2019年11月 5日 09:38 更新
神経生理・運動生理研究チーム
小島翔助教(理学療法学科、神経生理Lab、運動機能医科学研究所所属)の研究論文が、国際誌「Scientific Reports」に採択されました!
指先への刺激が脳へどのような効果を及ぼすのか?について詳細に検討した報告となっております。
詳しい研究の内容は以下にご説明いたします。
研究の概要:
指先への触覚刺激は、指先の感覚機能を向上させることが報告されています。
さらに、その刺激のパターンによって、脳の活動は異なることが示されています。
そこで我々は、刺激のパターンを変えることで介入の効果が異なるのではないかと推測し、触覚刺激の刺激パターンが運動を司る大脳皮質領域(一次運動野)の興奮性と運動機能に及ぼす影響を明らかにすることを目的に研究を行いました。
その結果、指先全体を同時に刺激する条件では、一次運動野の興奮性が減弱しました。
一方、指先を左から右に刺激が移動する条件では、一次運動野の興奮性が増大し、さらに指先の運動機能の向上が認められました。
本研究によって、触覚刺激の介入効果は刺激パターンによって異なることが明らかになりました。
小島先生からのコメント:
脳卒中患者の多くは、運動機能とともに感覚機能の低下が認められています。
本研究で用いた触覚刺激は、比較的簡便に用いることができ、これまでの研究では感覚機能を向上させることが示されています。
今回の研究で、触覚刺激が運動機能にも効果的であったことは、触覚刺激をリハビリテーションの一つとして活用できる可能性を示しました。
今後は、さらに脳卒中患者の方にも効果的か検討していきたいと思います。
研究成果のポイント:
1)触覚刺激は、点字様の刺激ピンを用いて、右の示指を対象に20分間行いました。
http://www.nuhw.ac.jp/topics/news/191104-2.pdf (90.6KB)
2)指先全体を刺激する条件では一次運動野の興奮性が減弱し(図左)、刺激が移動する条件では一次運動野の興奮性が増大しました。(図右)黒:介入前 点線:介入後
http://www.nuhw.ac.jp/topics/news/191104-3.pdf (17.7KB)
3)刺激が移動する条件ではペグボード(ピンを穴にすばやく入れる課題)の遂行時間が短縮しました。(図右)点線:平均値
http://www.nuhw.ac.jp/topics/news/191104-4.pdf (14.9KB)
原著論文情報
Sho Kojima, Shota Miyaguchi, Ryoki Sasaki, Shota Tsuiki, Kei Saito, Yasuto Inukai, Naofumi Otsuru, Hideaki Onishi. The effects of mechanical tactile stimulation on corticospinal excitability and motor function depend on pin protrusion patterns. Scientific Reports, 2019. (in press)
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