに応える大学
- 大学の教育研究情報の積極的公開・提供
- 地域の関連専門職団体や関係機関と連携して行う研究会の開催、研究会への協力
- 情報通信ネットワークによる保健医療福祉スポーツ施設、在宅介護支援機関等への支援
- 社会人等特別入学試験、科目等履修生制、聴講生制度
- 公開講座(エクステンションプログラム)開講
ア.保健医療福祉スポーツ専門職・小中高教員向けのセミナー・研究会の開催
イ.高校生など対象の夏季特別プログラムの実施
ウ.市民公開講座、市民参加交流講座の開催 - 社会的貢献-教職員・学生のボランティア活動の積極的推進
保健医療福祉スポーツサービスは、行政機関や各種施設の職員、家族・親族、ボランティア団体、住民など多様な人々によって担われる。保健医療福祉スポーツ分野の大学である本学が、専門的学術情報を中心として地域の連携拠点として機能することにより、多様な活動を有機的に結び付け、より一層地域全体としてサービス水準の向上を図れるものと考える。
また、本学学生のみならず、広く社会人に対して門戸を開き、更に地域の保健医療福祉スポーツ水準向上のため、関係機関や行政と密接に連携をとりつつ可能な限り地域住民の保健医療福祉スポーツ活動に寄与するよう努める。
国際社会に貢献する大学
- 人的交流-教員の交流・留学生の受入れや学生の派遣
- 日本周辺諸国との保健医療福祉スポーツ分野における交流のシンポジウム・ワークショップなどの開催
保健医療福祉スポーツ分野でも「発信」型の国際交流が望まれる。中国、韓国、台湾、東南アジア諸国では、程度の差はあれ、工業化、都市化、核家族化、長寿化、伝統的な家族意識の崩壊などの諸要因によって、一人暮らしや老夫婦だけの高齢者世帯が増え、健康問題、保健医療問題、介護問題などの生活問題を抱えはじめている。このような変化はまさしく我が国が辿った過程であり、その先には保健医療福祉制度の見直しや、高度専門職者育成など諸課題が生じることが予測される。
我が国が周辺諸国から期待されている役割を果たす意味からも、これらの課題に取り組み、我々の高齢社会に於ける経験に基づく有用な情報を積極的に発信し、国際的に貢献するよう努める。
教育内容の特色等
本学は教育理念と教育目標を基本理念とは別に定めているのが特徴であるが、基本理念(1)の具体概念と考えられる(再出)。教育理念(目的)は「医療福祉分野に対する社会的要請に応えるべく、豊かな人間性と高潔な倫理性に立脚し、高度な専門性に加えて他の専門領域をも横断的・融合的に理解し、研究し、実践し、教育する人材を養成する」、教育目標は「保健医療福祉スポーツの4分野を統合的に考え、他のスタッフと協力しながらQOL(=いかによく生きるか)を総合的に考え、豊かなコミュニケーションで対象者のQOLを支える「優れたQOLサポーター」を育成する」である。
上記の目的・目標を達成するため、それぞれの学科におけるカリキュラムは、その名称が示す内容の国家資格等の受験資格を取得することができるように設定し、育成する“人材像”は次の通りである。
- 対象者のQOL(生活の質、生きる質、健康の質)を自ら考え、その向上を実践する人材
- 多様な価値観に寛容であり、対話ができる人材
- 保健医療福祉スポーツ分野の複数の職種の人たちとチームアプローチができる人材
- 教養的知識と専門的知識・技能をバランス良く身につけている人材
- 保健医療福祉スポーツおよび一般社会における情報化に対応できる人材
- 異文化理解・コミュニケーションの手段として外国語を使い、自ら発信できる人材
「優れたQOLサポーターの育成」を達成するための「5つの要件」
「優れたQOLサポーター」とは、保健医療福祉スポーツ分野を総合的に捉え、他分野のスタッフと協力しながら、対象者のQOL(=いかによく生きるか)をいつも考え、その人を全人的に支える人材を意味する(再出)。
本学では「優れた」を満たす要件として、次の5項目を設定した(2010年)。
- 科学的知識と技術を活用する力(Science & Art)
- チームワークとリーダーシップ(Teamwork & Leadership)
- 対象者を支援する力(Empowerment)
- 問題を解決する力(Problem-solving)
- 自己実現意欲 (Self-realization)
「5つの要件」を表す英語の頭文字を取ってSTEPSとまとめている。なお保健医療福祉スポーツ分野でエンパワメント(Empowerment)は、「対象者自身が自分らしく生きる力(自己決断力)および権利(自己決定権)」を意味するので、上記3を厳密に表現すれば「対象者のエンパワメントを支援する力」 となることを付記する。