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2017年3月15日

生命の防人(さきもり)として

山内 一Hajime Yamauchi

救急救命学科 講師

担当科目
病院前救急救命学全般
専門領域
病院前救急救命学、病院前外傷学、病院前小児救急救命学

■出身地: 熊本県  
■ニックネーム: はじめちゃん、いっちゃん   
■経歴: 航空自衛隊で救急医療に従事。患者空輸チーム「航空機動衛生隊」の創設後退職し、
      医科大学を拠点とした救急救命士・救急隊員の臨床指導を立ち上げる。
      平成27年2月より救急救命学科準備室副室長に就任、現在に至る。
■趣味: 釣り、温泉  
■子どもの頃の夢: 戦隊ヒーロー
■尊敬する人: 仁義をきちんととおす人
■座右の銘: 鳴かぬなら鳴かせてみようホトトギス
■休日の過ごし方: 救急医療関連セミナーの講師として全国各地をとびまわっています。

専門領域・研究分野について教えてください。

病院前救急救命学は、救急救命士が活動すること全般をさしています。救急救命士は医療職の中でも唯一フィールドが違い「患者が来る」のではなく「患者のもとへ行く」という、病院より前が活動のフィールドで、最初に患者を診る医療職です。そのため、患者がどのような状態で最終的にどんな治療が必要なのか、ということを見抜く「病院前診断」を行ないます。さらに、病態に適した医療機関を選定すること、受入れてもらうための情報伝達・交渉をすること、搬送中も病態が悪化しないような管理を行なうことなど、多くの活動を少人数で行ないます。これらの活動は患者の生命や予後を大きく左右することになります。そのために救急救命士は、病態を見抜くための医学知識、現場で行なわなければいけない様々な応急処置技術、情報を得るためのコミュニケーション技術など、多くの能力を身につける必要があります。

救急要請は内科、外科、外傷、中毒、産婦人科、小児、高齢者、精神、など様々な領域にわたり、専門領域というものはなく、あえていうならば「病院前で発生すること全て」が専門領域です。よって「全領域を網羅しているジェネラリストかつ病院前救急救命のスペシャリスト」を目指さなければいけません。これまでは多くを経験則などで継承してきたところがありますが、しっかりとした学問体系としてまとめあげることが重要であり、そのことが私の使命であると考えています。

担当授業の魅力について教えてください。

私の授業テーマは「考える」です。救急現場では救急救命士が医療におけるリーダーとなります。そこには基本的に医師はいません。さらに悠長に観察をしている暇はなく、時間との闘いという側面もあります。活動を構築していくためには、一手も二手も先を読むための思考速度と、瞬時の判断力を養わなければいけません。その元となるのは豊富な医学知識と絶対的な技術です。教えてもらう、与えてもらうという意識では、現場活動を展開していくための知識は身に付きませんし、やる気だけで技術がなければ何もできません。自ら学んで知識と技術を身につけ「考える」ことで真の理解に昇華させて、現場で活かせる能力を修得してもらいたいと考えています。

当該学問に興味を持ったきっかけを教えてください。

人命を救うことに直接携われることに魅力を感じたからです。自分自身の力が結果に大きく反映するため、救命できたときの喜びや達成感は大きいものがあります。しかし、力量不足であれば最悪生命を守ることができません。自分自身が常に生命の防人として試される職種ですから、やりがいも学びがいがあります。

当該学科の目指す資格の活躍の場や、将来性について教えてください。

救急救命士が活躍するメインは消防機関です。皆さんが街中でよくみかける救急車に乗っている隊員が一番イメージしやすいかと思います。他にも陸海空自衛隊、海上保安庁、警察など、主に公安職が活躍の場となります。最近では新卒で病院に所属する救急救命士も増えてきましたが、救急救命士はあくまで病院前のスペシャリストとしての国家資格ですから、まずは救急救命士本来の臨床経験が積める職種を目指して欲しいと考えています。

そのためには、救急救命士になるための勉強だけではなく、公務員採用試験の勉強も並行してやらなければいけません。4年間は長いようであっという間ですから、自分を律して取り組む必要があります。

僕自身は消防機関出身ではなく、じつは航空自衛隊にいました。市中で起きる救急事案とは少々違うことを主にやっていました。しかし、救急救命士本来の臨床経験を積まなければ視野が広がらないと考え、当時の所属にかなり無理をお願いして、消防機関へ出向させてもらい、しばらく街の救急をやっていました。その時の経験が今の自分にとって大きな自信になっています。また航空自衛隊退職後は、某医科大学を基盤として救急救命士や救急隊員の臨床教育体制を構築しましたが、その際にも消防機関での経験が活かされましたし、その経験がなければうまくいかなかったと思います。

先生から見た新潟医療福祉大学、在籍する学生について教えてください。

大学はロケーションもよく、施設も充実していて本当に環境がよいと思います。色々な大学や専門学校をみてきましたが、こんなに充実した環境で学べるところはなかなか無いのではないかと思います。僕は熊本出身で、関東生活が長かったので、しいていうならば冬の寒さと雪にはいまだに慣れませんが・・・苦笑。

誤解を恐れずに言いますが・・・本学だけではなく全国的な傾向として、大学生でも精神的に未成熟な子が多くなってきていると感じています。義務を果たさずに権利主張だけはする風潮は社会問題にもなっていますからね。

就職して給料をもらうということは、同時に責任を負うということです。ましてや医療資格を活かして働くということは、プロフェッショナルとしての対価を得るということです。私が学生諸君にのぞむことは、まず今以上に挨拶をしっかりすること。社会にでたときに、優しく気を使って声をかけてもらえると思ったら大間違いです。今のうちに「自分から挨拶する」習慣をつけてもらいたいと思います。

もうひとつは、自らが学びたくて進学したのですから「与えてもらう、教えてもらう」ではなく「継続的に自らが学ぶ」ことに取り組んで欲しいと思います。同じ勉強をするにしても、前者と後者では天と地ほど違います。

その上でONとOFFを切り替えて、大学生活を思い切りエンジョイしてもらいたいですね。

教育・授業において大切していることや考え方を教えてください。

学びとは登山のようなものだと考えています。学生は登山者、教員は登山ガイド、到達したい学びが山です。スムーズにどんどん登れる人、一般的な登山道で登る人、ゆっくり休憩したり回り道をしながら登る人、様々です。山頂に無事導くために、登山ガイドは登山者の状況をみながら、適した登山道を案内できるように色んな道を知っていなければいけません。しかし、おんぶや抱っこをして連れて行くのではなく、あくまでも自分で山を登らせなくては意味がありません。結果的にめざす山頂は同じです。途中つらいこともあるでしょうし、嫌なこともあるかもしれません。しかし、自分で登った山からの景色は絶対に感動します。「自分の足で登って良かった」私はそんな教育をしていきたいと考えています。

高校生や救急救命士を目指す人へメッセージ

「誰かを助けたい」という気持ちをもっていて「自ら学ぶことができる」方であれば大歓迎です。体力的にも精神的にも過酷な職業ですが、男性だけではなく女性も活躍できる職業です。性別差はありません。ちなみに、戦隊ヒーローには必ずといっていいほど桃色(女性)がいますしね!

進路など迷うことがあれば経験豊富な教員がしっかりと相談にのらせてもらいます。ぜひ救急救命学科の門をたたいてください。

それでは最後に、次の先生を紹介してください!

次は・・・・同期入職ツナガリ看護学科 金子佳世先生
金子先生は同期で入職しました。急性期看護をご担当されているとのことで、我々救急救命士がバトンを渡す職域の看護をされています。金子先生よろしくお願いします!

ありがとうございました!
山内先生が所属する学科はコチラ▽▽

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これでも真面目な講習会です。特攻服を着て改造バイクで暴走したあげく車に轢かれて大ケガをする・・・役です。

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後ろにみえるC130という輸送機で患者空輸を行なう部隊(航空機動衛生隊)の創設が現役最後の仕事でした。

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