中村雅俊講師(理学療法学科、応用理学療法Lab、運動機能医科学研究所)と吉田麗玖さん(理学療法学科17期生、修士課程1年、応用理学療法Lab、運動機能医科学研究所)、佐藤成さん(松村総合病院、理学療法学科15期生、博士後期課程1年、応用理学療法Lab、運動機能医科学研究所)とが行った研究論文が、国際誌『Frontiers in Physiology』と『Journal of Biomechanics』に採択されました。
〔研究の概要〕
ストレッチングは関節の柔軟性を増加させるために有効な手段です。
このストレッチングの効果について我々の研究室はいろいろと研究をしており、最近はストレッチングの強さに注目しています。実際にストレッチングをする際には「痛気持ち良い」強さで行われることが多いですが、それよりも少し強めのストレッチングの方が関節の柔軟性を増やしたり、筋の硬さを減らすことが分かってきました。今回は、この少し強めのストレッチング、高強度ストレッチングを4週間、継続的に行った際の効果について調査しました。
その結果、通常のストレッチングでも関節の柔軟性は増加しますが、高強度ストレッチングの方が大きな関節の柔軟性の増加効果を示しました。つまり、少し痛みがあるけど、強めのストレッチングが効くという結果となります。
また、ストレッチングの面白い現象として、片側のストレッチが反対側にも効果があるという現象「cross-edcucation」というものがあります。例えば、右足のストレッチしか行っていない状況でも、左足も関節の柔軟性が少し増加するという現象です。今回は、その効果に着目して研究も行いました。
その結果、通常の強度でのストレッチング介入では反対側(ストレッチをしてない側)の関節の柔軟性は増えませんでした。これはストレッチをしていないから当たり前ですが、高強度ストレッチングの場合、反対側の関節の柔軟性も少し増加することが分かりました。
このため、ストレッチングを行う際にはストレッチングの強さに注目することはリハビリテーションやスポーツ現場に重要なのでは?と考えられます。
>>詳しい研究内容はこちら
https://www.nuhw-pt.jp/2022/01/-20220113.html
〔中村講師からのコメント〕
ストレッチングの強さについてあまり明確にわかっていないことがありました。
その中でなんとなくこんな感じの強さかな?ということでストレッチングが行われてきましたので、本研究ではその強度をもう少し掘り下げて研究を行いました。
少し痛みのあるストレッチングは最初は大丈夫かな?と少し心配になりますが、徐々に慣れてくる強さのストレッチングです。しっかりと筋肉を伸ばしたほうがストレッチングの効果は出てきますので、出来る限り、しっかりと筋肉を伸ばすストレッチングを行えればと思います。
ただ、今回の研究では何も怪我をしてない若者での研究ですので、少し筋肉に怪我のあるアスリートや高齢者にとって同じ効果が得られるか…?についてはもう少し研究を進めていかないといけないと思います。
今後の発表をお待ちください????
〔原著論文情報〕
Nakamura M, Yoshida R, Sato S, Yahata K, Murakami Y, Kasahara K, Fukaya T, Takeuchi K, Nunes JP, Konrad A. Comparison Between High- and Low-Intensity Static Stretching Training Program on Active and Passive Properties of Plantar Flexors. Front Physiol. 2021 Dec 17;12:796497. Nakamura M, Yoshida R, Sato S, Yahata K, Murakami Y, Kasahara K, Fukaya T, Takeuchi K, Nunes JP, Konrad A. Cross-education effect of 4-week high- or low-intensity static stretching intervention programs on passive properties of plantar flexors. J Biomech. in press
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