2021.02.17
渡部貴也さん(理学療法学科15期生,大学院修士課程2年,バイオメカニクスLab,運動機能医科学研究所)の研究論文が,国際誌『Journal of Electromyography and Kinesiology』に掲載されました!!渡部さんは足関節捻挫に関する研究を多く行っており,今回は慢性足関節不安定症(CAI)とCoperと呼ばれる捻挫の経験はあるものの再発などを起こしたことがない人の運動の違いを明らかにした研究となっております.詳しい内容をご紹介します.
足関節内反捻挫は発生頻度・再発率が高いスポーツ外傷であり、約20%がその後遺症である慢性足関節不安定症(CAI)を生じると報告されています。CAIは足関節捻挫を繰り返すことにより、変形性足関節症の発症リスクが高まることが報告されているため、CAIの予防・治療法の確立が重要となります。そのため、足関節捻挫の再発メカニズムを明らかにすることは重要であり、初回内反捻挫後に再発や慢性後遺症を生じないcoper群が近年注目されています。
そこで本研究では足関節捻挫の受傷機転である非予測的な着地からのカッティング動作に着目し、CAI群・coper群・健常群の運動制御戦略と下肢の筋活動を比較・検討しました。その結果、coper群は股関節戦略が異なることや長腓骨筋反応時間が短いことが明らかとなりました。
本研究結果からcoper群は非予測的な着地からのカッティング動作において、股関節戦略が異なることや長腓骨筋反応時間が短いことが明らかになりました。今後は、足関節だけではなく近位関節の運動機能や筋機能を評価し,下肢全体に対するリハビリテーション介入を行うことが,足関節捻挫の再受傷を予防するために重要である可能性が考えられます。
① Coper群と健常群の股関節角度の違いを明らかにした点.
② CAI群・coper群・健常群の長腓骨筋反応時間の違いを明らかにした点.