2020.07.05
江玉睦明教授(理学療法学科、スポーツ医科学Lab、アスリートサポート研究センター、運動機能医科学研究所)らの研究論文が国際誌に掲載されました!
スポーツ選手に好発する疾患として、足関節内反捻挫(足首を内側にひねる)があります。
スポーツ傷害の中でも最も発生頻度が高く、多くのアスリートを悩ませています。
予防法の確立が重要ですが、なかなか効果的な予防法が確立していないのが現状です。
近年、様々な予防法が報告されていますが、その一つに長腓骨筋の筋力トレーニング(機能改善)があります。
しかし、この長腓骨筋は非常に複雑な構造をしており、解剖学的特徴についてはまだまだ十分に明らかにされていません。
有効なトレーニングを行うためには筋肉の構造を明らかにすることは重要なことであると考えます。
そこで本研究では、52体104足という大規模標本を用いて主に停止部を検討しました。
その結果、長腓骨筋は全例で第1中足骨に停止していました。
一般的に多く付着しているとされている内側楔状骨には約20%しか停止していませんでした。
また、太い長腓骨筋腱から3つの枝(The anterior frenular ligament,the posterior frenular ligament, additional bands)が存在し、約30%の割合で母指球や小指球を構成する筋群に停止していました。
長腓骨筋の作用は主には横アーチを保持することが報告されていますが、本研究から内側縦アーチや外側縦アーチの保持にも関与する可能性が考えられました。
今後は、足関節や足部の他の筋群にも着目して研究を進めていきたいと考えています。
本研究は、国際誌『Surgical and Radiologic Anatomy』に掲載予定です。
本研究結果は遺体を対象にした研究になります。残念ですが、この研究成果ではアスリートのけがを治すことも予防することもできません。しかし、このような研究成果を一つ一つ蓄積し、努力していくことが我々の使命であると考えています。本研究結果を基に生体を対象とした研究を進めていき、一日でも早く有効な治療法や予防法を開発して、けがで苦しむアスリートを一人でも減らしていきたいと考えています。
1.長腓骨筋の停止部を明らかにした点
1:第1中足骨,2:内側楔状骨,3:長腓骨筋,4:第4中足骨
Edama M, Takabayashi T, Hirabayashi R, Yokota H, Inai T, Sekine C, Matsuzawa K, Otsuki T, Maruyama S, kageyama I. Anatomical variations in the insertion of the peroneus longus tendon. Surgical and Radiologic Anatomy.[in press]
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