2023.08.09
研究内容の概要
腰痛は老若男女問わず高い頻度で発生し,日常生活の質を低下させる原因となります.腰痛には多くの要因がありますが,持ち上げ動作はその一つです.体幹の安定性には,適切な体幹筋活動が不可欠であり,持ち上げ動作中にも重要です.本研究では,「予測よりも重い物を持った際の筋活動」を慢性腰痛がある人とない人で比較しました.
本研究の結果から,慢性腰痛がある人とない人では,予想よりも重い物を持った際の筋のリクルートメントが異なることが明らかとなりました.また,慢性腰痛がある人は,持ち上げ動作で背筋の過活動が生じていました。
研究者からのコメント
本研究の結果から,慢性腰痛がある人では体幹筋機能が低下していることが考えられます.今後は慢性腰痛者で生じる筋機能低下を改善することが重要であり,そのための方策を検討していきたいと考えています.
本研究のポイント
・慢性腰痛がある人とない人では,予想よりも重い物を持った際の筋のリクルートメントが異なる.腰痛がない人は「物体が動く前」に戦略をとることができる.
・慢性腰痛がある人は,持ち上げる物体の重さや重量の予測に関係なく,背筋(脊柱起立筋)の活動量が大きい.
原著論文情報
Sekine C, Hayashi H, Hirabayashi R, Yokota H, Saisu K, Takabayashi T, Edama M. Comparison of trunk muscle activity while lifting objects of expected and unexpected weight with and without low back pain. Isokinetics and Exercise Science. 2023 (in press)