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2018.06.05

お知らせ

新潟医療福祉大学「私立大学ブランディング事業」のホームページをリニューアルしました。

私立大学研究ブランディング事業 2019年度の進捗状況

2019年度の進捗状況(PDF版)

事業概要

リハビリテーション科学とスポーツ科学の融合による先端的研究拠点を形成し、基礎的研究及び実践的研究を基盤とした"Sports & Health for All in Niigata"(地域住民からアスリートまで全ての人が安全にスポーツを楽しみ、幸せな生涯を過ごす新潟県)を創出する。これにより、本学ブランドを浸透させるとともに、将来ビジョン「保健・医療・福祉・スポーツ領域を核としたアジアに秀でる研究拠点」の基礎を構築する。

事業目的

「リハビリテーション科学とスポーツ科学の融合による先端的研究拠点」を形成し、基礎的研究及び実践的研究を基盤とした"Sports & Health for All in Niigata"(地域住民からアスリートまで全ての人が安全にスポーツを楽しみ、幸せな生涯を過ごす新潟県)を創出するとともに、保健、医療、福祉、スポーツ領域における「優れたQOLサポーター」を育成・輩出することを通して社会の発展に寄与する。さらに、その成果を戦略的に公表・広報することを通して、新潟医療福祉大学のブランドを構築する。

2019年度の実施目標及び実施計画

1.研究活動

  • 骨萎縮を軽減する電気・磁気刺激やメカニカルストレスの至適条件を明らかにするため、電気・磁気刺激及び力学的荷重を与える頻度と萎縮軽減効果との関連性を検証する。
  • 大脳皮質内の神経伝達物質濃度を計測・解析することで、皮質内抑制機能および運動学習能との関連性を明らかにする。また、低・中・高運動強度での自転車運動中及び運動後の末梢・中枢循環応答と脈波伝播速度を用いて評価した動脈硬化の進行レベルとの関係を検証する。
  • ハイパフォーマンスでかつ障がい発生リスクの少ない競技動作を明らかにするため、トップアスリートの競技動作と身体・運動特性や障がい発生リスクとの関係性を検証する。
  • 外傷・障がいの発生メカニズムを解明するため、三次元動作解析及び筋骨格モデルシミュレーション等のバイオメカニクス的手法を用いて検証する。
  • 安全且つ最適な運動要件に関する知見を健康寿命延伸プロジェクトの実践内容に加える。学生のプロジェクト参加促進に向けて、大学院生を中心にQOLサポートクラブ(仮称)を設立し、勉強会や研修会を実施する。
  • シミュレーション教育システムを利用して、脳震盪・頭部外傷モデルを作成する。また、本プロジェクト成果を活かしたアスリートサポート人材育成科目を策定する。

2.ブランディング

  • ①ステークホルダー1(在学生・受験生)

    特設サイトへの年間アクセス数(20,000件)、志願倍率(4.5倍)を増加させ、入学者全体の20%が本事業に興味関心を持つことを目指す。各強化クラブの学生トレーナー等のサポートによる競技力の向上を図るとともに、多職種間連携によるマルチサポートチームを構築する。さらに健康増進プロジェクトへ多職種学科から参加学生を募る。また受験生に対しては、パンフレットおよび特設サイトを更新し、オープンキャンパスでの特別プログラムを実施する。その他、これまでの活動実績・成果を記者発表する。
  • ②ステークホルダー2(学術界)

    リハビリテーション科学やスポーツ科学領域の学術大会において78演題の発表を行い、41本以上の英語論文採択を目指す。

2019年度の事業成果

1.研究活動

  • ①機械的刺激に先行して磁場強度が287mT以上で磁場刺激を処方した場合、単独処方と比較して骨量、骨梁構造パラメータが高まった。また不動による骨萎縮は約7,500-14,500 με/s以上の骨ひずみ率で骨量低下が軽減された。
  • ②一次運動野のグルタミン酸濃度と短潜時求心性抑制との間に相関関係が認められ、この違いには脳由来神経栄養因子遺伝子多型が関係していることが判明した。健常若年成人において、運動時の中枢循環応答は動脈スティフネスに依存しないこと、高強度運動時には末梢と中枢の循環応答に乖離が生じることが明らかとなった。
  • ③女性アスリート特有の問題である女性アスリートの三主徴(FAT)について調査した結果、疲労骨折の既往(31.8%)については高値であったが、三主徴すべてを有するアスリートは0名であった。また、FAT中等度から重度のリスク群は軽度のリスク群に比べて傷害発生率が高い傾向であった。また、これらの取り組みの成果として、2019年度にスポーツ庁の「女性アスリートの育成・支援プロジェクト委託事業」に採択された。
  • ④大規模な解剖学的研究により膝蓋骨と膝蓋腱の形態学的特徴を分類し、CTと三次元動作解析装置(surface mapping method)によるレジストレーションを実施した結果、膝蓋骨が凸の形状で膝蓋腱が表層に付着しているタイプ(約30%)では膝蓋骨が後傾した際に膝蓋腱炎の発生リスクが高まることが明らかになった。
  • ⑤一過性運動が、感覚運動機能および認知機能の改善に適しているだけでなく、睡眠不足による認知機能低下を抑制するといった得られた成果をもとに、新潟県委託事業「介護予防における大学との連携事業」や本学主催の健康運動教室で実施されている運動プログラムを改良した。また、本事業RA大学院生が学部学生へ指導し、延べ247名の学生・院生(新潟県事業166名、学内教室81名)がプロジェクトへ参加した。また、本プロジェクトの一環として2018年度に設置した「新潟県QOLサポートコンソーシアム」では、1年間の延べ数で、教員197名、学生1,025名、地域住民4,180名が参加した。
  • ⑥度重なる脳震盪による認知機能や脳血流への影響に関する学術的成果をもとに、競技復帰や就学復帰に向けた観察内容を特集記事としてまとめ、脳震盪・頭部外傷モデル作成に向けた基盤を整備した。一方、科目策定には至っておらず、早急に進める必要がある。

2.ブランディング事業

  • ①ステークホルダー1(在学生・受験生)

    各強化部に学生のトレーナー組織を学友会組織として整備し、配属するシステムを構築した(所属学生は約200名)。また、理学療法学科、健康スポーツ学科、健康栄養学科、視機能科学科の学生で構成されるマルチサポート体制を構築し、各強化部のコンディショニング、メディカルチェック、女性アスリート検診、Jones骨折予防検診、脳震盪予防検診を実施した。さらに、定期的な勉強会(月に1回、参加者約100名)を開催し、多職種間での情報交換を図った。オープンキャンパスでは、本プロジェクトで推進する「スポーツ×医療」を融合した体験型プログラムを実施し、ブランド訴求に努めた。在学生アンケートの「本学の教育・研究に関して充実していること」という質問に対する回答で、「実習・実験設備」が最も多い759名、続いて「教員」という回答が739名という結果が得られた。本学の教員が行っている研究・実践活動を紹介する冊子「SHAIN」を作成し、学内外に配布した。研究・実践活動について新聞・テレビ等へのプレスリリースを行い、「時速140キロのボールをなぜ打てる?野球選手の特異な目の動き(新潟日報2月17日)」や「私の足 駆ける※パラ陸上教室の活動紹介(毎日新聞全国版3月21日)」など、新聞記事53回(Web記事含む)、テレビ放映7回にわたり本事業に関連する内容が掲載・放映された。本事業を紹介する特設サイトのアクセス数は、新たに作成した理工系研究サイトのアクセス数と合わせ、20,354件となり、目標の20,000件を達成した。また、受験の志願者数は前年4,190名に対し、4,624名(前年比110%)、志願倍率4.2となった。
  • ②ステークホルダー2(学術界)

    2017年度計画に記載した学術大会①~⑦において68演題以上の発表を行い、29年度計画に記載した国際誌に80本の論文(インパクトファクター:158.99)が掲載された。

2019年度の自己点検・評価及び外部評価の結果

1.自己点検・評価

「研究」については、ほぼ計画通りに進捗していると判断できる。特に、女性アスリートの障害予防に関する研究継続により、スポーツ庁の「女性アスリートの育成・支援プロジェクト委託事業」に採択された点は評価に値する。また、1年間で学生1,025名と地域住民4,180名(延べ数)が本プロジェクトの活動に参加し、学生とともに地域住民の健康寿命の延伸活動に貢献している点も評価できる。唯一、本事業による研究成果等を正規の科目としてカリキュラムに組み込むまでには至っておらず、2020年度からの課題として残っている。
「ブランディング事業」についても計画通り進展している。在学生・受験生へのブランディングの結果、志願倍率(4.2倍)は目標(4.5倍)未達ながら、ホームページアクセス数(20,354件)は目標(20,000件)を超えた点は評価できる。今後、志願倍率増を目指して新たなブランディング戦略を企画していく必要がある。学術界へのブランディングは、学術大会での演題発表数(68演題)が目標(78演題)に未達ながら、IF付きの国際誌への論文掲載数(80本)は目標(48本)を大幅に上回っており、総IFも158ポイントに達していることから、極めて順調に推移していると判断できる。また、科研費の「スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野」における採択数において、3年連続で全国5位を達成している点も評価できる。

2.外部評価

本事業により、健康増進やアスリートサポートのための科学的エビデンスを構築(国際誌掲載論文80本、IF:158ポイント)するとともに、多職種連携によるアスリートサポート人材とトップアスリートの育成(スポーツ庁委託事業新規採択)や地域健康増進事業(健康寿命延伸プロジェクト)を推進しており、「タイプA:社会展開型」に合致した取り組みであると高く評価できる。また、得られた成果を広報資源として活用し、志願倍率の増加に繋げている点も、本事業の趣旨と合致しており、大学ブランドの定着に向けて順調に進めている。「研究」「学術界に対するブランディング事業」「在校生・受験生に対するブランディング事業」の全てにおいて順調に推移しており、3年目の事業成果としては当初の計画を上回っていると評価できる。

2019年度の補助金の使用状況

  • 1.研究費(備品・消耗品等):13,619,292円
  • 2.研究関係人件費(URA含む):7,175,600円
  • 3.広報関係費(人件費・印刷費等):6,650,665円

(自己資金含む)

私立大学研究ブランディング事業 2018年度の進捗状況

2018年度の進捗状況(PDF版)

事業概要

リハビリテーション科学とスポーツ科学の融合による先端的研究拠点を形成し、基礎的研究及び実践的研究を基盤とした"Sports & Health for All in Niigata"(地域住民からアスリートまで全ての人が安全にスポーツを楽しみ、幸せな生涯を過ごす新潟県)を創出する。これにより、本学ブランドを浸透させるとともに、将来ビジョン「保健・医療・福祉・スポーツ領域を核としたアジアに秀でる研究拠点」の基礎を構築する。

事業目的

「リハビリテーション科学とスポーツ科学の融合による先端的研究拠点」を形成し、基礎的研究及び実践的研究を基盤とした"Sports & Health for All in Niigata"(地域住民からアスリートまで全ての人が安全にスポーツを楽しみ、幸せな生涯を過ごす新潟県)を創出するとともに、保健、医療、福祉、スポーツ領域における「優れたQOLサポーター」を育成・輩出することを通して社会の発展に寄与する。さらに、その成果を戦略的に公表・広報することを通して、新潟医療福祉大学のブランドを構築する。

2018年度の実施目標及び実施計画

1.研究

  • 糖尿病及び脳卒中モデルラットを対象に、歩行条件や介入時期と脳組織損傷、運動機能障がいとの関連を解析する。
  • 前年度対象とした健常若年者の血液からBDNF遺伝子多型を同定し、非侵襲的脳刺激法による運動学習効果と遺伝子多型の関連性を検討する。
  • 学内強化指定クラブのアスリートを対象に、各競技における代表的な競技動作を流体力学的手法を用いて解析し、競技成績別の特徴を解析する。
  • 遺体を用いた大規模な解剖学的検証を行い、各疾患の好発部位の解剖学的特徴を分析する。
  • 各プロジェクトチームにおいて、対象者に応じた評価指標を設定し、それに合わせたスポーツ支援を検討・実施する。
  • シミュレーション教育システムを利用して、「熱中症による意識障害モデル」を作成する。

2.ブランディング事業

  • ①ステークホルダー1(在学生・受験生)

    多職種学科の学生がトレーナー活動に参加できる環境を整備し、定期的な勉強会を実施する。学生認知度及び満足度の測定には、在学生アンケートにて、「友人に自慢したい本学の取組み」を調査し、その結果を測定・評価する。2018年6月(予定)に本事業のブランドコピーおよびブランドロゴを策定し、「パンフレット」及び「特設サイト」を制作する。特設サイトのアクセス解析を通じて総アクセス数を測定・評価する。オープンキャンパスプログラムにシミュレーション教育システムを利用した体験プログラムを追加するとともに、受験生を対象とした「高校出張講義一覧」に本事業に関連した講義を掲載し、東日本全域の高校進路へ配布する。各強化クラブに対して学生トレーナーに関するニーズ調査を実施する。
  • ②ステークホルダー2(学術界)

    • (1)リハビリテーション科学領域およびスポーツ科学領域における代表的な学術大会(日本リハビリテーション医学会、本臨床神経生理学会、日本臨床スポーツ医学会、日本理学療法学会、日本体力医学会、日本作業療法学会、日本体育学会)において74演題以上の発表を行う。
    • (2)関連領域の国際誌(IF付き雑誌)に44本以上の論文を投稿し、37本以上の採択を目指す。
    • (3)科研費領域別新規採択数(文科省公表値)において、33年度までにリハビリテーション領域では全国上位5位以内、スポーツ科学領域では上位10位内を目指す。

2018年度の事業成果

1.研究

  • ①脳出血モデルラットを用いて早期運動介入により、感覚運動野における皮質の萎縮抑制効果を認め、感覚運動野の神経細胞死や樹状突起の退縮を抑制する効果があることが判明した。
  • ②49人のBDNF遺伝子多型解析を行った結果、Val/Valタイプが18.4%、Val/Metタイプが63.33%、Met/Metタイプが18.4%であった。統計的な検定に堪えうる十分な人数ではく、現時点ではBDNF遺伝子タイプと非侵襲的脳刺激の効果との間に一定の関係性は見い出せていない。
  • ③学内強化指定クラブのアスリートを対象に、前年度に膝前十字靭帯損傷が好発した女子バスケットボール部と女子サッカー部に対して着地動作に着目したトレーニング介入を実施し、大幅に発生率を減少させることができた。また、女性アスリート特有の問題(無月経など)について調査した結果、月経異常を呈するアスリートは27.5%(136人中38人)であった。さらに、水泳選手を対象に、水中3次元動作解析を用いて、水中ドルフィンキックにおける足部の役割について検証した結果、スイマーの前足部の柔軟性が、水中ドルフィンキックの泳スピードに影響することが明らかになった。このことは足関節よりもむしろ足の前側(前足部)の柔軟性が泳速度に影響する可能性を示唆している。
  • ④遺体を用いた大規模な解剖学的検証を行い、慢性障害である膝蓋腱炎、シンスプリント、アキレス腱炎の発生に関与する形態学的特徴が存在することを明らかにした。
  • ⑤既存の地域貢献事業を統合し、「QOLサポートコンソーシアム」を設置するとともに、各プロジェクト(健康寿命延伸・ワンパクキッズ化・障がい者Sports for All)に関する活動を開始した。加えて、人材育成部(アスリート育成班・水泳部)で育成した選手が、世界選手権やユニバーシアードに選出された。
  • ⑥シミュレーション教育システムを利用して、「熱中症・脳震盪による意識障害モデル」のプレモデルを作成した。

2.ブランディング事業

  • ①ステークホルダー1(在学生・受験生)

    アスリートサポート研究センターの教員の指導のもと、多職種学科の学生でアスリートサポートに関する勉強会を年間8回実施し、強化指定クラブやプロスポーツチームに対しメディカルチェックや大会でのサポート活動を行った。また地域の学童・障がい者に対してもスポーツに関するサポート活動を行う等、アスリートサポートのための実践的活動を実施した。在学生アンケートにて「友人に自慢したい本学の取組み」の質問をしたところ「実習・実験設備」と回答した学生が最も多い759名、続いて「充実した教師陣」という回答が739名、「充実したカリキュラム」が514名、「研究活動」と回答した学生が177名という結果が得られ、本学の特色ある教育・研究環境が学生教育に還元できていると判断できた。2018年6月に本事業の「特設サイト」をリニューアルし、2018年度には延27,150件のアクセス数を得た。さらに7月には本事業の概要を集約した「パンフレット」を制作し、学内外に配布した。本事業の研究の一部であるシミュレーション教育システムを活用した体験プログラムや、実際の研究を体感できるプログラムをオープンキャンパスのプログラムに追加した。また、受験生を対象とした「高校出張講義一覧」に本事業の関連講義を掲載し、東日本全域の高校進路へ配布し本事業PR強化を図った。各強化クラブの監督やコーチにニーズ調査をした結果、3年次や4年次から学生トレーナーとして活動するよりも、1年次から部員として関わりトレーナー活動を実施してもらえる方がチーム事情や選手との信頼関係を得られやすく理想的であるという意見が大半を占めていた。
  • ②ステークホルダー2(学術界)

    • (1)目標に記載した代表的な学術大会において88演題の発表を行った。
    • (2)関連領域の国際誌(IF付き雑誌)に52本の論文を投稿し44本が受理された。
    • (3)科研費領域別新規採択推計数(30年度公表データ)において、「スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野(リハビリテーション領域含む)」において、全国で5位(21ポイント)であった(2017年度はリハビリテーション科学領域で6位、スポーツ科学領域では9位以下)。2018年度から科研費領域変更により、スポーツ科学とリハビリテーション科学が同じ領域として「スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野」になった。

2018年度の自己点検・評価及び外部評価の結果

1.自己点検・評価

「研究」については、基礎的研究および実践的研究、アスリートサポート人材育成を含めてほぼ計画通りに進捗していると判断できる。特に,強化部選手の傷害発生率の減少に貢献できた点、女性アスリートの問題点を見つけ出している点、アスリート育成班において世界選手権やユニバーシアードに選出される選手が育成されるに至った点は評価に値する。また、2017年度に唯一達成できていなかった「新潟QOLサポートコンソーシアム」の組織化についても、2018年度に組織化され、健康寿命延伸プロジェクト、ワンパクキッズ化プロジェクト、障がい者Sports for Allプロジェクトを開始するに至った点も評価できる。
「ブランディング事業」についても計画通り進展しており、「在学生・受験生」に向けたブランディング戦略において、広報用パンフレットの作成や、高校生を対象としたプロジェクト紹介の出張講義を実施するとともに、オープンキャンパスにおいても本プロジェクト(通称:SHAINプロジェクト)の紹介を推進している。2017年度に設立したアスリートサポート学生トレーナー部の活動を推進することによりSHAINプロジェクトが普及しつつあると判断できる。「学術界」を対象にした計画のうち、目標に掲げた学術大会において74演題以上の発表目標に対して88演題の発表があった。さらに、IF付きの国際誌への投稿も44本以上の目標に対して52本の投稿があり、採択数37本以上の目標に対して44本の論文が採択され、目標を十分達成したと判断できる。加えて、リハビリテーション科学領域およびスポーツ科学領域(2018年度から「スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野」)における領域別科研費採択数においても全国で5位になり、順調に推移していると判断できる。

2.外部評価

本事業は、新潟県民の健康寿命の延伸を目標とし、健康増進やアスリートをサポートするための科学的エビデンスの構築(基礎的研究・実践的研究)、多職種連携によるアスリートサポート人材の育成とトップアスリートの育成(人材育成)、地域健康増進事業(障がい者スポーツの普及を含む)の推進(社会貢献)を目指した社会展開型プロジェクトである。新潟医療福祉大学の強みを生かした本事業が生み出す成果は、社会(新潟県民含む)への貢献が大いに期待できるだけでなく、広く学術界の発展にも寄与するものである。特に、昨年度未達成であった「新潟QOLサポートコンソーシアム」が組織化されたことにより、地域住民への貢献が加速されるものと期待できる。本事業発足から2年目を終えた時点であるが、「研究」および「学術界に対するブランディング事業」の進捗状況は極めて順調である。また、「在校生・受験生に対するブランディング事業」においても、戦略的な広報により大学ブランドの定着に向けて順調に進めていると判断できる。総じて、2年目の事業成果としては当初の計画を上回っていると評価できる。

2018年度の補助金の使用状況

  • 1.研究費(備品・消耗品等):約23,274,775円
  • 2.広報費・事務人件費等:約12,711,490円

私立大学研究ブランディング事業 2017年度の進捗状況

2017年度の進捗状況(PDF版)

事業概要

リハビリテーション科学とスポーツ科学の融合による先端的研究拠点を形成し、 基礎的研究及び実践的研究を基盤とした"Sports & Health for All in Niigata"(地域住民から アスリートまで全ての人が安全にスポーツを楽しみ、 幸せな生涯を過ごす新潟県)を創出する。これにより、本学ブランドを浸透させるとともに、 将来ビジョン「保健・医療・福祉・スポーツ領域を核としたアジアに秀でる研究拠点」の基礎を構築する。

事業目的

「リハビリテーション科学とスポーツ科学の融合による先端的研究拠点」を形成し、 基礎的研究及び実践的研究を基盤とした"Sports & Health for All in Niigata"(地域住民 からアスリートまで全ての人が安全にスポーツを楽しみ、 幸せな生涯を過ごす新潟県)を創出するとともに、保健、医療、福祉、スポーツ領域における「優れたQOLサポーター」 を育成・輩出することを通して 社会の発展に寄与する。さらに、その成果を戦略的に公表・広報することを通して、新潟医療福祉大学のブランドを構築する。

2017年度の実施目標及び実施計画

1.研究

  • 伸張性筋収縮の条件と筋損傷程度との関連を解析し、伸張性筋収縮を反復したときの筋線維膜透過性を明らかにする。
  • 健常若年者を対象に、非侵襲的脳刺激法等を用いて運動学習に与える効果を検討すると同時に、個人差に関しても検討を行う。
  • 学内強化指定クラブのアスリートを対象に、身体属性評価、運動機能評価、筋機能評価、フィールドテストを実施し計測する。また、学内強化指定クラブを対象にIOCに準じた共通フォーマットを用いた外傷調査の発生についての前向き調査を実施し、代表的なスポーツ外傷として膝前十字靭帯損傷を対象に、受傷機転動作や疼痛誘発動作を検証する。
  • 既存の地域貢献事業を「新潟QOL サポートコンソーシアム」として位置付ける。
  • シミュレーション教育センターを設置する。

2.ブランディング事業

  • ①ステークホルダー1(在学生・受験生)

    既存の学生トレーナー制度を再構築し、アスリートサポートセンター内に新たな組織体制を構築する。受験生には、オープンキャンパス時に「アスリートサポート」及び「リハビリテーション Science」に関連する体験型プログラムを実施する。測定方法として、2018年度AO入試志願理由書の頻出フレーズを分析し測定・評価するほか、入学生アンケートにおいて、 "他大学と比較して本学の魅力だと感じること"の選択項目に「アスリートサポートに関する教育・研究」、「リハビリテーションScienceに関する教育・研究」を設定し、その選択率を次年度以降の比較を通じて測定する。さらに、本事業に関する取組みを県内および全国メディアにプレスリリースしパブリシティー掲載を通じて本学の露出拡大を目指す。加えて、スポーツ振興室(本学事務局内に設置)が中心となり強化指定クラブ内調整を行う。
  • ②ステークホルダー2(学術界)

    • (1)リハビリテーション科学領域およびスポーツ科学領域における代表的な学術大会(日本リハビリテーション医学会、日本臨床神経生理学会、日本臨床スポーツ医学会、日本理学療法学会、日本体力医学会、日本作業療法学会、日本体育学会)において70演題以上の発表を行う。
    • (2)関連領域の国際誌(IF付き雑誌)に40本以上の論文を投稿し、33本以上の採択を目指す。
    • (3)科研費領域別新規採択数(文科省公表値)において、33年度までにリハビリテーション領域では全国上位5位以内、スポーツ科学領域では上位10位内を目指す。

2017年度の事業成果

1.研究

  • ①伸張性筋収縮を繰り返すことにより、筋線維の膜透過性が増大することと、その膜透過性はストレプトマイシン投与により防ぐことが可能であることを明らかにした。
  • ②非侵襲的脳刺激法の一つである経頭蓋ランダムノイズ刺激を前庭部に与えることにより、バランス機能が向上することや、指先に機械的触覚刺激を擦るように与えることにより、一次運動野の興奮性が増大することと、運動遂行能が向上することを明らかにした。加えて、運動学習や知覚学習に重要な一次運動野・一次体性感覚野内の抑制機能指標のバラツキ(個人差)を検討し、脳由来神経栄養因子(BDNF)遺伝子多型の影響は少ない可能性を明らかにした。
  • ③強化指定クラブのアスリートを対象に運動機能・筋機能評価を実施し、各競技の競技特性に応じた運動機能と筋機能を明らかにした。さらに、学内強化指定クラブを対象に前向きに外傷調査を実施し、前十字靭帯損傷の発生には、男性ではカッティング動作、女性では着地動作が重要な要素になっている可能性を明らかにした。
  • ④既存の地域貢献事業(ロコモティブ症候群予防研究センター、言語発達支援センター、アクアヘルス推進プロジェクト研究センター、小児リハビリテーション研究センター)のセンター長を対象にして「新潟QOL サポートコンソーシアム」設立に向けて検討を開始した。
  • ⑤シミュレーション教育システムを導入し、メディカルシミュレーション教育センターを設置した。

2.ブランディング事業

  • ①ステークホルダー1(在学生・受験生)

    これまで学生クラブとして個別の活動を行っていた「スポーツトレーナー部」「メディカルトレーナー部」 および「栄養サポート部」を、アスリートサポート研究センターの学生トレーナー部門として配置し、研究センターとの連携・協力のもと複数学科の学生が本学強化指定クラブ等へのサポート活動に参加できる体制を構築した。併せて各強化指定クラブ監督を対象に 「アスリートサポートに関するニーズ調査」を実施し、当該センターの活動等とのマッチング方法について検討した。受験生に対しては、本学で実施されるオープンキャンパスにて"筋力測定" "運動療法体験" "スポーツ用義足体験" "トレーナー活動体験" "スポーツ栄養学を応用した食事チェック体験" 等、本学が養成する多様な専門性を活かした体験型プログラムを実施し本プロジェクトで推進する「アスリートサポート」および「リハビリテーションScience」について情報提供ならびにブランド訴求に努めた。また、これら活動による本学への認知変容やブランド浸透度を定量的に評価する指標として、専願制入試であるAO入試を対象とした「志願理由書頻出フレーズ分析」および全入学生を対象とした「他大学との比較における本学の魅力調査(入学生アンケート)」を実施した。加えて、本プロジェクトに関連する特設サイトを設置したほか、各種活動等について新聞・テレビ等へのプレスリリースを行い、「スポーツ指導 VR活用を(新潟日報8月2日)」や「車いすバスケ 共に汗(新潟日報8月13日)」等多数の記事が掲載された。
  • ②ステークホルダー2(学術界)

    • (1)目標に記載した代表的な学術大会において96演題の発表を行った。
    • (2)関連領域の国際誌(IF付き雑誌)に49本の論文を投稿し34本が受理された。
    • (3)科研費領域別新規採択推計数(29年度公表データ)において、リハビリテーション領域では全国で6位(30ポイント)、スポーツ科学領域では9位(18.5ポイント)であった。(2016年度はリハビリテーション科学領域で9位・25ポイント、スポーツ科学 領域では11位以下・14ポイントであった)

2017年度の自己点検・評価及び外部評価の結果

1.自己点検・評価

「研究」については、基礎的研究および実践的研究、アスリートサポート人材育成を含めてほぼ計画通りに進捗していると判断できる。特に、個別の研究チームで行っていた研究に関して、プロジェクトを構築したことにより横断的な情報交換が進展し、問題提起と成果還元の流れが構築されつつあると判断できる。また、シミュレーション教育システムの導入とともにセンターが完成し、シミュレーション教育を用いた教育研究の基盤が完成したと言える。唯一、各種地域健康増進事業は進展しているものの、「新潟QOLサポートコンソーシアム」の設置については各センター長を中心に調整している段階であり、コンソーシアムの設置は2018年度に持ち越された。「ブランディング事業」についても計画通り進展しており、「在学生・受験生」に向けたブランディンク戦略において、受験生を対象としてオープンキャンパスにて本プロジェクト(通称: SHAINプロジェクト)の紹介を推進し、在校生にはアスリートサポート学生トレーナー部の設立などを通してSHAINプロジェクトの普及に努めていると判断できる。「学術界」を対象にした計画のうち、目標に掲げた学術大会において70演題以上の発表目標に対して96演題の発表があった。さらに、IF付きの国際誌への投稿も40本以上の目標に対して49本の投稿があり、採択数33本以上の目標に対して34本の論文が採択され、目標を十分達成したと判断できる。加えて、リハビリテーション科学領域およびスポーツ科学領域における領域別科研費採択数においても順調に推移していると判断できる。

2.外部評価

本事業は、新潟医療福祉大学の強みを最大限に生かし、トップアスリートの育成や、多職種連携によるアスリートサポート人材の育成、アスリートをサポートするための科学的エビデンスの構築を目指した基礎的・実践的研究の推進、地域健康増進事業(障がい者スポーツの普及を含む)の推進に取り組むプロジェクトになっている。本事業が生み出す成果は、社会(新潟県民含む)への貢献が大いに期待できるだけでなく、広く学術界の発展にも寄与するものと思われる。本事業発足から1年目を終えた時点であるが、「研究」および「学術界に対するブランディング事業」の進捗状況は非常に順調である。特に、学術界を対象としたブランディング事業において、国際誌への論文投稿数や採択数、学会発表演題数などは当初目標を十分上回っており注目に値する数字である。また、「在校生・受験生に対するブランディング事業」においても、戦略的な広報により大学ブランドの定着に向けて順調に進めていると判断できる。総じて、初年度の事業成果としては当初の計画を上回っていると評価できる。

2017年度の補助金の使用状況

  • 1.研究費(備品・消耗品等):約32,401,784円
  • 2.広報費・事務人件費等:約2,450,780円