縄文時代人では手の骨の形態が現代日本人とは異なることを明らかにしました - 新潟医療福祉大学 研究力

新潟医療福祉大学 研究力

2020.09.29

研究者 萩原 康雄

縄文時代人では手の骨の形態が現代日本人とは異なることを明らかにしました

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理学療法学科の萩原康雄助教(人類学・解剖学Lab)の研究論文が国際誌『Anatomical Science International』に受理されました!

萩原助教は発掘された人骨より昔の生活習慣の調査を行っています。
この研究によって、現代の日本人と縄文時代に生きていた人たちの生活における特徴を解明することが出来ました。
研究の詳細と萩原先生からのコメントは以下の通りです。

研究内容の概要

本研究では、てのひらを構成する骨の一つである第3中手骨骨幹部が、縄文時代人では現代日本人と比較して前後方向に相対的に大きいことを明らかにしました。
また、この傾向には性差や、左右差が存在することを示しました。
これらの結果は、現代日本人と縄文時代人では第3中手骨に課されていた日常的な負荷が異なっていた可能性や、縄文時代集団の上肢を用いた活動に性的な分業が存在した可能性を示唆します。

萩原先生からのコメント

今回の研究では、縄文時代人の第3中手骨の形態を集団、性別、左右に分類して比較を行うことで、縄文時代人の第3中手骨に現代日本人とは異なる形態的特徴がみられることを示しました。この成果は、手の骨のような小さい骨からでも過去の人びとに関する重要な情報が得られることを明らかにし、今後、遺跡から出土した人骨の形態学的な検討や、過去の人びとの活動習慣の検討を行うにあたり、価値のある知見となります。

本研究成果のポイント

>>図
http://www.nuhw.ac.jp/topics/news/2009293.pdf (44.9KB)

図.楕円フーリエ解析を用いて求めた第3中手骨骨幹部の左右差と左右別の集団差
(JM:縄文男性、JW:縄文女性、MM:現代男性、MW:現代女性)

上段:集団別の左右差 縄文女性では左右差が認められる。
中段と下段:左右の集団差 縄文男女は現代男女と比較して前後径が相対的に大きい。

縄文男性は縄文女性と比較して前後径が相対的に大きく、左側でより顕著である。


原著論文情報

Hagihara, Y. Dorso-palmar elongation of the diaphysis of the third metacarpal bone in prehistoric Jomon people. Anat Sci Int (2020).

https://doi.org/10.1007/s12565-020-00570-y

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http://www.nuhw.ac.jp/faculty/medical/pt/

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https://www.nuhw.ac.jp/shain/

【研究者情報】
リハビリテーション学部 理学療法学科
助教 萩原 康雄(はぎはら やすお)

四肢骨の形態から過去に日本列島に居住した人々の生活様式の復元をする研究を行っています。また、古人骨に見られる骨病変およびその原因疾患を検討することで、過去の人々がどのような疾病に苦しんでいたのか、当時の健康状態がどのようなものであったのかを研究しています。