「超高齢社会の到来」「医師・看護師の不足」「医療の高度化・IT化」に伴い、様々な課題を抱える現代の医療現場において、質の高いサポートを実現するためには、医師だけでは十分なケアを行うことが困難になってきています。そこで、看護・医療・リハビリ・栄養・スポーツ・福祉・医療事務などの関連する様々な専門職が連携・協力しながら患者・対象者のケアにあたる「チーム医療」・「チームアプローチ」を実践した効果的、効率的なサービスの提供が必要不可欠となっています。
CASE1 [女性69歳]家の階段から落ち、病院へ
<3分18秒>
CASE2 [男性63歳]急な頭痛で、病院へ
<4分9秒>
本学では、看護・医療・リハビリ・栄養・スポーツ・福祉の総合大学であるメリットを最大限に活かして、
他学科の学生と共にチームを形成して学ぶ「連携教育」を導入し、
将来、「チームの一員」として活躍するために求められる関連職種への理解やチームワーク技法を実践的に学んでいきます。
さらに、【スポーツ×リハビリ】【看護×福祉】など、学科コラボによる学びを推進し、より幅広い知識を修得します。
専門職を目指すにあたり、基盤となる保健・医療・福祉・スポーツ、自然科学、社会科学に関する基礎知識を身につけます。
科目
本学の「連携教育」の入門として、チーム医療・ケアにおける各専門職の役割やその必要性について学びます。また、実際の医療現場の事例を取り上げながら、現場連携について学ぶほか、他学科の実習室見学を行うことで、他学科の学びに触れ、他職種への基礎理解も深めます。
保健・医療・福祉・スポーツのそれぞれの分野を取り巻く、様々な制度や環境について幅広く理解を深めます。
科目
他学科の学生と混成でチームを形成し、保健・医療・福祉・スポーツに関連するテーマについて共同研究することを通して、関連職種への理解や将来「チームの一員」として活躍するためのチームワークスキルを身につけます。
保健・医療・福祉・スポーツの連携について、その実際を学び、それぞれの現場に即して説明することのできる能力を身につけます。
科目
病院などの「医療現場」、小児や高齢者施設などの「福祉現場」、そして地域で暮らす人々を対象とした「保健・地域」のそれぞれの現場で行われる専門職の連携について、現場の声や具体的な事例を通じて、その実際について学びます。
3年次までに修得した多職種間の連携について、実際の症例などの具体例を通じて演習するための能力を身につけます。
科目
これまで学内外で修得した専門知識・技術を総動員し、チーム医療などについて実践的に学んでいきます。ゼミでは、具体的な症例をもとに、関連する学科が混成でグループを形成し、グループワークを通じて具体的な支援策について意見交換を行い、検討結果を発表します。
症例に対する支援策について、参考書などを用いながら自己学習を行い、自身が目指す専門職の役割などについて理解・知識を深めます。
自己学習の成果をグループ内で発表し、各専門職の役割や専門用語などの情報を共有することで、他の専門職への理解を深めます。
各専門職の立場から意見や支援策を出し合い、グループ内で支援策の内容を共有することで、他の専門職との連携について理解を深めます。
グループ内で共有した支援策をもとに、各専門職の立場から意見交換し、対象者に対して最善となる具体的な支援プランを作成します。
これまでの研究成果をグループ内で各自分担して、発表会に向けた資料作成を行います。発表会ではパワーポイントを使用して代表者が発表します。
研究テーマ
糖尿病の重篤な合併症を持つ高齢女性に対し、在宅生活を送るための支援をテーマに、関連する5学科の学生が一つのチームを形成し、その支援策を検討しました。また、日本歯科大学新潟短期大学の学生が「口腔ケア」の専門職としてチームに加わり、大学の枠を越えた連携でリハビリや栄養管理、福祉・看護支援など各専門職の立場で意見交換し、具体的な支援策を発表しました。
[連携総合ゼミメンバー]
対象者はADL(=日常生活動作)が自立していたため、現在の身体機能を維持できるような介入をしたいと考えました。また、対象者は軽度の糖尿病があったため、疾患の進行を防ぐため、運動処方や日常生活指導も行うべきだと考えました。理学療法士の視点だけでは、介入を行う際の施設選択に苦労しましたが、多職種間で情報共有を行うことで、適切な施設選択や介護保険の利用、疾患管理など多方面の視点を交えて、支援策を考えることができました。
対象者は糖尿病網膜症の中でも、最も重症度の高い増殖糖尿病網膜症であったため、視力の悪化を防ぐため、定期的な通院を促しました。また、薬の管理として用いるピルケースも色付きのものにするなど視覚に配慮した支援策を考えました。対象者は在宅生活を希望していたため、メンバー間で訪問サービスを控えた支援策を考えましたが、対象者が利用できる福祉制度を考える際に、社会福祉士の意見が参考になるなど、他の職種の視点を交えることの重要性を実感しました。
対象者は普段、間食を取ることが多かったため、糖質の吸収を緩やかにするための間食の仕方を考えるなど、糖尿病と高血圧症の進行を抑えるための栄養指導を行いました。ゼミメンバーから対象者の身体状況であれば料理を作ることが可能であるなど、管理栄養士からは見えない視点でアドバイスを受けられたことで、在宅生活を送れるような支援策を考えることができ、質の高い支援を行うためには様々な専門性を活用することが必要だと感じました。
対象者は糖尿病の薬を服薬していますが、認知症で物忘れが多いことから薬の飲み忘れのリスクも考えられたため、薬表やケースを使用し夫の協力を受けながら、飲み忘れのないよう支援策を考えました。対象者は「楽しくのんびり過ごしたい」という希望があり、訪問看護の利用も考えましたが、他の職種からの意見も受け、デイケアを活用する提案に繋げることができたなど、連携を通じて対象者の希望に沿った支援策を考えることができました。
対象者は自宅で穏やかに過ごしたいという希望がありましたので、訪問サービスは控えるようにし、通所サービスの利用を考えました。通所サービスの利用を考えていく中で、ゼミメンバーから対象者が運動不足気味のため、ADLの低下が予想されるという助言を受け、通所リハビリ(デイケア)の活用も考えました。これまで、実際に他職種と協働して取り組む経験がありませんでしたが、総合ゼミを通じて様々な職種の視点や考え方の違いを学ぶことができました。
※学生の在籍学年は2018年度在籍時のものです。