視線解析装置を用いた
緑内障患者のQOLに
関する研究
この研究について動画で詳しく知ろう!
研究をはじめたきっかけ
視能訓練士は、眼疾患に対する検査・訓練を行う眼科のスペシャリストです。私は、大学を卒業後、大学病院の眼科に勤務していました。外来業務の中で、視覚障がいを抱える多くの方々に出会いました。中でも末期緑内障の方は、「文字を読むことがつらい」と生活の質の低下を訴えます。そこで、日常生活における読書困難を客観的に判断し、患者さんにフィードバックできるような研究を始めました。
研究内容
視線解析装置(アイトラッカー)を用いた読書の研究を行っています。アイトラッカーは、眼表面の光の反射を捉え、被験者の視線を記録します。読書時の視線は、流れて動いているように感じますが、実は「視線が止まっている瞬間」と「次の文字に視線が飛ぶ動き」が繰り返されています。アイトラッカーを使用することで、黙読時の視線の動きを客観的に評価できます。現在、緑内障性視野障害と黙読の関係性について解析を進めています。
この研究の先に
緑内障は見える範囲(視野)が徐々に障害される病気であり、それにより緑内障患者は読書や書字がしにくくなります。そこで、緑内障患者の残存した視野でも可能な限り円滑な読書ができるようにするため、新しい視覚的リハビリテーションの開発に取り組んでいます。視線解析装置による「読書の可視化」は、視能訓練士による新たな訓練法の発展に貢献する可能性を秘めています。
高校生へメッセージ
眼球が司る視覚は、日常生活を送る上でとても重要です。しかし多くの方は“見えていることが当たり前”なので眼科に馴染みがありません。模擬講義では、「目の健康を守るスペシャリスト、視能訓練士」の仕事をたくさん紹介します!