義肢装具自立支援学科学びの特色

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学びの特色

1. 幅広いフィールドで活躍する「義肢装具士」を育成

義肢装具士は、事故や病気などで手足の一部を失った人や身体に障害のある人に対して、「義肢(義手・義足)」や「装具」の評価・製作・適合を行い、治療とリハビリテーションに携わり社会復帰を支援する医療専門職です。本学科では、「医療系科目」とリハビリテーション工学、福祉工学、人間工学などの「工学系科目」を主軸としたカリキュラムにより、対象者の評価から義肢や装具の設計・デザイン、製作、適合までを行うことができる世界水準の義肢装具士を育成します。また、車椅子や福祉ロボットなどの福祉用具・機器に関する科目履修により、義肢装具士の国家資格に加え、複数の福祉系資格の取得に対応しているほか、スポーツ義足、3Dスキャナー・3Dプリンターを活用した研究活動や海外でのボランティア活動を通して、幅広い分野で一人ひとりの「生き方」を支援する義肢装具士を育成します。

イメージ図

2.世界最高水準の教育環境でオンリーワンの人材育成

本学科は、2019年に日本の大学では初となる国際義肢装具協会(ISPO)が定める義肢装具士養成教育機関の最高水準である「国際義肢装具士養成認定校」として認証を受けています。加えて、タイ、フィリピン、オーストラリアなど世界の義肢装具士養成校とオンライン学生交流会“Student Exchange Online” を行っており、義肢装具に関する知識や英語力を向上させることで、日本国内はもちろん、海外を舞台に活躍できる国際的な義肢装具士を育成していきます。

イメージ図

3.充実した実習環境

世界最先端の技術を持つドイツのオットーボック社設計による作業環境と、最新の機械設備を配置し、学生一人あたりの工作機械の台数、占有スペースの広さは、世界最高レベルの実習環境(国際義肢装具士養成認定校認証)を実現しています。また、コンピュータ制御の集中集塵システムの導入など、学生の安全面と健康面にも十分配慮されています。2020年度には3Dスキャナー・3Dプリンターを導入し、最先端のものづくりが学べる環境となっています。

機械室写真
3Dプリンター・縫製室写真
製作室

TOPICS

障害者陸上教室を開催!

本学では、四肢切断者を対象に、月に一度ランニング教室「NUHW ParaTFC(障害者陸上教室)」を開催しています。「NUHW ParaTFC」では、義足ユーザーに対して部品の貸し出しやグラウンドの提供を行うことで、気軽に参加できる環境作り、ランニング指導を実施しています。学生たちは、こうした活動に参加することで、スポーツ義肢の特性を理解するとともに、障害者アスリートへの支援や他の専門職との連携について体験的に学ぶことができます。

空飛ぶ車椅子サークル

本学科を中心に活動している「空飛ぶ車椅子サークル」は、一般の家庭や病院、施設などで使用されなくなった車椅子を回収・修理・整備し、東北の被災地や東南アジアをはじめとする発展途上国に届ける活動を行っています。学内では、車椅子の修理に関する勉強会を定期的に開催し、車椅子とシーティングに関する知識・技術について学んでいます。また学外では、国内外で開催される車椅子修理会への参加や車椅子整備のために県内の福祉施設を訪問しています。本学科では、こうした活動を支援し実践的な技術の修得と国際的な活躍を目指します。

国際義肢装具士養成認定校

日本の大学で初!ISPO(国際義肢装具協会)が定める世界最高水準のカリキュラムと教育環境を有する義肢装具士養成機関の認証を取得!世界でもわずか20校のみと非常に少なく、日本の大学では本学の義肢装具自立支援学科のみです。3Dスキャナーなどの最先端3D技術のカリキュラムも実践!認証取得することで、世界最高水準の教育を受けた義肢装具士として認められ、海外での活躍のチャンスが広がり、臨床では指導者のポジションで活躍が期待されるというメリットがあります。

「小学生・障がい者合同陸上教室」&「パラアスリート中西選手 特別授業」開催!!

2018年10月に、健康スポーツ学科が実施している「小学生陸上教室」と本学科の学生がサポート役として参加している『NUHW ParaTFC(障がい者ランニング教室)』の合同で、「小学生・障がい者 合同陸上教室」を実施しました。本イベントは、平成29年度に文部科学省私立大学研究ブランディング事業に採択された「SHAINプロジェクト」の活動の一環として開催されました。当日は、スペシャルゲストとして、過去3大会連続でパラ五輪へ出場している中西 麻耶 選手(うちのう整形外科)と、本学陸上競技部OGで、陸上女子100m日本ランキング5位の前山 美優 選手(新潟アルビレックスRC)を招き、陸上指導やデモンストレーション走行を披露いただきました。さらに翌日には中西選手を講師に、本学科学生を対象とした特別講義を実施しました。現役のパラアスリートの視点で、義肢装具士として持つべき考え方や義肢装具士へ求めることなどを解説いただき、学生にとって貴重な機会となりました。本学科では、今後もこうした活動を通して、障がい者スポーツ推進と地域の方々の健康増進を積極的に行っていきます。

3Dスキャナー・3Dプリンターによる義肢装具の最先端ものづくり研究!

本学科では、研究施設や企業と協働で「3Dスキャナー・3Dプリンター」を用いた義肢装具製作支援システムに関する研究を進めています。対象者の身体を3Dスキャンで立体的にスキャンし、適合した義肢装具を3Dプリンターで出力(製作)するという工程で製作を行います。こうした最先端技術を義肢装具製作に応用することで、従来の人間の手によるものづくりにおける技術者の課題が改善されます。さらに製作時間の削減が期待され、対象者個々に適合した義肢装具をいち早く提供することが可能となります。

オーストラリア研修

海外での義肢装具分野の教育環境を知ることや異文化に触れることを目的として、6日間の海外研修を行いました。研修先のオーストラリアでは、義肢装具分野で有名なラ・トローブ大学を訪問し、教育レベルや学生の意識の高さに刺激を受けました。また、オーストラリアの街並みや自然を体感し、新鮮で楽しい6日間となりました。不安の大きかった英語でのコミュニケーションも現地の方との交流を通し、つたない語彙力でも伝えようとする気持ちや相手の言葉を理解しようとする気持ちを持って接することが大切だと学ぶことができました。この研修を経て、たくさんの思い出つくりの場になったと共に異文化や義肢装具分野に対する視野が広がりました。本学科では、今後も身近なことだけではなく、広い視野を得るために海外研修を継続していきます。

福祉機器コンテスト最優秀賞受賞!

佐々木美里さん(当時4年生)と澤谷歩さん(同)が共同で製作した義手が「福祉機器コンテスト(日本リハビリテーション工学協会主催)」の学生部門で最優秀賞を受賞しました!生まれた時から片腕がない佐々木美里さんは、義肢装具士を目指して本学科へ入学し、その卒業研究を通して、今の自分に“できること”と“できないこと”を抽出し、どのような機構を持った義手であれば今までできなかった作業ができるようになるのかに着目し、まったく新しい発想の義手を製作しました。本来ならば、良い腕の長さや形に合わせる義手ですが、製作工程や作業効率を向上させる目的で義手の長さを自在に調整することができる義手を製作しました。製作した義手を使用することで、一人ではできなかった作業工程が可能になりました。この義手は製作者2名の想いとアイデアが詰まった傑作品です!この素晴らしい結果は、新潟県内および全国、さらには世界でTV放映されました。

台湾から義足作りを学びに本学へ

義足の製作技術習得のため、台湾から8名の医療関係者が2015年8~9月の2週間、当学科で教育プログラムを受講しました。これは2013年に本学と台湾最大の医療機関群である國立台北榮民總醫院との間で学術交流協定が締結されたことにより、未だ義肢装具の教育制度や免許制度がない台湾への支援として行われたものです。このプログラムは将来的に、台湾で教育や免許制度が創設される際の、たたき台となることを想定した内容でした。

葛塚小学校へのボランティア活動について

毎年恒例になっている葛塚小学校文化祭に参加し、小学生の子供たちに義肢装具士がどんな職業なのか、どんなものを扱っているか、実際に体験を通して知ってもらいました。今年は、皮膚表面の微量な電気で操作する筋電義手、高齢者の方々が使用する自助具、健常者の方々でも使用できる体験義足など、様々な体験コーナーを用意して、子供たちや保護者の方々にも大いに楽しんでいただきました。

イギリス研修

毎年、本学科では希望者を対象に海外研修を行っています。2015年度は、8月31日~9月8日の期間で学生4名と教員3名が、イギリスのグラスゴーとロンドンでの海外研修に参加しました。研修では、ストラスクライド大学の学生との交流や、整形靴や筋電義手を取り扱う企業での研修・見学などが行われました。今回の研修を通して、学生は日本とヨーロッパとの共通点や相違点に触れ、大いに刺激を受けたようでした。本学科では今後も、海外研修を積極的に行い、将来、世界を舞台に活躍できる義肢装具士の育成を目指していきます。

メディカルアートサークル

シリコンなどの特殊な材料を用いて、失った指や鼻などを本物そっくりに製作し、体の表面に取りつける医療用具をエピテーゼと言います。学生が中心となって結成された「メディカルアートサークル」では、このエピテーゼの技術を活用し、リアルな指などを製作する活動を行っています。指の製作では、失われた側と反対の指を採型し、反転技術によって形を作り、着色することで本物と見間違うほどの作品に仕上げていきます。本学科では、こうした活動を支援し、将来、義肢装具士の知識・技術を応用・発展させ、様々な場面で社会貢献できる人材を育成しています。

アメリカ海外研修

毎年、本学科では学生の視野を広げるために海外研修を行っています。2014年度は9月にアメリカで研修を実施し、アメリカ義肢装具学会への参加、義肢装具の既製品メーカーであるドンジョイ社と義肢装具製作会社であるハンガー社の見学を行いました。研修では、航空券や宿泊施設の手配、スケジュールの計画立てを学生自らが行うため、義肢装具に関する国際的な視野を養うことはもちろん、外国語でのコミュニケーションスキルや主体的に物事に取り組む能力も身につけることができます。本学科は、これからも国際力を高める様々な取り組みを積極的に行っていきます。

スポーツ分野にも応用される義肢装具の技術

現在では、義肢装具の技術は、障害者への義肢・装具を開発することだけにとどまらず、スポーツ分野においても、幅広く応用されています。例えば、“靴型装具の理論と技術”は、スポーツシューズの開発に活かされ、“足底装具”はスポーツ用インソールの開発に役立っています。そのため、本学科では在学生が競技者のスポーツパフォーマンスが向上するシューズやインソールの研究を行い、また教員もメーカーなどと一緒に研究開発を行っています。本学科では、今後も「医療」「福祉」の分野のみならず、「スポーツ」の分野でも活躍することのできる人材を育成していきます。

ドイツ研修

2012年9月、ドイツにおける義肢装具の現状を学ぶため、世界をリードする義肢装具会社のオットーボック社や大学病院、さらにはゲッティンゲン大学の義肢装具科を訪問しました。オットーボック社では、製造工程や世界中へ向け梱包・発送する様子、同社内にある展示場を見学しました。また、ハイデルベルグにある大学病院では、医師の診察や理学療法士がリハビリしている様子などを見学し、ゲッティング大学では、教授や学生たちとそれぞれの大学について情報交換をしました。この研修を活かして国際的な視野をもち、世界的にも活躍できる義肢装具士の養成を行っていきます。

全国の大学で使用される教科書の執筆を担当する教員

義肢装具自立支援学科の教授陣は、全国の大学で教科書的に使われている書籍や専門書の執筆を担当している教員が数多く存在します。また研究や臨床の現場でも使われているバイブル的な本もたくさん含まれています。その分野は動作解析・歩行分析・義肢装具・リハビリテーション医学・福祉機器など多岐にわたります。ぜひ教科書の著者から直接うける授業を期待してください。

「靴と歩行を科学する」について

靴は歩くための道具として発展してきました。最初の目的は足を保護することであり、次第に作業や歩行を補助する目的を帯びるようになりました。近年では競技としてのスポーツに欠かすことのできないものとなり、競技の特性を考慮した目的別のシューズも開発されています。また特有の歩行パターンを示す幼少期や、歩行運動能力が低下した高齢者向けの靴の開発も進められています。ヒトの足裏は体表面積の1~2%程度といわれており、こんなに小さな面積で全体重を受けているため、トラブルが多い部位でもあります。大学での研究成果をこのような分野に転用し、人々のQuality of lifeを向上させる目的のために研究を推進しています。

最新の研究成果を学ぶ。
~学生の学術大会(学会)へ積極的に参加します~

日頃の研究成果を発表する学術大会は通常「学会」と呼ばれています。これは研究者ばかりが参加するのではなく、その分野を勉強している学生も参加しています。義肢装具自立支援学科では、1年次より関係学会に参加して、最新の研究成果を勉強し、また商業展示では実際の機器に触れるなど、大変良い経験を積むことができます。2008年5月に仙台で行われた第15回日本義肢装具士協会学術大会には、1年生・2年生のほぼ全員が参加しました。大学で学んできた知識によって、発表内容を十分理解できたことは学生たちにとって大きな自信になったようです。