3D技術の活用で広がる義足の新たな可能性とは!? - 医療を変える、理工学の学び

2019.07.08

3D技術の活用で広がる義足の新たな可能性とは!?

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現在、3Dスキャナや3Dプリンタは、義肢装具の製作にも取り入れられてきており、すでに諸外国では義肢装具や福祉用具の製作まで幅広く活用されています。

しかし、3Dプリンタで製作された義肢や装具には、強度面や材質面等で超えなければならない課題も多く残しています。

そのため、3Dプリンタを義肢装具の製作に用いる際には、その義肢装具や福祉用具の安全性を把握した上で義肢や装具が適合しているか確認しなければいけません。

これまで、これらの事を客観的に分析して、報告している文献は見あたりませんでした。

そこで、我々は3Dスキャナや3Dプリンタの臨床における実用化を目指し、その強度特性や義肢装具と福祉用具が、実際にどのような効果をもたらしているのか調査しています。

3Dスキャナと3Dプリンタを用いた義足適合に関する工学的研究

我々の研究は、義肢装具企業や計測機器を扱う企業と協同で実施しています。具体的には、従来の方法で製作した義肢装具と3Dプリンタで製作した義肢装具の強度試験を実施しています。

強度試験は実際の使用者を想定した評価を行い、強度試験の後には実際の使用者が装着して確認します。その研究と並行して、3D機器を用いた適合性の良い義足ソケットの設計方法について研究をしています。

3Dスキャナやパソコン、タブレットを使って義肢装具を設計できれば、義肢装具士はより多くの方を短時間で支援することが可能となり、対象者の方の負担をさらに軽減することができると考えています。そのためパソコンでどのように設計したら適合の良い義足を作ることができるかを調査しています。

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義肢装具製作の自由度を高める3D技術

Dスキャナや3Dプリンタ技術の活用は、今後の治療やリハビリテーションに大きな効果をもたらし、医療費の軽減に繋がると考えています。3Dプリンタは、人的作業を必要とせず、均一の製品を提供できます。また、アイデア次第では様々な形状を作り出すことがでるため、さらに義肢装具製作の自由度が高まり、より多くの方の手元に質の高い義肢装具を届けることが可能となります。このような医療技術の発展は、義肢装具士の働き方改革にも貢献して、医療施設にとっても有益をもたらすと考えられます。

そのためにも、今の時代にあった3D技術の活用ができるように、この研究をさらに進め、これらの技術を義肢装具の分野に早く導入していければと考えています。

 


前田先生 (2)_0618012824.png【研究者紹介】
新潟医療福祉大学 リハビリテーション学部 義肢装具自立支援学科
講師 前田 雄



郷先生 (3)_0618013311.png

新潟医療福祉大学 リハビリテーション学部 義肢装具自立支援学科
助教 郷 貴博

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