男子は"可動性の低さ"、女子は"可動性の高さ"と"練習量"が肩関節障害のリスクになる ~若年競泳選手の肩障害発生因子となる身体特性の解明~ - 新潟医療福祉大学 研究力

新潟医療福祉大学 研究力

2021.08.16

研究者 三瀬 貴生

男子は"可動性の低さ"、女子は"可動性の高さ"と"練習量"が肩関節障害のリスクになる ~若年競泳選手の肩障害発生因子となる身体特性の解明~

研究要旨

若年競泳選手の多くは肩障害を経験しており、男子より女子選手の方が発生率は高いといわれてます。しかし、その発生因子と性別による違いは解明されていません。著者らは、練習状況、肩回旋幅、肩関節内・外旋可動域、中指間距離を用いて肩関節の可動性を測定した後、1年間、肩障害発生を追跡調査しました。その結果、肩回旋幅と練習量が発生因子として抽出され、男子では可動性の低さ、女子では可動性の高さと練習量がリスクになることが明らかとなりました。

本研究成果は、国際学術誌「Journal of Sport Rehabilitation」に受理されました。

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研究者からのコメント

本研究の結果は、性別に配慮することで若年競泳選手を肩障害から守るための安全なコンディショニング指導に役立つといえます。例えば、障害予防を目的にストレッチ指導を行う場合、男子選手に対しては肩関節の可動性を高めるため有効ですが、過度な可動性をもつ女子選手に対しては効果的ではない可能性があります。また、肩回旋幅は肩障害のリスクを予測するための方法として応用が期待されます。

本研究成果のポイント

  1. 性別ごとにジュニア競泳選手の肩障害の発生因子となる身体特性の解明を試みました。
  2. 肩回旋幅、中指間距離、肩関節の内・外旋可動域を測定し(図1)、1年間、肩障害発生を調査しました。
  3. 男子では肩回旋幅88㎝以上、女子では肩回旋幅54㎝以下、6000m以上の練習量がリスクになることが明らかとなりました。

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1 肩関節可動性の測定方法.A1-3:肩回旋幅、B:中指間距離、C:肩内旋可動域、D:肩外旋可動域

肩回旋幅は数値が大きくなると可動性の低さ、数値が小さくなると可動性の高さを示す。

原論文情報

Takao Mise, Yosuke Mitomi, Saki Mouri, Hiroki Takayama, Yoshitomo Inoue, Mamoru Inoue, Hiroshi Akuzawa, and Koji Kaneoka. Hypomobility in Males and Hypermobility in Females are Risk

Factors for Shoulder Pain Among Young Swimmers. Journal of Sport Rehabilitation. [https://doi.org/10.1123/jsr.2020-0488]

【研究者情報】
健康科学部 健康スポーツ学科
講師 三瀬 貴生(みせ たかお)

スポーツ外傷・障害の発生要因の分析および予防方法に関する研究を行なっています