関根千恵助教(理学療法学科、スポーツ医科学Lab、アスリートサポート研究センター、運動機能医科学研究所)の研究論文が、国際誌『Applied Bionics and Biomechanics』に受理されました。
本研究では、ローイング動作の際、ストロークを通して体幹・下肢筋を総動員し筋の協調性を維持した動作を行っていることと、椎間板変性保有の有無で筋の協調性に差を認めないことを明らかにしました。
【研究概要】
シナジー解析は運動中の筋の協調的な活動を明らかにする手法であり、神経科学やリハビリテーション、ロボティクスの分野を中心に様々な日常活動動作のシナジーが報告されています。
近年、シナジー解析はスポーツ動作にも応用され始めており、今回、ローイング動作時の筋シナジー解析を行うとともに、椎間板性腰痛を引き起こす腰椎椎間板変性(disc degeneration)保有の有無で筋シナジーを比較しました。
本研究では、エリート大学ボート選手(椎間板変性群、健常群)を対象に、ローイングエルゴメーターを用いた2000mタイムトライアルを実施し、トライアルの前半・後半の1ストロークを解析しました。
また、腰椎のMRI画像を用いて、椎間板変性の有無を評価しました。
その結果、ローイング動作の際には、ストロークを通して体幹・下肢筋を総動員し、筋の協調性を維持した動作を行っていること、椎間板変性保有の有無で筋の協調性に差を認めないことが明らかになりました。
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https://www.nuhw-pt.jp/2021/02/-20200205-1.html
【関根助教からのコメント】
ボート競技は腰痛の頻度が高く、上肢・体幹・下肢の協調性低下が腰痛発症の一要因ではないかと考えられております。そこで、我々は椎間板性腰痛を引き起こす腰椎椎間板変性と筋の協調性に関係があるのではないかと考え、ローイング動作時の筋シナジーを椎間板変性の有無で比較検討しました。本研究により、椎間板変性保有の有無で、ローイング動作における筋の協調性に差を認めないことが明らかになりました。今後は上肢筋を解析対象に加えたより詳細な検討が必要であると考えています。
【原著論文情報】
Chie Sekine, Naoto Matsunaga, Yu Okubo, Mika Hangai, Koji Kaneoka. The lumbar intervertebral disc degeneration does not affect muscle synergy for rowing activities. Applied Bionics and Biomechanics (2021).
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