2020.11.18
深谷泰山さん(博士課程2年、京都九条病院)の研究論文が国際誌「Sports」に掲載されることが決定しました!
今回、ストレッチングの強度について、対象者の中での強度および対象者の間での強度と異なる2つの視点からストレッチングの効果を検討した結果、自分の中で我慢できる100%近くでのストレッチングを行った人は関節可動域の増加効果が大きく、もともと柔軟性が高く大きな角度でストレッチングを行った人は筋腱の硬さが大きく減少するということを明らかにしました。
詳しい内容は以下をご覧ください。
ストレッチングは高強度である方が効果的であることが報告されていますが、これらは個人内で異なる強度(相対強度)で調査した研究でした。
そこで私たちは、個人間で比較できる強度(絶対強度)を設定し、絶対強度と相対強度がストレッチングの効果にどのように関連するかを調査しました。
その結果、絶対強度が高い方が筋の硬さは柔らかくなり、相対強度が高い方が関節可動域は大きく向上するという結果になりました。
本研究は、ストレッチングの強度をストレッチングを実施する角度そのものとする絶対強度と各個人の痛みが生じる角度を100%とし、実際に実施したストレッチングの角度の比率を強度とする相対強度の2つに分類し、それらが関節可動域や筋の硬さの変化にどのように関係しているかを調査しました。その結果、絶対強度は、絶対強度が大きいほど筋がより柔らかくなることを示しました。一方、相対強度は、相対強度が大きいほど関節可動域がより向上することを示しました。したがって、関節可動域をより向上させるには、できる限り個人内でストレッチングの強度を大きくすることで可能であることが分かった一方で、筋の硬さを変化させるには、ストレッチングを実施する角度そのものを大きくする必要があることが分かりました。この結果は、臨床現場やスポーツ現場で行われているストレッチングの方法論の構築に寄与し、今後の理学療法の発展につながることが期待できます。
①ストレッチングの強度を絶対強度と相対強度に分類し、ストレッチングの効果との関連を調査した点
従来のストレッチング強度を調査した研究では、個人内の強度(相対強度)の違いを報告しており、個人間で比較を行える絶対強度による調査はありませんでした。
また、それらの強度とストレッチングの効果を調査した研究はありませんでした。
②絶対強度と相対強度によりストレッチング効果との関連が異なった点
>>画像1
http://www.nuhw.ac.jp/topics/news/2011101.pdf (26.7KB)
>>画像2
http://www.nuhw.ac.jp/topics/news/2011102.pdf (25.8KB)
絶対強度は、強度が高いほど、筋の硬さが大きく変化することを明らかにしました。
一方、相対強度は、強度が高いほど、関節可動域が大きく変化することを明らかにしました。
Fukaya T, Nakamura M, Sato S, Kiyono R, Yahata K, Inaba K, Nishishita S, Onishi H. The Relationship between Stretching Intensity and Changes in Passive Properties of Gastrocnemius Muscle-Tendon Unit after Static Stretching. Sports., 8(11), 140, 2020.