中村雅俊先生(理学療法学科,応用理学療法Lab,運動機能医科学研究所)と八幡薫さん(理学療法学科16期生,大学院修士課程1年,応用理学療法Lab,運動機能医科学研究所)が中心に行った研究論文が,国際誌『Frontiers in Physiology』に採択されました!!
以前,ご紹介したストレッチングが筋力増加・筋肥大効果があるのか?という研究に引き続き(https://www.nuhw-pt.jp/2021/02/-20210207.html),関節や筋の柔軟性の変化についてストレッチング介入後,およびディトレーニング効果(ストレッチング終了後に効果が続くのか...?)について調査しました.研究の詳しい内容については以下をご覧ください.
ストレッチングはスポーツ現場やリハビリテーション現場でたくさん使用されている手技で,その主な効果は関節や筋の柔軟性を増加させることです.その関節の柔軟性や筋の柔軟性に対してストレッチングがどのような影響を与えるのか?について,一週間60分間のストレッチングを行う,これまでの研究の中で最も長いストレッチング介入を5週間行った結果を検討しました.その結果,関節と筋の柔軟性が増加することがわかりました.
しかしながら,ストレッチングを終了した後は,その効果はなくなってしまい,5週間後には増加した柔軟性はストレッチング前に戻ってしまうことが明らかとなりました.この結果より,若者を対象とした場合,ストレッチングは関節や筋の柔軟性増加に有効な方法ではありますが,その効果は持続しないため,柔軟性を増加した状態を維持するためにはストレッチングを継続する必要性があることが明らかとなりました.
ストレッチングの効果に関しては,関節や筋の柔軟性を増加することがわかっていましたが,その持続効果に関しては十分,わかっていませんでした.今回の研究では,ストレッチを行った期間と同じ期間のストレッチ中止期間を設けると,ストレッチング効果がなくなってしまうので,柔軟性を高い状態で期待するためにはコツコツとストレッチングを継続する必要があることが分かりました.今回は長時間のストレッチングの効果について検討しましたが,ストレッチングの強度についてもストレッチングの効果を変化させることが出来ることが分かっておりますので(https://www.nuhw-pt.jp/2020/12/-20201217-1.html),異なる強度,特に強い強度でのストレッチングの効果に関して検討していければと思っています.
① ストレッチングの効果について関節の柔軟性について調査した点
関節の柔軟性はストレッチにより減少しますが,ストレッチ中止後は元通りになってしまう.
② 筋の硬さ(スティフネス)について調査した点
筋の柔軟性(硬さ)はストレッチにより減少しますが,ストレッチ中止後は元通りになってしまう.
③ 関節可動域増加に関してのメカニズムについて検討した点
関節可動域の増加には筋の硬さの変化(B:左)よりもストレッチに対する慣れ(A:左)の方が関係していることを明らかにしました.