2020.06.24
言語聴覚学科 伊藤さゆり助教の論文が、投稿先の雑誌の
TOP DOWNLOADED PAPER 2018-2019に選ばれました!
アルツハイマー病(AD)の評価に広く用いられている検査(ADAS-Jcog)を使って、複数の物品を操作できなくなる行為の症状を質的に分析しました。その結果、認知症の前段階である軽度認知機能障害(MCI)の人では、主に注意の障害によって行為の症状が生じるのに対し、AD患者さんでは重症になるにつれ、観念性失行や視空間認知障害など多彩な認知機能障害の影響により行為の症状が生じることが明らかになりました。
本研究成果は、2019年に日本神経学会の公式英文誌Neurology and Clinical Neuroscienceに掲載されました。この論文はオンライン掲載から12カ月の間に最も多くダウンロードされた論文の1つとして、投稿先のTOP DOWNLOADED PAPER 2018-2019に選ばれました!
ADAS-Jcogには行為の症状をみる検査項目が含まれていますが、どのような認知機能障害が影響して行為の症状が生じたかは、検査の点数に反映されない内容となっていました。ADAS-Jcogを実施した際に、今回の研究で用いた質的な評価も加えることによって、行為の症状に関連する認知機能障害を幅広く観察できることが期待されます。また、行為の症状の質的な評価は、MCIとADの間の質的な差を明らかにしました。
1.MCI群では主として注意の障害が行為のエラーに影響した。
2.観念性失行による行為のエラーは、MCI群に比べ、軽度AD群/中等度AD群で有意に多かった。
3.アルツハイマー病が進行するほど、多彩な認知機能障害の影響を受けた行為のエラーが生じ、日常生活に影響することが示唆された。
Ito S, Sato S, Saito N, Ohnuma A, Tobita M, Kimpara T, Iseki C, Suzuki K. Qualitative analysis for the "ideational apraxia" score from the Alzheimer's disease assessment scale cognitive subscale. Neurology and Clinical Neuroscience. 7: 180-185, 2019. DOI: 10.1111/ncn3.12291
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