2020.01.30
佐藤成さん(理学療法学科15期生、大学院修士課程1年、応用理学療法Lab、運動機能医科学研究所)の研究論文が、国際誌『PLOS ONE』に採択されました!
この研究はスポーツやリハビリテーション現場で行うことが多いストレッチングに関する研究です。
詳しい研究については以下に紹介いたします。
近年、運動前に30秒以上のストレッチングを実施すると筋力やパワーが低下し、その後のパフォーマンスに悪影響を及ぼすということが多くの研究で明らかとなってきています。しかし、30秒未満のストレッチングが筋力や柔軟性に及ぼす効果について検討した研究は少ないです。また、スポーツやリハビリの現場では20秒以下のストレッチングが用いられることが多いといわれています。そこで今回は、20秒間のストレッチングが筋力や柔軟性に及ぼす効果について研究しました。その結果、20秒間のストレッチングは筋力を低下させずに関節の柔軟性を向上させることが明らかとなりました。本研究の成果は「PLOS ONE」に掲載予定です。
ストレッチングは筋肉や関節の柔軟性を向上させるというメリットがある一方で,筋力やパワーを低下させるといったデメリットがあるとされてきました.しかし,本研究では実際にスポーツやリハビリの現場で用いられる20秒間のストレッチングは筋力を低下させずに関節の柔軟性を向上させることを明らかにしました.よって,運動前にストレッチングを行う場合は,実施時間を十分に考慮して行う必要があると考えています.この結果は,傷害予防やパフォーマンス向上を目的に行っているストレッチングの科学的根拠の一助となり,今後の理学療法の発展につながることが期待できます.
①20秒間のストレッチングが筋力と関節の柔軟性に及ぼす即時効果と持続効果を検討した点.
30秒以上のストレッチングの持続効果は検討されてきましたが,今回の研究では初めて30秒未満(20秒)のストレッチングが筋力や関節の柔軟性に及ぼす持続効果について検討しました.
②最先端の技術であるせん断波エラストグラフィー機能で筋の硬さを評価した点.
研究で使用した超音波画像診断装置の画像の一つです.この機能で筋に伝わるせん断波の速度から筋の硬さである弾性率を算出し,その弾性率を指標としてストレッチングの効果を検討しました.
Sato S, Kiyono R, Takahashi N, Yoshida T, Takeuchi K, Nakamura M.
The acute and prolonged effects of 20-s static stretching on muscle strength and shear elastic modulus
PLOS ONE [in press]