新潟医療福祉大学 宇田優子

7

2012年4月30日

「見て」「聞いて」「つないで」「動かし」「つくって」「みせる」保健師の仕事

宇田 優子Yuuko Uda

看護学科 准教授

担当科目
地域看護学概論、地域看護活動論I・III、地域看護活動演習II、地域看護実習I、地域看護管理学、災害看護学・演習
専門領域
地域看護領域

■出身地:新潟県新潟市
■趣味:時代小説の読書、温泉巡り
■尊敬する人:保健師としての核を育ててくれた恩師、両親
■座右の銘:「生きるを楽しむ」

宇田先生の経歴について教えて下さい。

新潟大学医療技術短期大学看護学科を卒業後、県外の病院に看護師として勤務。4年後に在宅療養者への看護を学びたくて新潟県公衆衛生看護学校にて1年間学び、保健師免許を取得。新潟県に就職し、佐渡保健所をはじめ、村上保健所など県内の保健所で保健師として勤務。その間、母校の新潟県公衆衛生看護学校にて保健師教育に5年間、東北電力スタジアムにある健康づくり医科学スポーツセンターに2年間出向もしました。健康づくりの政策効果と経済評価を学びたくて、仕事をしながら平成16年に放送大学大学院政策経営専攻に入学しましたが、同年10月に発生した中越地震の対応に忙殺されるとともに、災害保健活動が未知の世界であることに気づき、修士論文テーマを災害に変更し平成19年3月に修了しました。指導教授が阪神・淡路大震災での経済評価も行われた先生だったので、災害保健活動にテーマを変えても指導を受けることができたのは偶然でしょうか?卒業後、災害保健の研究活動を継続したくなり、平成22年3月末に新潟県を退職して本学に就職しました。本学の博士課程後期に在籍中です。

宇田先生の専門領域・研究分野について教えて下さい。

専門領域は、公衆衛生看護学分野になります。簡単に説明すると、国家資格である保健師になるための科目を担当しています。この分野は地域で暮らす赤ちゃんから働き盛り世代、お年寄りまでの全てのライフステージと元気な方からターミナル期(終末期)の方までを対象に、健康づくりや疾病予防・回復までの看護活動のうち、行政・産業などの分野が主体になって行う看護になります。保健師は地域住民の方々と一緒に「健康」をキーワードに、健康な地域づくりをする仕事で、家庭訪問や健康相談、健康教育などの方法を使いながら、ダイナミックに看護活動を行っていて、とてもおもしろいので、ぜひ興味をもって学習していただきたいと思います。
本学は、平成24年度入学生からカリキュラム変更を行い、2年次前期に1週間の公衆衛生看護学実習Ⅰ(北区内の高齢者宅等へのふれあい訪問)、3年次後期に公衆衛生看護学実習Ⅱ(県内市町村と県立保健所での家庭訪問、健康相談、健康教育などを通して地域住民への看護活動の展開)、4年次前期に公衆衛生看護学実習Ⅲ1週間(企業に働く人々の健康を守るための産業保健師の実習)と4年間でステップを踏みながら学ぶカリキュラムを組んでいます。
病気療養中の患者さんだけでなく、健康な人にも健康増進のための予防活動ができるのが保健師の魅力です。

宇田先生の研究テーマについて教えてください。

私の研究テーマは、第1に災害保健・看護活動ですが「災害」といっても広いですので、「災害への備え」を主テーマに研究しています。パーキンソン病患者さんの災害への備えとして、内服薬に焦点をあてた3年計画のものに取り掛かっているところです。また、平成16年に発生した中越地震の復興検証としての調査プロジェクトにも加わり、これから調査を開始するところです。中越地震後の各分野の10年検証結果が平成26年に公表になる予定で、その一つの分野になります。中越地震は、中山間地が被災して山の集落を降りて平場に移り住んだ人と人口の減った集落に残り生活している人がいますが、それぞれの暮らしと健康、災害への備えの変化を確認して、東日本大震災の復旧・復興期の看護活動に役立てたいと考えています。
第2に、山間僻地・離島の公衆衛生看護活動で、保健医療福祉資源の少ない地域においての素晴らしい看護活動を検証評価し、正しく後輩に伝えていきたいと願っています。看護学科では4年生の統合実習において新潟県北部にあり、日本海に浮かぶ離島の粟島での実習に参加できるチャンスがあります。粟島浦村は面積9.86km2 人口438人(平成17年国勢調査)の小さな島です。医療職は看護職のみで、粟島浦村役場に勤務する保健師1人と村立診療所(通常は無医地区、テレビ診療で本土の病院とつながっている)に勤務する看護師2人の体制で村民の生命と健康と守り、育て、看取っています。3年次前期科目の「災害看護学演習」を学外の教授と一緒に担当もしています。

宇田先生が教育・授業において大切にしていることや考え方を教えて下さい。

保健師の仕事は看護師の仕事と異なり、健康な人を対象にしていることや全年齢を対象にしていること、個人だけでなく集団・組織を対象にしていることから、初めて学ぶ学生には難しい部分があるかも知れません。講義や演習の中でリアリティを学生が実感できるように、本学で取り組んでいるSP(模擬患者・住民)を取り入れるなどの工夫をしています。

最後に一言お願いします!

平成21年度から本学が実施しているJICA研修(南大洋州における地域保健での生活習慣病予防対策コース)の継続で、現地でのフォローアップ研修に今年2月にフィジーに行ってきました。日本の地域看護の知識・技術を必要としている国がたくさんあることに改めて気づきました。本学では国際交流も盛んに行っていて学ぶ機会は準備していますので、将来海外で働きたいという意欲を持つ学生にぜひ入学してほしいと思います。

次のセンセイを紹介してください!

医療経済に興味関心有りツナガリの医療情報管理学科の森脇健介先生です!
森脇先生宜しくお願いします!

宇田先生が在籍する看護学科の詳細は以下バナーよりご覧ください。


新潟医療福祉大学 センセイリング

基礎ゼミの学生達とたこ焼きをしました!勉強はもちろん本学での大学生活では多くの仲間を得ることができると思います。

新潟医療福祉大学 センセイリング

災害看護学演習で住民を背負っての避難誘導を想定した場面です。

新潟医療福祉大学 センセイリング

離島の粟島浦村総合実習で診療所前で記念写真!

新潟医療福祉大学 センセイリング

JICAの研修の際に地域での成人病健康診断(特定検診)を見学させていただきました。

新潟医療福祉大学 センセイリング

JICAフォローアップ研修でフィジーでセッションをしました!