臨床技術学科ゼミ紹介
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※学生の在籍学年は2022年度在籍時のものです。
藤井ゼミ
体外循環中の生体反応に関する研究
藤井 豊
Yutaka Fujii
准教授
心臓血管手術を受ける患者様や肺機能が低下した患者様は、自身の心臓で血液の循環および肺での酸素化が維持できません。その際に、人工心肺や補助循環と呼ばれる体外循環が使用されます。体外循環は、循環器や呼吸器分野で多く使用され、日本では約5万症例、世界に目を向けると約130万症例が行われており、なくてはならない医療技術です。しかし、一方で様々な合併症を引き起こすことが知られています。本ゼミでは、体外循環中の生体反応のメカニズムの解明や生体適合性が高い機器の開発を行い、より良い体外循環法を提供するための研究を行っています。
臨床技術学科4年
小黒 凌輔
新潟県
柏崎高校出身
私は、酸化ストレス(体の中で起こっている目で見えないストレスの指標)とサイトカイン(炎症指標)との関係性を分析し、病気の早期発見・早期治療を橋渡しする臨床検査の可能性を広げる研究を行いました。動物実験や国試勉強をゼミメンバー主体に行うので、主体性・客観性・協調性が習慣化され、チーム医療の基礎も自然と身についていると実感します。
<ゼミの研究内容例>
- 循環器系医療機器開発に関する研究
- 体外循環中の酸化ストレスに関する研究
- 糖尿病の病態と臓器虚血に関する研究 など
齋藤ゼミ
病理検査の標準化とリスク軽減に関する研究
齋藤 大造
Daizo Saito
講師
病理検査は、病気の診断や原因の究明を目的として、手術または内視鏡検査などで採取された臓器、生検組織、体腔液、尿、喀痰などから標本を作製し、染色を施した後に顕微鏡を用いて診断を行います。本ゼミでは、組織染色標本の標準化と病理標本作製工程でのリスクの軽減を目標とした研究を行っています。H・E染色標本は病理診断において最も一般的で、その染色方法は各施設により手技が異なります。また、染色態度の評価も鏡検による人の視覚に頼ることから標準化が難しいと思われています。人が目で感じるのと同じように色を数値で表す分光測色計を利用して組織染色標本の標準化に繋がらないか考えています。
臨床技術学科4年
眞柄 桃子
新潟県
新潟南高校出身
病理学的検査は、人体から採取された組織の一部を肉眼や顕微鏡で観察し、病気の原因や進行度合いを評価・推定する検査です。私はH・E染色の染色条件の違いによる染色態度(染まり具合)の変化について研究を行っています。この研究を通して、より観察に適した標本を作製し、正確な診断や病気の原因究明に繋げたいと考えています。
<ゼミの研究内容例>
- テキストマイニングを用いた臨床検査部門におけるインシデント・アクシデントレポートの分析に関する研究
- 医療事故情報収集事業集計表より学ぶ医療安全管理学に関する研究
- 分光測色計を利用したヘマトキシリン・エオジン染色の染色性管理に関する研究
阿部ゼミ
超音波診断用造影剤の適応拡大に関する研究
阿部 拓也
Takuya Abe
助教
『消化器がんをなくしたい!』という究極の目的を遂行するため、新しい予防・検査・治療の3本柱を確立する研究をしています。具体的には、小動物に薬剤や造影剤を投与し、その生体反応をリアルタイムPCR法で評価する実験をメインで行っています。また、私自身、臨床技術学科でダブルライセンスを取得しています。ダブルライセンスを活かし、臨床工学系教員とチームを組み、医療機器デバイス使用下での生体反応をリアルタイムPCR法で評価しています。ダブルライセンスを持つことで、幅の広い実験・評価法に着手することができます。自分の疑問を自分の手で実験し、結果を出す研究の楽しさを感じてもらえるよう指導しています。
臨床技術学科3年
裏澤 光雪
福島県
福島西高校出身
本ゼミでは、将来臨床検査技師として必要とされる超音波検査や遺伝子学的検査の知見を深く学ぶことができます。私は『糖尿病』という病態に興味を持ち、病態により誘発される消化器疾患の有効な検査法の確立のため研究しています。また、ゼミでの活動を通して協調性や主体性などを学び、他の医療従事者とチーム医療で積極的に活動できるようになりたいです。
<ゼミの研究内容例>
- 共焦点レーザー顕微鏡による生体反応機構の解明に関する研究
- 非アルコール性肝疾患の新たな治療法の創出に関する研究
- 貧血病態における遺伝子治療に関する研究
丸野ゼミ
医用センシング技術の高機能化に関する研究
丸野 透
Tohru Maruno
教授
IoT(モノのインターネット)で生体の情報を集めAI(人工知能)で解析して体調管理や病気の予防、治療、予後管理に役立てる手法が、医療やヘルスケアの現場に導入され始めています。体調に関するデータは、継続的に追跡しデジタル化することで遠隔診断が可能になるなど利用価値が飛躍的に向上します。本ゼミでは、被験者の負担が少ない測定を可能にする新しいセンシング技術と、集めた大規模データの効果的な解析手法の研究に取り組んでいます。新項目も取り入れた多項目のデータを継続的かつ系統的に追跡することで体調変化を判断し異変を予測・予防することに役立てたいと考えています。
<ゼミの研究内容例>
- 光学式非侵襲測定による血液状態の評価に関する研究
- 深紫外線(UV-C)LEDによる殺菌・除菌効果に関する研究
- 生体物質の光学的精密センシング技術に関する研究
川村ゼミ
人体の病原体排除のメカニズムに関する研究
川村 宏樹
Hiroki Kawamura
教授
私は、臨床検査の中で、「人間の体が自分でない物(病原体など)を排除する」メカニズムである“免疫”という分野を担当しています。研究は、この“免疫”のメカニズムに重要な認識機構と影響を与える因子、検査法の改良を目的として行っています。一般的に研究の魅力は、未だ誰も見つけていない現象を発見することと言われがちですが、私は、研究の先にある自分の論文が他の研究者の参考となった時に「貢献できて良かった」と思うことに魅力を感じます。研究は、同じ分野を研究している他大学とも連携しながら進め、今後もさらなる発展を目指していきます。
<ゼミの研究内容例>
- 輸血検査の検査薬に関する研究
- 炎症反応に関する研究
- 学生時代と就職してからの多職種連携の相違に関する研究
佐々木ゼミ
維持血液透析患者におけるVAに関する研究
佐々木 一真
Kazuma Sasaki
助教
血液透析を必要とする患者さんは年々増加しており、日本ではその数約34万人となっています。血液透析ではバスキュラーアクセス(VA)と呼ばれる血液の出入口となるものが必要になりますが、このVA管理や機能維持は、透析治療を行っていくうえで必要不可欠です。そこで本ゼミでは、透析患者さんにとって命綱となるVAに対して、非侵襲的に管理・機能評価を定量的かつ客観的に行う方法についての研究を進めています。また、近年の医療技術の発達に伴って透析患者さんの寿命も延びてきていますので、将来的には、治療が必要な透析患者の早期発見や、それを判断する医療従事者にも貢献したいと考えています。
<ゼミの研究内容例>
- 透析用監視装置のポンプ圧閉度と血流量に関する研究
- 血管モデルにおけるシャント音の発生メカニズムの理論的検討に関する研究
- 血管モデルの血流状態の可視化とシャント音の変化に関する研究
髙野ゼミ
感染制御学に関する研究
髙野 操
Misao Takano
教授
病院内で発生する感染症は、医療関連感染症または院内感染症と呼ばれ、治療や手術、医療器材、検査、機器、環境、ヒトなど様々な要因が感染源になります。病院内では医療関連感染を予防するために、微生物学担当の臨床検査技師は医師や看護師とともに感染対策チームを構成し活動しています。本ゼミでは、将来の臨床検査技師が医療関連感染症を減らす貢献をするために、病院環境や医療器具からの感染メカニズムについて研究しています。また、細菌層のバイオフィルムに着目して、生育環境や抵抗性、殺菌等の影響を実験しています。研究を通して、医療関連感染の予防に興味を持つ学生が増えると嬉しいです。
<ゼミの研究内容例>
- バイオフィルムモデルを用いた細菌の変動に関する研究
- スポーツ選手と皮膚常在菌
- 薬剤耐性菌の発生と疫学
小野ゼミ
体外循環に関する研究
小野 等
Hitoshi Ono
講師
心臓血管手術に使用される人工心肺(体外循環)装置には、血液を体に循環させ生命維持するための送血カニューレ(チューブ)と脱血カニューレが必要です。私は、主に送血カニューレの血流に関して研究しています。この送血カニューレは先端が細く、その細い所から患者様の体に血液を1分間に約4~5リットルも流します。本ゼミでは、送血カニューレの先端から流れ出るジェット流が大動脈に与える影響や、様々な人工物を使用した場合のそれらが与える影響を可視化したり、人工心肺で使用する部品などを調べたりすることで、より良い体外循環に繋がるよう研究しています。
<ゼミの研究内容例>
- 人工心肺に使用されるカニューレに関する研究
- ジェット流が血管に与える影響に関する研究
- ローラーポンプに関する研究
森田ゼミ
血液中のがん診断マーカーに関する研究
森田 邦恵
Kunie Morita
助教
血液中にはエクソソームという小胞が存在していますが、その中に存在する特有な遺伝子を検出して、がんの早期発見に役立てようという研究が注目されています。本ゼミでは、最近開発された血液中のエクソソームからRNA(核酸の一種)を検出する試薬の評価を行っています。この試薬はまだ開発されたばかりなので、病院では一般的に使用されていませんが、将来がんの発見に利用されると考えられています。いずれは、がんの患者様の診断ができるような遺伝子を見つけるための研究に繋げて行くことができる、がんの早期発見に結び付く、やりがいのある研究です。
<ゼミの研究内容例>
- ELIZA法によるストレス物質の解析に関する研究
- 学内実習のストレスに関する研究
- リアルタイムPCRによるエクソソームマーカーに関する研究