2020.09.07
江玉睦明教授(理学療法学科、スポーツ医科学Lab、運動機能医科学研究所)と高林知也助教(理学療法学科、バイオメカニクスLab、運動機能医科学研究所)が他大学(北海道千歳リハビリテーション大学・小林匠教授、森ノ宮医療大学・工藤慎太郎准教授)と共同で実施したスポーツ庁委託事業「女性アスリートの育成・支援プロジェクト」の取り組みが国際誌に掲載されました!
足関節捻挫は様々なスポ―ツで発生率が高く、女性では男性よりもさらに発生率が高いことが明らかになっています。足関節捻挫は放っておくと慢性足関節不安定症(CAI)に移行しやすく、スポーツ活動の制限やパフォーマンスの低下を招きます。そのため、様々なスポーツ競技におけるCAI有病率の実態把握が必要ですが、これまで明らかになっていませんでした。さらに、扁平足やハイアーチなどの足部変形も多くの障害発生に関与しますが、足部形態や構造についても様々なスポーツ競技で不明となっています。
そこで我々は、本学の強化指定クラブ(バスケットボール・サッカー・バレーボール・陸上競技・ダンス・水泳)所属の女性アスリート138名276足を対象に、CAIの有病率、足の自覚的不安定感、足部アーチ高比(AHI)を競技別で大規模に調査しました。本研究は強化指定クラブのオフシーズン(2018年8月~2019年1月)に実施しました。
① 足の国際学会であるInternational Ankle Consortiumに基づき138名の女性アスリートのCAIの有病率は9.4%であった。
http://www.nuhw.ac.jp/topics/news/2009071.pdf (20.7KB)
②CAIを有する女性アスリートでは足部アーチ高比(AHI)に違いは認められなかった。
http://www.nuhw.ac.jp/topics/news/2009072.pdf (33.3KB)
③陸上競技者に比べて水泳競技者ではAHIは有意に小さくなった(アーチが下降)。
http://www.nuhw.ac.jp/topics/news/2009073.pdf (16.6KB)
現在、スポーツ現場では多くの競技で足関節捻挫が発生しており、アスリートにとって非常に悩ましいケガのひとつです。足関節捻挫は軽症であることが多いため、アスリートの中には足関節捻挫を放っておくことでCAIに移行するケースも一定数存在します。そのため、様々な競技でCAIの有病率の実態を把握することはスポーツリハビリテーションを行う上で重要な基礎的情報となります。また、障害発生と関連性が高い足部アライメントの影響を競技別で調べることも、治療アプローチを考える上で重要となります。
本研究では様々なスポーツ競技におけるCAI有病率の実態と足部アライメントの関係を調査しました。その結果、女性アスリートのCAIの有病率は9.4%であり、水泳競技者ではAHIが低い(アーチが下降)ことを明らかにしました。今回の研究より、CAIや足部アーチの違いはスポーツ競技で異なることがわかり、スポーツリハビリテーションを行ううえで有益な基礎的知見になると考えています。今後は、女性だけでなく男性も対象に調査をし、さらには若年者のみならず他の年代でも調査を行っていこうと考えています。
Kobayashi T, Takabayashi T, Kudo S, Edama M. The prevalence of chronic ankle instability and its relationship to foot arch characteristics in female collegiate athletes. Physical Therapy in Sport. 2020 [In-press].
>>理学療法学科の詳細はこちら
http://www.nuhw.ac.jp/faculty/medical/pt/
>>理学療法学科オリジナルサイトはこちら
http://www.nuhw-pt.jp/
>>SHAINプロジェクトの詳細はこちら
https://www.nuhw.ac.jp/shain/