11/12 勉強会

研究報告

担当:豊栄

研究テーマ:上腕筋の機能特性に関する研究

要旨

上腕筋の主機能は,肘関節屈曲運動である.しかし,上腕筋は二頭筋(Leonello DT, 2007; Sanal HT, 2009)であり,屍体解剖の結果より異なる機能特性を持つことが推定される.また,上腕筋は筋皮・橈骨神経による二重神経支配が解剖学的調査で確認されており(Mahakkanukrauh P, 2002; Yan J, 1998; Frazer EA, 2007),最近では橈骨神経の運動枝があることも証明されている(Spinner RJ, 2003; Bendersky M, 2011; Puffer RC, 2011).その支配領域は下外側部分であり,このことはすべの論文で一致した見解である(Mahakkanukrauh P, 2002; Yan J, 1998; Frazer EA, 2007).今後,これらの研究結果を踏まえ,上腕筋の機能特性を解明するために研究する予定である.

 

文献抄読

担当:堀内

論文:

Effects of pedaling exercise on the intracortical inhibition of cortical leg area.Tomofumi Yamaguchi,Toshiyuki Fujiwara,William Liu,Meigen Liu,Exp Brain Res (2012) 218:401–406

要旨

  • 背景:ペダリング運動は歩行動作と筋活動が似ているため,広くリハビリテーションに用いられている.また,リハビリテーションによって脳卒中患者の皮質に可塑的変化が起きることが明らかになっている.しかし,ペダリング運動による皮質内抑制の影響は明らかになっていない.
  • 目的:ペダリング運動が前脛骨筋(TA)とヒラメ筋(SOL)を制御する皮質領域の皮質内抑制に及ぼす影響を明らかにすること.
  • 方法:TMSによる二連発磁気刺激法(ISI 2ms,3ms)を用いて磁気刺激を行った.TAを誘発部位とし,TA,SOL両筋で同時に筋電図の記録を行った.実験条件として,自発的ペダリング,受動的ペダリング,反復的足関節背屈を設定し,各条件においての課題前,直後,15分後,30分後に磁気刺激を与えた.
  • 結果:TestMEPは3条件で有意差がなく,自発的なペダリング直後で,TA,SOL両筋にSICIの低下が認められた.受動的なペダリング,反復的足関節背屈では有意差が認められなかった.
  • 結論:皮質内抑制の低下は皮質の再構築の作用であることや,運動学習と関連があるといわれている.低負荷の自発的ペダリングが足の領域における運動皮質の皮質内抑制を低下させたことから,リハビリテーションにおいて脳卒中患者の皮質の再構築を促す可能性が示唆された.