この度、新潟医療福祉大学医療技術学部 臨床技術学科 4年生の石黒蒼衣さんが第3回関東甲信越臨床工学会(10月15日付)で発表し、学生優秀賞として表彰されました。
石黒さんは髙橋 良光准教授らの研究グループに所属しており、在宅用人工呼吸器回路の種類や条件が発電機の稼働時間に与える影響~災害時を想定して~というテーマで発表しました。
研究成果のポイント
【題目】在宅用人工呼吸器回路の種類や条件が発電機の稼働時間に与える影響~災害時を想定して~
1.災害時には、本当に人工鼻用回路が有効なのか?
2.人工呼吸器の設定条件は、発電機の稼働時間に影響を与えるのか?
研究概要
【背景】
近年、災害が多発・多様化し自然災害による停電のリスクが増大し、実際に停電や電力不足そして燃料の供給不足により機器が停止する問題が報告されている。特に在宅で人工呼吸器管理を要する場合は、平時から災害時を想定した準備が重要である。また、停電時に在宅で加温加湿器やヒーターワイヤを使用している場合は、人工鼻に変更することが推奨されているのが現状である。
【目的】
在宅人工呼吸器をバッテリー稼働する際に、人工呼吸器回路の仕様の違いによって稼働時間にどの程度影響があるのか検討した。
【方法】
対象として人工鼻回路、加温加湿器回路、シングルヒーターワイヤ付き回路を使用した。発電機は発電機EU9iGB(エネポ)、トーホーハンディガスシャトルのガスボンベ(1本あたり250g)を使用した。在宅人工呼吸器はトリロジー02 plus(定格消費電力170W)を使用し、加温加湿器はVHB100 (定格消費電力100 W)を使用、ヒーターワイヤ付き回路の加温加湿器はMR850(定格消費電力220 W)を使用した。この3種類の回路を用いて、それぞれ3回ずつ稼働時間を測定した。
【結果】
平均稼働時間の結果は、稼働時間が長い順に人工鼻回路で2時間21分、加温加湿器回路で2時間18分、シングルヒーターワイヤ付き回路は2時間14分を示し、消費電力が少ないほど稼働時間が長くなる結果となった。
【まとめ】
災害時には電力の消費量が少ない人工鼻回路の使用が推奨されているように、稼働時間の差を比較すると人工鼻回路を使用する方が良いと考えられる。しかし、回路の違いによる稼働時間の差を24時間で換算するとガスボンベ約1本分の差であるため、痰の粘稠化や低体温のリスクを考慮して加温加湿器回路、シングルヒーターワイヤ付き回路を選択することも検討すべきかもしれない。
学会に参加した感想
今回このような賞をいただくことができてとても嬉しいです。 私自身も研究と発表を通して災害医療にさらに関心を深めることができました。
これからの医療に携わるものとして、さらに社会に貢献できるように励んでいきたいと思います。
研究に関する問い合わせ先
髙橋 良光(たかはし よしみつ)
新潟医療福祉大学 医療技術学部 臨床技術学科 准教授
〒950-3198 新潟県新潟市北区島見町1398番地
E-mail: yoshimitsu-takahashi〇nuhw.ac.jp
〇を@に変えてください。
TEL:025-257-4408
>>臨床技術学科の詳細についてはこちら
https://www.nuhw.ac.jp/faculty/medical/mt/
>>臨床技術学科のブログはこちら
https://ct.nuhw.ac.jp/
>>臨床技術学科のInstagramはこちら
https://www.instagram.com/nuhw_ct/