永井徹教授(健康栄養学科)と健康栄養学科の卒業生らの研究論文が国際誌「Topic in Clinical Nutrition」に掲載されました。
今回の研究において、食品の匂いは、回復期リハビリテーション患者の主観的な食欲増加に寄与できる可能性が示されました。
【研究内容の概要】
わが国の回復期リハビリテーション病棟入棟中の患者において、高率に栄養障害が認められることが報告されています。
栄養不良が改善しないと、治療や自立が遅くなり、患者の在宅復帰に影響を及ぼすことが示されています。
したがって、入棟後の栄養管理は重要です。
本研究では、回復期リハビリテーション病棟入棟時の栄養状態をCONUTという栄養評価指標を用いて評価しました。
また、患者の匂いの感じ方について、5-2法という方法を用いて、5種類の匂いを嗅いでもらい評価しました。
併せて、食品の匂いが、患者の主観的な食欲を増大させるかどうかについて検討しました。
その結果、栄養状態が低下していた患者は匂いの感じ方が鈍化していたことが確認できました。
これには、基礎疾患、加齢、炎症が影響している可能性があるため、今後詳しく検討しなければなりません。
食品の匂いと患者の主観的食欲の検討において、カレーとソースの匂いが、回復期リハビリテーション患者の主観的な食欲を増す可能性があることを確認できました。
今回、先行研究を参考に限られた食品の匂いを使用したため、今後は多くの食品の匂いを検討する必要があります。
【執筆者からのコメント】
本論文は、卒業研究で得られたデータをもとに生理学視点を加えてブラッシュアップして書いたものです。本学の宮岡名誉教授より匂いに関する分析について学術的なアドバイスをいただきました。また、英文投稿に関して、当科の澁谷先生に多くのアドバイスをいただきました。おふたりの先生に感謝いたします。
【原著論文情報】
Kihou Nunokawa, Nagisa Tokairin, Kasumi Homma, Toru Nagai, Effect of Food Odors on Subjective Degree of Appetite Among Patients Undergoing
Convalescent Rehabilitation, Topic in Clinical Nutrition, 2021, in press
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