2020.12.01
大沼れみさん(理学療法学科17期生,応用理学療法Lab)と中村雅俊先生(理学療法学科,応用理学療法Lab,運動機能医科学研究所)の研究論文が,国際誌『Journal of Sports Science and Medicine』に採択されました!!フォームローラーという近年,スポーツ現場やアスリートで用いられることが多いセルフコンディショニングツールについての研究です.詳しい内容は以下に紹介します.
研究内容の概要
フォームローラーとは丸太状のフィットネスアイテムであり,簡単かつ自分でマッサージができるグッズとしてスポーツやフィットネス業界で用いられることが増えてきています.しかし,この効果については十分,明らかになってはおらず,どの程度の時間のフォームローラー介入により関節の柔軟性が変化するのか,筋硬度は変化するのか?についてはわかっていませんでした.また,もし,関節の柔軟性が増加するなどの変化が生じた場合,その効果がどの程度,持続するのか?ということも現場で応用するには重要な上方となると考えていました.そこで,異なる介入時間(30秒,90秒,300秒)のフォームローラー介入が関節の柔軟性,筋硬度に及ぼす効果を検討し,その効果が30分後まで続くのか?について検討しました.その結果,90秒以上のフォームローラーによって関節の柔軟性は増加しますが,筋硬度には変化がないことが明らかになりました.しかし,その増加した関節の柔軟性は30分後にはもとの値に戻る結果となりました.
中村先生からのコメント
今回の研究では,最近,認知度が増えてきたフォームローラーの効果について,異なる時間でのフォームローラーの効果とその持続効果を検討しました.今回の結果より,90秒以上のフォームローラーを行うことで関節の柔軟性が増加することが明らかに出来ました.今回の研究では,関節の柔軟性を増加させるために必要なフォームローラーを行う時間を明らかにすることは出来ましたが,その効果は長い時間,持続しないため,現場で使用する場合は,他のウォーミングアップなどと組み合わせるなどの必要性があることもわかりました.そのため,今後は様々なウォーミングアップの中にフォームローラーを組み込んだり,振動付きのフォームローラーの効果などを検討していきたいと思います.
本研究のポイント
1.異なる時間のフォームローラー介入における関節可動域の変化を30分後まで検討した点
90秒と300秒の時間では関節可動域が増加するが,その効果は30分後にはもとに戻る結果です.
2.フォームローラー介入における関節可動域増加メカニズムについても検討した点
フォームローラーにおける関節可動域の変化にはストレッチングされる感覚の変化が関与していることを明らかにしました.
Nakamura M, Onuma R, Kiyono R, Yasaka K, Sato S, Yahata K, Fukaya T, Konrad A. The acute and prolonged effects of different durations of foam rolling on range of motion, muscle stiffness, and muscle strength. J Sports Sci Med. In press