2020.08.04
令和2年度科学研究費助成事業の「挑戦的研究(開拓)」において大西秀明教授(研究・産官学連携担当副学長/リハビリテーション学部長/理学療法学科長)の研究が採択されました。
この科研費は、これまでの学術の体系や方向を大きく変革・転換させることを志向し、飛躍的に発展する潜在性を有する研究が申請条件で、採択件数が全国で80件程度ととても狭き門となっており、新潟県内大学では3人目の快挙となりました。大西教授には4年間で約2千万円の研究費が配分され、研究を推進していきます。
※科研費とは、人文・社会科学から自然科学まで全ての分野にわたり、基礎から応用までのあらゆる「学術研究」(研究者の自由な発想に基づく研究)を格段に発展させることを目的とする文部科学省の「競争的研究資金」であり、ピアレビューによる審査を経て、独創的・先駆的な研究に対する助成を行うものです。
〇研究課題
小脳の構造・機能・ネットワーク解析による「研ぎ澄まされた感覚」の可視化
〇研究代表者
大西秀明教授(研究・産官学連携担当副学長/リハビリテーション学部長/理学療法学科長)
〇期間
令和2年度~令和5年度(4年間)
〇配分額
直接経費 1,980万円 間接経費 594万円
〇研究概要
小脳は運動機能や言語機能、眼球運動、平衡機能と密接に関係していることは古くから知られています。また、運動遂行時においては運動の実行と運動肢からのフィードバックの差(誤差)の修正に小脳は重要な役割を果たすことがわかっています。一方、近年の脳機能イメージング技術の発展に伴い、表在感覚である触覚刺激によっても小脳が活動することがわかってきました。しかし、この小脳の活動は、単に擦られる強さに応じて増減するのか、皮膚上を物体が動く方向や速度、擦られる粗さや滑らかさに関係しているのか、より高次な"擦られ心地"のような認知機能と関係しているのかなど、その役割は全くわかっていません。本研究では、脳機能イメージング手法<Functional MRI(図1),Voxel based morphometry (VBM, 図2),MR spectroscopy (MRS, 図3), Functional connectivity解析(図4)など>を駆使して、大脳および小脳の構造解析・機能解析を詳細に行い、皮膚を擦られた際の情報処理に係わる「小脳の役割」を探求していきます。さらに、触覚刺激の物理特性と官能検査による心理特性もあわせて解析することにより、単に表在感覚情報処理にかかわる小脳の役割を解明するだけでなく、アスリートの"研ぎ澄まされた感覚"の神経基盤を解明したいと考えています。
【図1】触圧覚刺激時における小脳の活動
【図2】大脳皮質VBM解析例
左側は灰白質、右側は白質を示している。
【図3】MRスペクトロスコピーの例
【図4】ネットワーク解析例