背泳ぎスタートで速くなるための技術を発見! - 新潟医療福祉大学 研究力

新潟医療福祉大学 研究力

2021.01.29

研究者 奈良 梨央

背泳ぎスタートで速くなるための技術を発見!

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本研究では、競泳の背泳ぎスタート合図後から足が離れるまでの動き(股関節と膝関節の伸展のタイミング)に着目をし、バックストロークレッジ(足かけ)を使用した際、下肢関節伸展のタイミングの違いにより、パフォーマンス(5m通過タイムなど)にどのような影響があるかを検討しました。その結果、股関節を先に伸展した後に膝関節を伸展する動作を行うことで、跳び出した後、アーチ姿勢が取りやすくなり一点入水がしやすくなることが明らかになりました。そのようなスタート技術のおかげで、5m通過時間が短縮されることがわかりました。本研究成果は、英国の国際誌「Sports Biomechanics」に掲載予定です。

研究者からのコメント

これまでに背泳ぎスタートパフォーマンスを向上させるために、様々な研究がなされてきましたが、合図前の適切な構えや、足離れ後の技術に着目されてきました。跳び出し時(合図後から足離れまで)の動き、つまり股関節と膝関節の伸展のタイミングに着目をすることで、コーチング現場での可能性も広げるのではないかと考えています。なお、この研究の対象者は大学生ですので、誰にでも当てはまるとは言えないためご注意ください。

本研究成果のポイント

股関節と膝関節の伸展のタイミングをいくつか変えて試したところ、股関節を先に伸展した後に膝関節を伸展させた試技がもっとも5m通過時間が速かった。
1. 入水範囲(手と腰が入水した間の距離)と5m通過時間では、有意な正の相関関係が認められた。つまり、入水範囲が狭い選手ほど、5m通過時間が短いということが示唆された(図1)。

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図1


2. 足離れ時の水面から大転子までの高さと入水範囲では、有意な負の相関関係が認められた。つまり、足離れ時の際に、高さがある選手ほど、入水範囲が狭くなることが示唆された(図2)。

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図2


3. 手が入水した時の水面から大転子までの高さと入水範囲では、有意な負の相関関係が認められた。つまり、手が入水した際に、高さがある選手ほど、入水範囲が狭くなることが示唆された(図3)。

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図3


1から3を踏まえると、股関節を膝関節よりも先に伸展するようなスタート方法は、アーチ姿勢をとりやすくさせ、入水範囲が狭くなり、5m通過時間が短縮されることが明らかとなった。

原論文情報

Rio Nara, Yusuke Ikeda, Hirofumi Shimojo, Daisuke Sato, Hiroshi Ichikawa, Yasuhiro Baba and Yoshimitsu Shimoyama. Does different timings of hip and knee joint extension during take-off affect backstroke start performance? Sports Biomechanics [in press]



>>健康スポーツ学科の詳細はこちら

https://www.nuhw.ac.jp/faculty/health/hs/

>>強化指定クラブ水泳部の詳細はこちら

http://nuhw.blog-niigata.net/swim/

【研究者紹介】
新潟医療福祉大学 健康科学部 健康スポーツ学科
助教 奈良 梨央(なら りお)

コーチングおよび水泳に関する指導法の研究を行っています。