高林知也助教の研究論文が国際誌「Knee」に採択

2019年11月 7日 14:58 更新

バイオメカニクスチーム

taka.jpg高林知也助教(理学療法学科、バイオメカニクスLab、運動機能医科学研究所所属)の研究論文が国際誌「Knee」に採択

高林先生はこれまでバイオメカニクスアプローチにより足部障害や膝関節障害について研究を行っております。
今回は、膝関節の一部である膝蓋大腿関節にかかるストレスについての研究です。
研究の詳細は以下をご覧ください。

膝蓋大腿関節にかかるストレスは膝関節屈曲30度で最も小さくなることを解明!-数学モデルによるシミュレーション研究-

研究内容の概要:現在、年齢男女問わずランニングの人気が高まっています。その一方でランニング障害の発生率も増加しています。ランニング障害のなかでも、膝前面痛が主症状である膝蓋大腿関節症(しつがいだいたいかんせつしょう)は、ランニング障害全体の25%を占めています。この膝蓋大腿関節症は、ランニング競技のアスリートだけではなく、一般的に趣味としてランニングを楽しむランナーにも頻発します。

膝蓋大腿関節症の危険因子として、膝蓋大腿関節(PFJ)にかかるストレス(PFJS)の増加が関与することがわかっています。これまでPFJSを減少させるにはランニング時に前足部で接地すること、あるいはステップ長を短くする戦略があると報告されていました。これらの戦略は、膝関節角度と膝関節モーメントを変化させ、結果的に関節角度とモーメントがPFJSを変化させます。
しかし、膝関節角度とモーメントがどのような組み合わせでPFJSを最も減少させているかが明らかになっていません。
そこで、本研究では8676通りのシミュレーションにより膝関節角度とモーメントの変化がPFJSに与える影響について検証し、最もPFJSが増加、あるいは減少できる角度とモーメントの組合せを検証しました。
その結果、PFJSは膝屈曲角度が約10°で最も増加し、30度で最も減少することを明らかにしました。

高林先生からのコメント:
本研究結果より、PFJSは膝屈曲角度が約10°で最も増加し、30度で最も減少することがわかりました。
PFJSの増加は膝蓋大腿関節症の発生要因であり、かつ膝関節の痛みにも関連しています。
本研究は膝蓋大腿関節症による膝の痛みに苦しむランナーにとって、有益な基礎情報になり得ると考えています。

本研究成果のポイント:
①膝蓋大腿関節モデルを用いてPFJSを計算した点

http://www.nuhw.ac.jp/topics/news/191105-1.pdf (75.2KB)

②数学モデルを用いて、シミュレーションによりPFJSが最も減少する角度とモーメントの組合せを明らかにした点

http://www.nuhw.ac.jp/topics/news/191105-2.pdf (25.8KB)

③どのモーメントの値をとっても膝関節屈曲30度でPFJS最も減少することを明らかにした点

http://www.nuhw.ac.jp/topics/news/191105-3.pdf (22.1KB)

原著論文情報
Takabayashi T, Edama M, Inai T, Tokunaga Y, Kubo M. A mathematical modelling study investigating the influence of knee joint flexion angle and extension moment on patellofemoral joint reaction force and stress. Knee. 2019.

>>理学療法学科の詳細はこちら
http://www.nuhw.ac.jp/faculty/medical/pt/

>>理学療法学科オリジナルサイトはこちら
http://www.nuhw-pt.jp/