2019年7月11日 14:09 更新
アスリートサポートチーム
江玉睦明教授(理学療法学科、スポーツ医科学Lab、アスリートサポート研究センター、運動機能医科学研究所)と武石みどりさん(太田総合病院勤務、理学療法学科15期生)らの研究論文が国際誌『Scientific Reports』に掲載されました!
【研究結果】
足関節の前方にある前下脛腓靭帯の下部線維束の有無や形態学的特徴は足関節背屈時のインピンジメントに影響を与えないことを明らかにしました!
【研究の概要】
サッカー選手などに好発する疾患として、足関節を背屈(強く踏ん張る)した際に足関節の前方に痛みが発生する足関節前方インピンジメント症候群というものがあります。その要因の一つに足関節の前方に存在する前下脛腓靭帯の下部線維束が挟まり込まれる(インピンジメントされる)ことが考えられています。
しかし、この前下脛腓靭帯の下部線維束の出現率や詳細な形態学的特徴(長さや幅など)については未だ明らかにされていませんでした。そこで本研究では、前下脛腓靭帯を4つのタイプに分類し、形態学的特徴を詳細に明らかにしました。その結果、前下脛腓靭帯の下部線維束の存在の有無やその形態学的特徴の差異は、足関節背屈時のインピンジメントに影響を与えている可能性が少ないことが明らかとなりました。
江玉先生からのコメント
本研究結果は遺体を対象にした研究になります。今後は、足関節や足部に存在する全ての靭帯の解剖学的な所見を整理していきたいと考えています。そして、本研究結果を基に生体を対象とした研究を進めていき、有効な治療法や予防法を開発して怪我で苦しむアスリートを一人でも減らしていきたいと考えています。
研究のポイント
1.前下脛腓靭帯の下部線維束をタイプ分類した点
[図1]http://www.nuhw.ac.jp/topics/news/190710-1.pdf (63.2KB)
1:前下脛腓靭帯、2:下部線維束、3:前距腓靭帯、4:腓骨
TypeⅠ:下部線維束が完全に分離している
TypeⅡ:下部線維束の起始停止のどちらかが分離している
TypeⅢ:前下脛腓靭帯と下部線維束との間にわずかな隙間が存在している
TypeⅣ:下部線維束が存在していない
2.前下脛腓靭帯と前距腓靭帯の関係性を明らかにした点
[図2]http://www.nuhw.ac.jp/topics/news/190710-2.pdf (73.5KB)
下脛腓靭帯、2:下部線維束、3:前距腓靭帯、4:腓骨
A:AITFLとATFLが結合している
B:AITFLとATFLに連結していない
原著論文情報
Edama M, Takeishi M, Kurata S, Kikumoto T, Takabayashi T, Hirabayashi R, Inai T, Ikezu M, Kaneko F, Kageyama I. Morphological features of the inferior fascicle of the anterior inferior tibiofibular ligament. Scientific Reports. [in press]
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