リンクセグメントモデルが実験動作時の関節角度を正確に追従するための筋興奮度の推定アルゴリズムを開発! - 新潟医療福祉大学 研究力

新潟医療福祉大学 研究力

2020.05.21

研究者 稲井 卓真

リンクセグメントモデルが実験動作時の関節角度を正確に追従するための筋興奮度の推定アルゴリズムを開発!

inasan.jpg稲井卓真さん(大学院博士後期課程修了生、おぐま整形外科クリニック)らの研究論文が『Journal of Biomechanics』に採択されました!稲井さんは今年の2020年3月に大学院博士後期課程を首席(学長賞受賞)で修了し、修了後の今後の研究活動も期待しています!詳しい研究内容は以下をご覧ください。

リンクセグメントモデルが実験動作時の関節角度を正確に追従するための筋興奮度の推定アルゴリズムを開発!


研究の概要

人間の動きを解析するために「順動力学解析」といった手法があります。順動力学解析を用いることで、各筋が興奮したときにリンクセグメントモデル(人間の身体)がどのように動くのかを知ることができます。順動力学解析を行うためには、はじめに動作時における各筋の興奮度が必要となります。Computed muscle controlという方法を用いることで実験動作を再現するための各筋の興奮度を推定できますが、この方法では極めて速い実験動作を精密に再現できない可能性があります。本研究では、この点を改善した新たなアルゴリズムを開発しました。

稲井さんからのコメント

私は変形性股関節症に焦点をあてた研究を主にしていますが、今回の研究は変形性股関節症とは異なるフィールドの研究です。本研究の新たなアルゴリズムは、スポーツでみられるランニング、カッティング、ジャンプなどの"速い動作"における各筋の興奮度の変化が身体の動きをどのように変化させるかを知るための順動力学解析に役立つ可能性があります。


本研究のポイント

① リンクセグメントモデルを用いて、人工的に生成された動作と実際の実験動作の両者を検証した点(下図は人工的に生成された動作での検証で用いたモデル)
② 新たなアルゴリズム
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(左側)は速い動作時の関節角度(黒い破線)を正確に追従できている点(人工的に生成された動作での検証結果)
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原著論文情報
Takuma Inai, Tomoya Takabayashi, Mutsuaki Edama, Masayoshi Kubo. Algorithm to compute muscle excitation patterns that accurately track kinematics using a hybrid of numerical integration and optimization. Journal of Biomechanics (in press). 2020.

【研究者情報】
大学院博士後期課程修了生、おぐま整形外科クリニック
稲井 卓真