■当該学問に興味を持ったきっかけを教えてください。
私が専門とする領域は、理学療法あるいはリハビリテーションの分野では「内部障害」と呼ばれます。循環器や呼吸器・腎臓などに病気を患い、日常生活に支障をきたしている方に対し理学療法を行います。内部障害には“がん”も含まれます。
もともと人の体の機能に興味があったことに加え、このような領域に関わる理学療法士が少ないことを知り、勉強したいと思うようになりました。私は、ほかの人と違うことをしたいと考えるところが強いようです。
■専門領域・研究分野について教えてください。
内部障害には様々な病気がありますが、中でも循環器や呼吸器の病気をお持ちの方に対する理学療法が専門です。理学療法士を目指している本学の在学生でも、この領域に理学療法士が関わること、この領域で理学療法士に対する他職種からの期待が大きいことなどは、授業で初めて知る人がほとんどです。また臨床実習で伺う病院のほとんどでこれらの病気に対する理学療法が行われており、それに驚くことも多いようです。難しそうに感じるかもしれませんが、この領域のおもしろさ・奥深さは、勉強すればするほど増していきます。
研究に関しては、【運動に伴う脳内の酸素の変化】について調べています。理学療法の一部である運動療法の効果や安全性を、脳の酸素化という視点から検討しています。理学療法士の視点でこのような研究を行っている方は、世界中を見渡しても私以外にはほとんどいません。運動の強さや時間によって、あるいは運動習慣があるかないかでも、脳の酸素化の程度や時間は変わります。
“なぜその違いが生じるのか。”不思議だと思いませんか?
■担当授業の魅力について教えてください。
専門科目のうち、必修科目の「内部障害理学療法学」と選択科目の「運動生理学」を担当しています。両科目を担当して、「人の体はなんとうまくできているんだろう」と、その巧みさや繊細さ、時に大胆さに驚かされます。
「内部障害理学療法学」では、特に循環器の病気をお持ちの方に、なぜ理学療法が必要か、どのように理学療法を提供するか、どのような効果があるか、などについて話します。循環器の病気をお持ちの方に対する理学療法の効果は、世界的に示されており、運動療法を行った人は行わなかった人よりも長く生きることが科学的に証明されています。内部障害を有する方への理学療法を考える上で、基礎になるのが「運動生理学」です。運動生理学の知識は、アスリートに関わる上でも必要不可欠です。
病気を持つ方の寿命にも影響する運動療法を、科学の目で、理学療法の視点で、考えてみませんか?
■教育・授業において大切していることや考え方を教えてください。
ある書物によれば、学習するにあたって授業を聞くことや資料を読むだけではその定着度は低く、ほかの人に学んだことを教えるほうが格段に定着率は高いそうです。ほかの人に教えるにあたって、はじめに覚えなければならないことも多々ありますが、暗記するだけではすぐに忘れてしまいますし、応用もできません。通り一遍の理学療法ではなく、患者さんにとって効果的で安全な理学療法を提供するためには、病気や理学療法が与える影響を理解した上で、説明できることが重要であると考え、それを意識して授業を行っています。また、ゼミの学生には現場の声を聞く機会をたくさん持てるよう、関連する研究会やイベントに参加するよう案内しています。
■メッセージ
大学生活はあっと言う間ですが、どれだけ「濃く」過ごすことができるかは、卒業後に強く影響するように感じます。学生の本分をおろそかにしないことはもちろんですが、様々な方と関わり、様々なことにチャレンジできるのは、学生時代だと思います。濃い大学生活を送ってください。
■次のセンセイを紹介してください!
次は「同学年ツナガリ」の救急救命学科 山内 一 先生です。
山内先生には、「内部障害理学療法学」の中で、一次救命処置に関する“熱い”演習を担当していただいています。それでは、山内先生よろしくお願いします!
そんな、椿先生が在籍する理学療法学科の詳細は以下バナーよりご覧ください。