浅井先生の専門領域・研究分野について教えて下さい。
遺伝子検査学・遺伝子分析科学を専門分野として、疫学・予防医学の領域での研究に従事しております。具体的には、胆嚢がん多発国における本症の遺伝学的、病理学的特徴を解明する取り組みを行っています。胆嚢がんは世界的に比較的稀な悪性腫瘍ですが、南米アンデス山脈系に位置する国など一部の地域や民族において特に一般的であり、発生率における顕著な地理的・民族的集積性を示すことが知られています。そこで、昨年、胆嚢がん多発国の1つであるボリビアに渡航し、現地の医療機関と連携して胆嚢がん組織を採取して作成した病理組織標本をもとに、その病理学的特徴や遺伝子変異の解析を行っております。この研究によって得られた成果は、ボリビアにおける本症予防法構築のための一資料とするとともに、他国で得られた結果と比較することにより胆嚢がん発症機構解明の一助とすることを目的にしています。
浅井先生の担当授業について教えて下さい
生物学や生化学など専門科目の基礎となる科目を中心に担当しています。人はなぜ生きるのか?それを理解する手段のひとつが『生物学』です。高校生物を履修していない人にもわかりやすいよう、生命の神秘に思いをはせながら、生命の基本的な仕組みについて学んでもらえるよう工夫して授業しています。また臨床工学の領域で材料工学の授業も担当しています。この授業では医療現場で用いられる様々な生体材料(バイオマテリアル)について、その種類や用途、性質について学んでもらいます。生体材料は日夜研究・開発が進められており、次々と新しいものが登場してきますので、教科書に掲載されていることだけにとらわれることがないよう、多角的な視点から材料をとらえた説明を心掛けています。
臨床技術学科の目指す資格の活躍の場や将来性について教えて下さい。
臨床技術学科では、生命維持管理装置を操作・保守・管理するスペシャリストである臨床工学技士と、身体の状態を分析するプロフェッショナルである臨床検査技師の2つの医療系国家資格を取得することにより、幅広い業務に対応し医師や他の医療スタッフとより密接に連携できる医療技術者を育成しています。このような医療技術者を本学科では『臨床技術者』と呼んでいます。先端技術の進歩や時代の変遷に伴って法律や資格の枠組みが変化していくなかで、既存の概念にとらわれずに活躍できる人材『臨床技術者』は、未来の医療に貢献できると期待しています。
教育・授業において大切にしていることや考え方を教えて下さい。
人は一生勉強していくものであって、大学教育というのはその通過点だと考えています。その通過点である大学で本当に学んで欲しいこと身につけて欲しいことは、知識や技術ではないと思います。これは上で書いた本学科の特徴と矛盾するように聞こえるかもしれませんが、知識や技術よりも大切なことを大学で身につけて欲しいということです。それは一言で表すと 『生き抜く力』です。特に、本学に多い国家資格を目指す課程においては国家試験対策を意識しがちではありますが、国家試験だけにとらわれることなく、将来にわたって自身の行動を選択する考え方や振る舞いを身につけることが重要だと考えています。そのため私の授業においては、自分で考えて判断・行動することを大切にし、なるべく多くの経験ができるよう工夫しています。なかでも失敗からは多くを学ぶことができますので、失敗し→気づき→自分で考える機会が得られるような授業設計を心掛けています。
最後に一言お願いします!
私が卒業していく学生さんに贈る定番の言葉です。
『卒業は通過点に過ぎません。昨年、ノーベル賞を受賞された京都大学の山中伸弥教授、ご存じない方はいらっしゃらないと思います。山中先生はノーベル賞のメダルを手にしてこうおっしゃいました。「ノーベル賞はこれで私にとって過去のことになりました。大切な場所に保管してもう見ることもないと思います。一科学者としてこれから、すべきことを粛々とやっていきたい」。ノーベル賞と比較するのはおこがましいですが、私が言いたいのはどのような晴れがましい日でも通過点に過ぎないということです。これからも人生の目標に向かって、走り続けてください。』
高校生のみなさん、新潟医療福祉大学は素晴らしい大学ですが、絶対に新潟医療福祉大学とはいいません、自身にとって最良の通過点を選択してください。
次のセンセイを紹介して下さい。
新潟市大学連携研究事業ツナガリの社会福祉学科 青木茂先生です。
大学と地域との絆を結ぶ熱い先生です!
青木先生宜しくお願いします!