作業療法学科の鈴木誠准教授、山本淳一(慶応義塾大学:応用行動分析学)らのグループが、脳卒中で低下した認知能力の回復状況が数式によって予測できるとする研究報告をまとめた論文が、米国の科学雑誌プロスワン(電子版)に掲載されましたのでご報告させていただきます。
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http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0053488
脳卒中では冒された脳の部位によって記憶や空間認識、言葉など様々な能力が低下し、こうした障害は個人差が大きく、個別に回復の時期や程度を予測することは難しと考えられております。
こうした状況の中、鈴木准教授らの研究では、脳卒中によって認知能力が低下した57名の対象者を追跡し、対数による曲線が認知能力の回復過程に適合することを発見しました。脳卒中後早期の認知能力の程度を基に、対数の計算式を用いて個人の認知能力の予測値を算出したところ、67~72%の対象者に対して3週間後の認知能力を正確に予測することができました。
今回の研究について鈴木准教授は、「個々の回復状況が予測できればより効果的なリハビリ計画ができ、患者本人もモチベーションが維持でき、不安を抱える家族の支えにもなる。またエクセルなどで計算式を使えば簡単に予測できるので、臨床現場での活用が期待できる。今後は、同様の計算式が認知症による能力低下予測にも適用できないか研究を進める予定」と話しております。
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>>http://www.nuhw.ac.jp/faculty/medical/ot/
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>> http://www.nuhw.ac.jp/faculty/medical/ot/teacher/suzuki.html