江玉睦明教授(理学療法学科,スポーツ医科学Lab,アスリートサポート研究センター,運動機能医科学研究所)と島根大学(大谷浩教授)との共同研究が国際誌『Surgical and Radiologic Anatomy』に掲載されました!
ヒトのアキレス腱は、ねじれ構造を呈していることがご遺体を用いた研究や、生体を対象としたMRIや超音波を用いた研究で明らかにされています。近年、この捻れ構造とアキレス腱障害との関係が注目されています。我々の先行研究では、重度の捻れ構造(捻れが強い)のアキレス腱は、軽度や中等度の捻れのアキレス腱よりも傷害発生のリスクが高いことが明らかとなっています。しかし,アキレス腱を用いた研究の多くが高齢のアキレス腱を対象とした研究がほとんどであり、捻れ構造や捻れの変化が先天的に構成されたものかどうかは不明でした。そこで本研究では、胎児遺体(妊娠中期)を用いてアキレス腱の捻れ構造を明らかにすることを目的に研究を行いました。その結果、胎児のアキレス腱は、高齢遺体を対象とした先行研究と類似した捻れ構造を呈していました。今回の研究結果から、アキレス腱の捻れ構造は先天的に構築された構造である可能性が高いことが明らかとなりました。従って、アキレス腱の捻れ構造は変化させることができないため、重度の捻れ構造のアキレス腱に対しては、力学的特性などの構造以外の要因にアプローチする必要があると考えられました。
本研究結果をさらに発展させ、一人でも多くのアスリートがけがを予防しながら競技に打ち込めることができるように取り組んでいきたいと思います。
① 胎児遺体(妊娠21~25週,平均体重:約1800g)を用いてアキレス腱の捻れ構造を検討した点.
② 胎児のアキレス腱を捻れの程度に応じて3つのタイプに分類した点(軽度,中等度,重度)