健康科学部/健康スポーツ学科
越中 敬一Keiichi Koshinaka
准教授
プロフィール
担当科目 | 生理学、運動生理学、発育発達と老化、スポーツ・健康、スポーツ・実践、留学の魅力、基礎運動学実験I・II |
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専門分野 | 運動生理・生化学、分子栄養学、スポーツ栄養学 |
学位・称号/取得機関/取得年 | 博士(医学)/名古屋大学/2004年 |
資格 | 中学校教諭専修免許状(保健体育)、高等学校教諭専修免許状(保健体育) |
最終出身校 | 名古屋大学大学院医学研究科 |
過去の経歴 | 玉川大学、筑波大学、名古屋大学、日本学術振興会特別研究員、ピッツバーグ大学postdoctoral fellow、長寿科学振興財団リサーチレジデント、本学健康栄養学科を経て現職 |
所属団体・学会等 | 日本体力医学会、日本運動生理学会、新潟医療福祉学会 |
業績等
研究領域 | 身体のエネルギー代謝調節機構の解明 |
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研究紹介 | 身体は常に様々な刺激に対して適応を繰り返しており、正に適応すれば健康に、負に適応すれば病気になります。私の研究グループでは、身体のエネルギー代謝調節;特に運動や食事に関連した身体適応の「しくみ」を研究しています。骨格筋組織や培養細胞を試料にして実験をし、分子(遺伝子・たんぱく質など)レベルでしくみの解明を試みます。また、実験結果をもとにして、新しく効果的な身体トレーニング法の開発,健康食品の探索や競技力向上を目的としたサプリメント等の開発,エネルギー代謝異常が関連した病態の原因究明や治療法の開発を行っています。最近の研究を紹介します。 1)筋肉から分泌されるホルモンに関する研究 筋肉は運動をするとなぜ疲れにくくなったり、力強くなったりするのか?単純な問いかけですが、現在もその詳細は不明な点が多いのです。最近筋肉からたくさんのホルモンのような分子が分泌されていることが分かりました。その中には、筋肉が運動などで活動的になると分泌が促進するものや、逆に筋肉が萎縮して細くなると分泌が促進するものなど様々です。我々は、これらの分子が運動による筋肉の適応に深く関与していると仮定して、これら分子の機能解析を行っております。しくみが分かれば、新しいトレーニング法の開発など、様々な分野・目的で応用することが可能となります。 2)筋肉の糖取り込み機構に関する研究 食事によって摂取された糖はインスリンの働きによって主に筋肉に取り込まれて貯蓄・消費されます。この糖取り込み機構に障害が生じると糖がうまく取り込めなくなり、血液中に糖があふれてしまって糖尿病が発症します。しかし、運動をすると筋肉が刺激されて糖取り込み機構を活性化することができるので、運動は糖尿病の予防・治療に効果的なのです。我々は、筋肉を熱で刺激すると、運動をしていないのに運動をした時のような糖取り込み機構の活性化が生じることを発見しました。高齢者など運動が十分にできない対象に対して、筋肉を熱で刺激することで運動をした時の様な効果をもたらすことができる可能性があります。 3)加齢による筋肉萎縮の予防・治療法に関する研究 ヒトは高齢になると、成長ホルモンを分泌する能力,食欲,身体活動量が低下して筋肉が萎縮します。ペプチドホルモンであるグレリンは、お腹がへると胃から分泌され、脳に働きご飯を食べたくなる摂食亢進ホルモンです。また、グレリンは成長ホルモンの分泌を促進する作用もあります。我々は、グレリンを慢性的に投与すると、この筋肉の萎縮を抑制できることを明らかにしました。グレリン療法がアンチエイジングを目的とした積極的治療法になる可能性があります。 4)運動パフォーマンスの亢進や体重のコントロールを目的とした食事法に関する研究 日頃から食事で摂取する総カロリー量や脂肪量を気にするアスリートも多いと思いますが、我々は各種の目的のためにより効果的な栄養摂取を行う方法について研究をしています。例えば「糖」といっても性質の異なるたくさんの糖が存在していて、その性質によって疲労防止のために運動前・運動中・運動後のそれぞれで摂取した方が良い糖の種類が異なります。最近我々は、希少糖と呼ばれる糖の一つがその摂取の仕方によって筋肉中のエネルギー貯蔵を増加させることを明らかにしました。この摂取法を実践することにより、競技能力の向上が期待できます。また、この希少糖は摂取方法を変えると摂食衝動を抑制できることも分かりましたので、体重のコントロールを容易にできる可能性もあります。 |
著書 | 1) 越中敬一 (2014), 糖質代謝.In: 宮村実晴 編集. ニュー運動生理学II.東京.真興交易医書出版部.35-44. 2) K. Koshinaka (2011), Glucose metabolism during and post-exercise. In: Kunihiro Sakuma, editor. Current research trends in skeletal muscle. Kerala. Research Signpost. 143-158. その他 |
研究論文 | 1) K. Koshinaka, Rie Ando, Akiko Sato (2018), Short-term replacement of starch with isomaltulose enhances both insulin-dependent and -independent glucose uptake in rat skeletal muscle. J. Clin. Biol. Nutr, in press. 2)E. Kawamoto, K. Koshinaka, T Yoshimura, H Masuda, K. Kawanaka (2016), Immobilization rapidly induces muscle insulin resistance together with the activation of MAPKs (JNK and p38) and impairment of AS160 phosphorylation. Physiol. Report, 4: e12876 DOI: 10.14814/phy2.12876. 3) M. Iwabe, E. Kawamoto, K. Koshinaka, K. Kawanaka (2014), Increased postexercise insulin sensitivity is accompanied by increased AS160 phosphorylation in slow-twitch soleus muscle. Physiol. Res, 2: e12162. 4) K. Koshinaka, E. Kawamoto, A. Natsuki, K. Toshinai, M. Nakazato, K. Kawanaka (2013), Elevation of muscle temperature stimulates muscle glucose uptake in vivo and in vitro. J. Physiol. Sci, 63:409-418. 5) A Sahu, K Koshinaka, M Sahu (2012), PI3K is an upstream regulator of the PDE3B pathway of leptin signaling that may not involve activation of Akt in the rat hypothalamus. J. Neuroendocrinol, 25:168-179. 6) A. Sano, K. Koshinaka, N. Abe, M. Morifuji, J. Koga, E. Kawasaki, K. Kawanaka (2012), The effect of high-intensity intermittent swimming on post-exercise glycogen supercompensation in rat skeletal muscle. J. Physiol. Sci, 62:1-9. 7) K. Koshinaka, K. Toshinai, A. Mohammad, K. Noma, M. Oshikawa, H. Ueno, H. Yamaguchi, M. Nakazato (2011), Therapeutic potential of ghrelin treatment for unloading-induced muscle atrophy in mice. Biochem. Biophys. Res. Commun, 412:296-301. 8) 米川忠人,越中敬一,中里雅光(2011),特集:高齢者の虚弱-評価と対策-3.グレリンによるサルコペニアへの介入.Geriat. Med, 49:331-334. 9) K. Noma, K. Toshinai, K. Koshinaka, M. Nakazato (2011), Telmisartan suppresses food intake via the melanocortin pathway. Obes. Res. Clin. Pract, 5:e93-e100. 10) M. Tadaishi, S. Miura, Y. Kai, E. Kawasaki, K. Koshinaka, K. Kawanaka, J. Nagata, Y. Oishi, and O. Ezaki (2011), Effect of exercise intensity and AICAR on isoform-specific expressions of murine skeletal muscle PGC-1α mRNA: a role of β2-adrenergic receptor activation. Am. J. Physiol. Endocrinol. Metab, 300:E341-349. 11) E. Kawasaki, F. Hokari, M. Sasaki, A. Sakai, K. Koshinaka, K. Kawanaka (2011), The effects of β-adrenergic stimulation and exercise on NR4A3 protein expression in rat skeletal muscle. J. Physiol. Sci, 61:1-11. 12) K. Toshinai, H. Yamaguchi, H. Kageyama, T. Matsuo, K. Koshinaka, K. Sasaki, S. Shioda, N. Minamino, M. Nakazato (2010), Neuroendocrine regulatory peptide-2 regulates feeding behavior via the orexin system in the hypothalamus. Am. J. Physiol. Endocrinol. Metab, 299:E394-401. 13) F. Hokari, E. Kawasaki, A. Sakai, K. Koshinaka, K. Sakuma, K. Kawanaka (2010), Muscle contractile activity regulates Sirt3 protein expression in rat skeletal muscles. J. Appl. Physiol, 109:332-340. 14) E. Kawasaki, F. Hokari, M. Sasaki, A. Sakai, K. Koshinaka, K. Kawanaka (2009), Role of local muscle contractile activity in the exercise-induced increase in NR4A receptors mRNA expression. J. Appl. Physiol, 106:1826-1832. 15) J-H. Park, K. Koshinaka, K. Kawanaka, H. Matsuda, N. Hitomi, K. Okabe, N. Omi (2009), Administration of royal jelly protein increases endurance performance in trained young male rats. Adv. Exerc. Sports Physiol, 15:17-23. 16) K. Koshinaka, E. Kawasaki, F. Hokari, K. Kawanaka (2009), Effect of acute high-intensity intermittent swimming on post-exercise insulin responsiveness in epitrochlearis muscle of fed rats. Metabolism, 58:246-253. 17) 中里雅光,越中敬一,十枝内厚次,児玉剛士,芦谷淳一 (2009), 加齢性サルコペニアのメカニズムとグレリンによる治療介入の可能性. 日本老年医学会雑誌, 46:330-331. 18) MS. Mondal, K. Toshinai, K. Koshinaka, H. Ueno, M. Nakazato (2008), Characterization of obestatin in rat and human stomach and plasma, and its lack of effect on feeding behavior in rodents. J. Endocrinol, 198:339-346. 19) K. Koshinaka, Y. Oshida, M. Kubota, Y. Sato (2008), Exposure to nitric oxide does not induce insulin resistance of glucose uptake in isolated rat epitrochlearis muscle. Acta Endocrinol, 4:133-142. 20) K. Koshinaka, A. Sano, K. F. Howlett, T. Yamazaki, M. Sasaki, K. Sakamoto, K. Kawanaka (2008), Effect of high intensity intermittent exercise on post-exercise insulin sensitivity in rat epitrochlearis muscle. Metabolism, 57:749-756. 21) M. Kubota, K. Koshinaka, Y. Kawata, T. Koike, Y. Oshida (2008), Effects of continuous low-carbohydrate diet after long-term exercise on GLUT-4 protein content in rat skeletal muscle. Horm. Metab. Res, 40:24-28. その他 |
研究業績 | 1)日本学術振興会 平成16-18年度 科学研究費補助金、2)日本学術振興会 平成23-24年度 科学研究費補助金若手(B)、3)日本健康開発財団 平成24年度 研究助成、4)平成25-27年度 科学研究費補助金若手(B)、5)平成28-30年度 科学研究費補助金基盤(C)、6)株式会社ブルボン 平成24-29年度 共同製品開発研究費、7)株式会社ブルボン 平成29年度 水球選手に対する栄養指導 |
社会的活動 | 日本体力医学会 評議委員 |