2020.05.28
大石如香准教授(言語聴覚学科、大学院保健学専攻言語聴覚学分野)、今村徹教授(言語聴覚学科、大学院保健学専攻言語聴覚学分野)らの研究論文が、脳の働きと神経システムに関する研究が掲載される国際的な科学学術誌『Cortex』に掲載されました!
大石准教授は、脳卒中や認知症などで脳に損傷を受けた後遺症として起こる、失語症や読み書き障害、視覚認知障害などの障害について研究しています。
また、今村教授は、認知症の患者さんの認知機能障害に関する専門家です。
今回は、認知症の患者さんの物体認知の障害にどのような要因が影響するかを調べた研究です。
大石准教授からのコメントは以下の通りです。
神経変性による認知症としては数の多いアルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症では、さまざまな視覚認知障害が生じることが知られています。特に、レビー小体型認知症では、夕方など薄暗い場面で物の見間違いが多いことが知られています。また、アルツハイマー型認知症では、目の前の物がなかなか探せないこともあります。このように、認知症は"物体認知(物をしっかり認識すること)"に障害を生じることがある疾患です。
今回の研究では、アルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症の患者さんの物体認知にどのような要因が影響を及ぼすかについて研究しました。その結果、認知症の患者さんでは、視点や質感が物体認知に影響を及ぼすことがわかりました。また、認知症でみられる見間違いに質感の認知障害が関与している可能性がわかりました。これらの知見は、認知症の患者さんの日常生活における支援のヒントになる可能性があります。
今後も患者さんの支援やリハビリテーションにつながる臨床に役立つ研究をしていきたいと思います。
写真上から、
・2018年10月に香港にて開催された"International Congress of Parkinson's Disease & Movement Disordersにて今回の研究の発表をしてきました。
・2019年に行われた新潟医療福祉学会の様子。大石ゼミの4年生です。
Oishi Y, Imamura T, Shimomura T, Suzuki K. Visual texture agnosia influences object identification in dementia with Lewy bodies and Alzheimer's disease. Cortex 129; 23-32, 2020
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