平井智樹さん(理学療法学科19期生、急性期理学療法コース1年生、神戸市立医療センター中央市民病院)と江玉睦明教授(理学療法学科、スポーツ医科学Lab、アスリートサポート研究センター、運動機能医科学研究所)らの研究論文が国際誌に掲載されました!
研究の概要
前脛骨筋は、足のスネの前にある筋肉で歩行動作時などに足部の動きや衝撃吸収などに重要な役割を果たしています。また、前脛骨筋腱の断裂は、アキレス腱、膝蓋腱に次いで3番目に多い外傷(ケガ)であると報告されています。このように非常に重要な役割をしている筋肉にもかかわらず、前脛骨筋の解剖学的な研究は非常に少なく、不明な点が多く存在していました。そこで本研究は、日本人固定遺体を対象に前脛骨筋の付着部に着目し、付着タイプと3次元的な付着表面積を明らかにすることを目的として実験を行いました。
その結果、前脛骨筋の付着タイプは線維束が2本のタイプ(95%)が最も多く、まれに線維束が3本のタイプ(5%)があることが明らかとなりました。先行研究と大きく異なる結果であったことから、人種差が存在する可能性が示唆されました。また、付着部の面積に関しては、これまで2次元的な計測のみが行われてきていましたが、初めて3次元的な面積を算出することに成功しました。過去の報告より大きな面積でしたが、より正確な付着部位面積が測定できたと考えます。
本研究は、国際誌「BMC Musculoskeletal Disorders」に掲載予定です。
研究者からのコメント
本研究はご遺体を対象にした解剖学的な研究であり、障害予防や障害の発生メカニズムの解明には至りませんでした。
しかしながら、前脛骨筋の基礎的な知見は障害予防や治療、障害の発生メカニズムの解明に必要不可欠ですので、今後さらに研究を重ねたいと思います。
研究のポイント
① 前脛骨筋の付着部を明らかにした点
② 前脛骨筋の付着面積を3次元的に計測した点
原著論文情報
Tomoki Hirai, Mutsuaki Edama*, Ryoya Togashi, Haruki Osanami, Rina Saito, Koyo Kato, Mayuu Shagawa, Chie Sekine, Hirotake Yokota, Ryo Hirabayashi, Tomonobu Ishigaki, Hiroshi Akuzawa, Yuki Yamada, Taku Toriumi, Ikuo Kageyama. Anatomical study of type classification and surface area of attachment sites for tibialis anterior tendon. BMC Musculoskeletal Disorders [in press].