2019年11月 1日 16:46 更新
神経生理・運動生理研究チーム
山﨑雄大(博士課程3年、日本学術振興会特別研究員DC2)、佐藤大輔(健康スポーツ学科教授)らの研究グループは、低強度有酸素性運動による一次運動野の脳活動変化について検証しました。その結果、一次運動野における抑制・興奮系の皮質内活動が運動後に変化することが明らかになりました。
本研究は『Frontier in Physiology』に公開されました。
研究者からのコメント:一次運動野の活動は、運動学習に重要な領域です。運動学習は日常生活のみならず、リハビリの現場でも必要となります。近年では、有酸素性運動が一次運動野の活動を変化させ、運動学習の効果を高める可能性が指摘されていますが、運動強度の検討を含め非常に断片的な知見しか得られていません。本研究結果は、これら先行研究の知見を補完し、運動学習に対する有酸素性運動の有効性を明らかにするための一助になるかもしれません。
本研究成果のポイント:
1. 経頭蓋磁気刺激を用いて、低強度運動前後の一次運動野脳活動の変化を網羅的に検討しました。
2. 運動に用いた脚の領域だけでなく運動に用いていない手の領域でも、一次運動野の脳活動、特に抑制系の働きの指標である皮質内抑制と求心性抑制が一時的に減弱することがわかりました。
TIFF 低強度運動後に生じる一次運動野の抑制系活動の変化
Yamazaki Y, Sato D, Yamashiro K, Nakano S, Onishi H, Maruyama A. Acute low-intensity aerobic exercise modulates intracortical inhibitory and excitatory circuits in an exercised and a non-exercised muscle in the primary motor cortex. Frontiers in Physiology. 2019.
doi: 10.3389/fphys.2019.01361