小川真由さん(理学療法学科15期生,富山西リハビリテーション病院)と大鶴直史教授(理学療法学科、神経生理Lab、運動機能医科学研究所)らの研究論文が国際誌『European Journal of Pain』に掲載されました。
[研究内容の概要]
線維筋痛症などの慢性疼痛患者において、痛み刺激だけでなく音刺激などの別の感覚刺激に対しても過敏性を示すことが報告されています。
このことは、感覚の種類に関係なく脳内で刺激の突出性を敏感に感じ取る仕組みがあることが想定されます。
そこで、本研究では、健常者を対象に痛みの変化に対する過敏性の指標であるpain vigilance and awareness questionnaire(PVAQ)と、聴覚変化に対する過敏性の指標である脳活動Auditory change-related cortical response(ACR)との関連を調べました。
結果、両指標には有意な正の相関があることが示されました。
このことは、痛みへの過敏性と音に対する過敏性に関連があることを示唆しています。
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https://www.nuhw-pt.jp/2021/10/-20211018.html
[大鶴教授・小川さんからのコメント]
ACRはこれまでの私たちの研究から、単純に音刺激が入力されたことによる脳活動ではなく、「事前状態(感覚記憶)からの変化」を反映する活動であることが分かっています。つまり、予測からの逸脱を反映する脳活動であると考えられます。今回、健常者においては痛みの過敏性と、このACRが正の相関関係にあることが分かりました。今後は、慢性疼痛患者さんにおけるACRの記録を通じて、様々な感覚において過敏性を示す病態の理解につながればと思っています。
[原著論文情報]
Otsuru N, Ogawa M, Yokota H, Miyaguchi S, Kojima S, Saito K, Inukai Y, Onishi H. Auditory change-related cortical response is associated with hypervigilance to pain in healthy volunteers. Eur J Pain, in press, 2021 https://doi.org/10.1002/ejp.1863
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