2020.12.21
村上優太君(理学療法学科18期生,応用理学療法Lab)と佐藤成君(理学療法学科15期生,大学院修士課程2年,応用理学療法Lab,運動機能医科学研究所),清野涼介さん(理学療法学科15期生,大学院修士課程2年,応用理学療法Lab,運動機能医科学研究所),中村雅俊先生(理学療法学科,応用理学療法Lab,運動機能医科学研究所)の研究論文が,国際誌『Frontiers in Physiology』に採択されました!!深谷君の研究でも行った高強度のストレッチングに関する研究(https://www.nuhw-pt.jp/2020/11/post-7.html)と同じく,異なる強さのストレッチングを太ももの前側の筋肉である大腿四頭筋に行い,その効果を比較した研究です.詳しい内容は以下を御覧ください.
これまでの研究では強度は強いほど,ストレッチング効果が大きいという結果となっていました.しかし,これまでの研究ではふくらはぎの筋肉である下腿三頭筋やふとももの裏側の筋肉であるハムストリングスを対象としてきていました.今回,太ももの前面にある大腿四頭筋を対象に異なる高強度のストレッチング介入を行い,筋肉の硬さが変化するのか?ということを研究しました.詳しくは,通常に行う強さの強度を100%として,弱い強度(80%),高強度(120%)の3条件で検討しました.ストレッチングの方法は写真で示すように股関節を伸展し,この状態から膝関節を曲げる方法で行いました.その結果,弱い強度では関節可動域も筋硬度も変化しませんでしたが,通常の強度(100%)では関節可動域が増加し,大腿直筋の筋硬度が減少しました.一方,120%という高強度では関節可動域は増加しましたが,筋硬度には変化がありませんでした.この結果より,大腿四頭筋を対象とした場合,他の筋肉とは異なり,強すぎるストレッチングは逆に良くないという結果になりました.
今回はこの姿勢からストレッチングを行いました.
今回の研究では,我々の研究室が着目している高強度ストレッチングを大腿四頭筋を対象に行なった研究です.予想とは反して,高強度のストレッチングが筋硬度減少には有効ではないという結果となり,太ももの前側の筋肉をストレッチングする場合は,あまり強くしすぎず,「痛気持ち良い」強さでストレッチングすることが有効である可能性があります.このストレッチングの強さに関しては不明な点がまだまだ多いため,いろいろな筋肉や対象者(アスリートや高齢者など)での研究をしていかなくては行けないと思っております.
1.異なる強さでのストレッチングが関節の可動域に及ぼす影響を検討した点
2.異なる強さでのストレッチングが筋硬度に及ぼす影響を検討した点