宮本真菜さん(健康栄養学科4年)と公益社団法人日本ボート協会との共同プロジェクトで実施した、女性アスリートの栄養摂取状態と月経状態との関係に関する研究成果が国際誌に受理されました。
【研究概要】
トップアスリートは激しいトレーニングと大きなストレスの中で競技を継続しています。
本論文はボート競技日本代表チームの選手を対象に、栄養状態、心的ストレス、月経状態、パフォーマンスに関する調査結果の一部を報告したものです。
月経に関しては、エネルギー不足によるものとストレスによる視床下部-下垂体-卵巣系への影響の2つが大きな要因として考えられます。
本論文では、Energy Availability(1日あたりのエネルギー摂取量と運動によるエネルギー消費量の差を除脂肪体重で割ったもの)にして33.3 kcal/kg of FFM/dayから41.4 kcal/kg of FFM/dayまでの大幅な改善を行うことにより、それまで約20%の選手に出現していた月経不順が、世界選手権などの大きなストレスがかかる局面でも出現しなくなることを報告しました。
【健康栄養学科 澁谷准教授(共著者)からのコメント】
宮本さんが1年生の頃、私の研究室に月経不順に関する研究について相談に来ました。その頃、日本代表チームのなかでも月経不順が大きな問題であったこともあり、公益社団法人日本ボート協会のなかに、当協会の管理栄養士とともに栄養プロジェクトチームを立ち上げました。宮本さんはその後、栄養状態、心的ストレス、月経状態、運動パフォーマンスに関する調査を続けてきました。これまで続けてきた調査が形となり、スポーツ栄養学における貴重なデータを世界へ向けて提示することができました。宮本さんは、現場のスタッフとしても優秀で、栄養の必要性を、日本代表チームの選手のみならず、コーチ、スタッフ、そして、所属チームの指導者の皆様にも上手に伝えることが出来ていると思います。
【本研究のポイント】
日本代表チームというスポーツ現場で、実際に摂取されている食事を調査し、栄養摂取状態、月経状態などのデータを国際誌に報告した例はほとんどありません。
今後、他の研究機関との協力しながら、月経と栄養、心的ストレス、そして、骨密度への影響などを検証するため、研究を進めていければと思います。
【論文タイトル】
Dietary intake and Menstrual cycle changes in international level young athletes
【執筆者】
Mana Miyamoto, Yuko Hanatani, Kenichi Shibuya(宮本真菜、花谷遊雲子、澁谷顕一)
【所属(学んでいる分野・専攻)】
宮本真菜:新潟医療福祉大学健康科学部健康栄養学科4年
花谷遊雲子:公益社団法人日本ボート協会管理栄養士
澁谷顕一:新潟医療福祉大学健康科学部健康栄養学科教員、公益社団法人日本ボート協会強化委員・タレント発掘委員
【掲載雑誌】
The Journal of Sports Medicine and Physical Fitness[in press]
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